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30日間の革命 #革命編 9日目

 クラスでの信頼を取り戻し、文化祭のクラスでの出し物を取り仕切ることになった坂本。革命に向けて、再び良いスタートを切ったかのように思われたが、同時に厳しい現実も知った。想定はしていたが、選挙に大敗したことや、革命を起こそうとしたことが生徒の間で予想以上に反響があるということ。クラスメイトですら、先ほどのホームルームの時のように、気まずさを感じたので、他クラスや後輩たちにはもっと影響があることは容易に想像ができる。ましてや、馬場の影響を最も受けているであろう1年生には、反逆者として捉えられていてもおかしくない。事態は少し好転したとはいえ、未だ坂本たちが置かれている状況は厳しいものだった。

 「これで文化祭に向けては動けそうだけど、あくまで文化祭ってとこだよな。革命についてはどうしていく?」

 加賀と坂本は一緒に下校し、校外の公園で話をしていた。

 「次はもう本丸を攻めるわ」

 坂本は力強く答えた。

 「本丸って?」

 「江藤さんよ。彼女を味方につけるべく動いていこうと思う」

 「え! まじで? ちょっと展開早くないかな。いくらクラスからの信頼が戻ったって、江藤ちゃんは馬場の彼女だぞ。下手したらすぐに馬場にバレて計画もおじゃんになるかもよ」

 加賀は公園のブランコに座り、そう答えた。

 「もちろんリスクはある。でも今は前と違ってもう時間がないの。ここで様子を伺っていたら、普通に文化祭を頑張って終わりになっちゃうわ。バレてもいいから、江藤さんを攻めるべき。じゃないと、クラスでの動きがいつまでも制限されてしまうもの。ここで彼女を味方につけることが出来れば、堂々と革命に向けて動くことが出来る。仮に失敗しても、その時はその時。別の方法を考えればいいだけの話よ」

 「その決断力がたまにうらやましくなるよ。まあ確かに元々が背水の陣だしな。ここで躊躇してちゃ、革命なんて起こせないか。でも、具体的にはどうやって味方につける? 彼女、恐らく学校で一番頑固だよ」

 坂本はその質問に、少しだけ表情を曇らせた。

 「そうなの。そこなのよね、問題は。私も中々良い案が思い浮かばなくて。なりふり構わなければ、方法はあるんだけど」

 「例えば?」

 「あんまりいい方法じゃないけど、馬場君を利用するの」

 「馬場を!?」

 「うん。馬場君が江藤さんと交際している理由は、私たちを監視するためだと思うの。悪い言い方をすれば、彼女も馬場君の駒の一つってこと。でも江藤さんはそのことに恐らく気づいていない。多分だけど、役割を与えられているのは信頼の証だくらい馬場君に言われてるんじゃないかしら。だからそこを狙うことも出来る。馬場君が江藤さんを駒に使っていることが分かれば、彼女はこっち側についてくれると思うわ」

 「しかし、本当に馬場ってそんな奴なんだな。改めて聞くと、ひどい奴だよ」

 「でも、誰かを蹴落とす方法はあまり好きじゃないわ。もし仮にそうなったとしたら、馬場君との対立構造は明らかになる。でも、私たちの目的は、馬場君との戦いに勝つことじゃない」

 「うーん。馬場が悪い奴だってことは事実なんだし、昔の革命だって、支配階級との戦いみたいなもんだったんだから、馬場を倒すことも一つの目的になるんじゃないのかな?」

 加賀は、やはり馬場のことが許せずにいた。

 「そう思う気持ちもわかるわ。でも、仮にその形で勝ったとしても、私たちはすぐ卒業するのよ。馬場君は一年生だから、まだ学校生活はこの先長いわ。彼のことを考えたら、その結末はあまりに残酷なものになるわよ」

 「小春は優しいね。まあ、それは小春の良いところか。なら、この案は却下だな」

 「そうね。だからこそ、難しいのよ。どうやって江藤さんを味方につけるのか。早いうちに答えをだして、行動に移しましょう」

 坂本と加賀は、江藤を味方につけるための行動へと移り始めた。

 ▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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