「素手でトイレ掃除」のキモさ
國分功一郎『暇と退屈の倫理学』のなかには、日本をはじめとする先進国では社会の構造がもうできあがってしまっているため若者は夢も希望もなく退屈で、不幸に陥るが、発展途上国やインフラの整っていない国の若者は幸せそうだ、というところから、そういう遅れた国に行って汗水を垂らして目標に邁進するのが幸福だ、というような議論に対する批判がある。なにか日々目的に向かって邁進することが幸福である、というテーゼからは、その裏返しとしてすでに達成されたはずの目的であれ、まだ未達の目的さえあれば取り