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できることはある

 俺の名前は辺地貫井、死がない中学生だ。おっと間違えた、しがないだったな、危うく不死身になるところだった。今日からバスケットボール部というのに所属する。自分からやりたいと思える部活がなく、母親にすすめられてやることにした。もともと運動が苦手で、スタメンとか全然狙うつもりはないが、運動不足の解消にはちょうどいいだろう。

 夏休みに入り練習が激しくなる頃、自分の覚悟が甘々で糖度は軽く40度を超えていたことに気がついた。顧問は「吐く奴がいてもおかしくない」と言っていたが、自分が一度も吐かずに夏を乗り越えられたことが信じられない。そして学校設備のウォーターサーバーからでてくる水があんなに美味しかったのも信じられない。

 ただ、一度山場を乗り越えたあとはどんな練習にも耐えられるようになっていた。練習を楽しめるわけではないが、自分の肉体が少しずつ強くなっていくことを感じていた。自然とスタミナがついていき、それを活かして筋力トレーニングに励む。バスケで重要な跳躍力をつけるために下半身のトレーニングに重点をおいた。大会の日が近い。

 当日、走り込みをしていた。冬場に行われる試合では、体が寒さに負けて普段よりも動きが鈍ってしまう。試合が始まった時、俺はベンチに座っていた。

 全てはこの日のため、下半身の筋肉をつけたのは代謝をあげて体温を上げるため、走り込みでさらに体をあっためておいた。俺が座ったベンチの温度は軽く40度を超える。仲間の体を寒さから守り抜く。

俺のポジションはベンチ、ベンチウォーマーの貫井だ。

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