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長編小説『エンドウォーカー・ワン』

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遠い未来。ここではない星の物語。 世界は違えど、人は慈しみ合いながらも争うことは避けられない。 戦争をテーマにしたヒューマンドラマ。 週1~2回連載予定です。
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記事一覧

『エンドウォーカー・ワン』第29話

「あー、訓練クソだりぃ……」 「文句言わないの。お給料貰いながら色々勉強させてくれるんだ…

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『エンドウォーカー・ワン』第28話

 青年は静けさで目が覚めた。  彼はどのくらい眠っていたのだろうか。  硝子窓から零れ落ち…

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10日前
9

『エンドウォーカー・ワン』第27話

 ノインの意識はどれだけ飛んでいたのだろうか。  彼の目の前にはたわわに実った小麦の穂の…

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12日前
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『エンドウォーカー・ワン』第26話

「んふー。ベェ~ルぅ?」  銀髪の女性が甘ったるい猫撫で声を発し、熱っぽい視線を送る。 …

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2週間前
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『エンドウォーカー・ワン』第25話

「平気か? ベータ」  ベルハルトはメインカメラに映し出された微動だにしない敵を見、後部…

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2週間前
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『エンドウォーカー・ワン』第24話

 厚い雲が空を支配する中、数百年ほど昔に植樹された自然保護地域でその衝突は起きていた。 …

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3週間前
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『エンドウォーカー・ワン』第23話

「……」  コクピット後部の兵装担当席に乗り込んだイリアだが、すぐに機体とリンクしようとはせず、兵装や電子機器にエラーが表示される。 「どうした、ベータ。魔力を使い過ぎたか?」  ベルハルトは黄金色の瞳で低く重心を下げた敵機を睨みつけたまま相棒にたずねる。 「ううん、平気。だけどあれは……お父さん――リカルドの部下なんだよね」 「ああ、俺達に立ち塞がる『敵』さ。反応速度を見るに、正規軍より厄介だぞ」 「それでいいの? あなたの大切な人の肉親なんでしょ?」 「違うっ」

『エンドウォーカー・ワン』第22話

「――通信は以上だ。状況開始」  ハンドラーがそう告げるとほぼ同時に休止状態だった機体の…

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1か月前
9

『エンドウォーカー・ワン』第21話

「探しましたよ、アルファ。いえ、サウストリア第2特殊作戦群中尉イリア・トリトニア」  レ…

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1か月前
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『エンドウォーカー・ワン』第20話

 夢を見る。  普通に進学して、友人や家族に囲まれて泣いて笑って。  出会ってから僅かな時…

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1か月前
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『エンドウォーカー・ワン』第19話

「この話はここまで」 「なんだよ、もう少しで終わりそうじゃねえかよっ。その『仕事』がうち…

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1か月前
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『エンドウォーカー・ワン』第18話

「で、用事ってなんだよ」  幾分か酔いのさめたレックスを酒場から連れ出して数分。  都市…

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2か月前
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長編小説『エンドウォーカー・ワン』第17話

 柔らかく耕された土地での作業はレックスたちが思っている以上に苦戦した。  沈み込む機体…

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2か月前
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長編小説『エンドウォーカー・ワン』第16話

 年季のはいった木造建築の村役場へと誘導されたレックスたちは機体をアスファルトへと落とし、機体背面部に装着していたバックパックユニットからプラスチックコンテナを降ろしていく。  役人や住人たちも協力し、バケツリレーの要領で物資は次々と運び出されていき程なくバックパックの中は保守用品を残して空になった。 「ではこちらにサインをお願いします」  レックスが村長へタブレット端末とペンを差し出し、中年の男性はペン先の滑る感触に悪戦苦闘しながらフルネームを硝子板へと描いていく。