見出し画像

【詩】病室

寂しさに泣くような雨音

やはり窓の外側を夢想する

窓の外には空白の獣(けだもの)が満ちている

気づけば目を伏せていた

憂鬱の蔓延る病床は白くどこまでも終わりなく透き通っている

それは遠く続く歴史の一部に紡ぎ合わされ…

私の内部で記憶の形を成す

カーテンの内側で咳をする実存

反芻されるは祈りの声


どうか、
お大事に


どこまでも透明な声で反響する

窓の外側には何も存在しないかのように

解けていく憂鬱のように

私の影も形を纏う輪郭も曖昧になる

そして

またどこかで透明な声が聴こえる

雨音は止んでいた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?