30日間の革命 #革命編 7日目

 加賀が仙波についてを探ろうと動き出した頃、坂本も革命に向けた動きを始めていた。坂本の計画としては、文化祭から革命を起こすためにまずは自分のクラスを味方につけること。そこから始めようと考えていた。

 そこで坂本はまず、現在の自分の立ち位置を改めて確認することにした。生徒会長選挙で大敗したことを考えると、恐らくかつてほどの影響力は失っている。馬場に投票をした大半は3年生だった。理由としては、やはり受験である。革命を起こすことにより、受験が出来なくなる可能性があるという馬場の演説の効果は抜群で、3年生のほとんどが馬場に投票することになった。なので、生徒会長選挙後から、坂本のことを少しだけ敬遠する学生が増えたことは事実だった。坂本自身もそれは感じていた。だからこそ、現在の自分にどれだけの影響力があるのかを含めての立ち位置を知る必要があった。

 坂本は生徒会長ではなくなったものの、クラス委員長は変わらず続けていた。そのため、文化祭に向けたホームルームでは、坂本が主導で色々と決めていくことになる。坂本はそれを利用して、自分の立ち位置を再確認することにした。

 そしてホームルーム当日。文化祭に向けた最初の話し合いが始まった。司会を担当する坂本は教壇の前に立つと、まずは少しだけ沈黙をした。自分が人前に立つのは、生徒会長選挙以来はじめてだったので、どのような空気になるのかを確かめるためだった。

 文化祭についての話し合いということで、面倒に感じている学生も多くおり、最初は少しざわざわしていたが、坂本が教壇に立ったとき、みんなの視線は一気に坂本へと集まった。少しだけクラスの中に緊張感が漂う。それはまるで腫れ物が出来たときの「触れていいのか、触れない方がいいのか」といった迷いのような空気が感じられた。選挙に大敗したことと革命を起こそうとしていたこと。そのことがクラスメイトの頭によぎり、どう坂本を扱ったらいいのか迷っているようだった。

 坂本はその空気を感じ、自分にはまだチャンスがあると感じた。もちろん、その空気は決してポジティブなものではない。しかし、注目が集まるということは、まだ自分の存在が皆の中に残っているということ。そして視線の中には、自分のことを心配してくれるものもあれば、次は何を発言するのか期待するものも感じられた。

 坂本は、全てを認め、また始めることを決心した。

 「まず、みんなに謝りたいことがあります。この前の生徒会長選挙では、学校を混乱させるようなことになり、申し訳ありませんでした。学校で革命を起こそうとしていたことは事実だし、もし生徒会長をあのまま続けていたら、本当に革命を起こすつもりだった。でもみんなはそれを望んではいなかったこと、真摯に受け止めます」

 クラスメイトたちは、まさか坂本が謝罪から始まるとは思ってもいなかった。そして、本人も触れられたくないであろうと思っていた選挙のことや革命のことに自ら触れたことに対して、先ほどまで感じていた「腫れ物」のような感覚も少し薄れていった。坂本の謝罪を受け、漂っていた緊張感が少しずつ緩んでいくことを、坂本をはじめ、クラスメイト全員が感じることができた。

▼30日間の革命 第一部
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