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30日間の革命 #革命編 178日

 「警察が来るまで待つ」

 坂本は確かにそう言った。このまま学生を開放したら、騒ぎはそこまで大きくならない。騒ぎを最大限大きくしてから、中の様子をインターネット上に投稿する。それが坂本の狙いだった。

 「で、でも、やっぱり警察沙汰になった巻き込んだみんなにも申し訳ないというか、他の学生たちもきっとそこまでは考えていないというか……」

 加賀は歯切れ悪く坂本へ言った。加賀も、革命を起こすことに関しては、当然覚悟をしていた。何が起こっても最後までやり切る。そのつもりだったが、いざ”警察”という言葉が出たときに思わず怖気づいてしまった。

 「……そうね。みんな驚くと思うし、反対する学生も出てくると思う。でも、それでもやり切るの。じゃないと、何のためにこんなことをしているのか分からなくなる。確かにみんなを巻き込んでいることも事実だけど、それに遠慮していちゃ、ただの”革命ごっこ”よ」

 坂本の言葉はいつになく強いものだった。加賀はその言葉を聞いてうつむくしか出来なかった。

 「……セト、不安なのはわかるし、私も不安よ。……本当は今日、学校に来てもみんなの前に顔を出す予定はなかったの。だって、いきなり停学になっちゃって、そのことを一切みんなにも告げず休んでさ。その間も何にも連絡していなかったから、今更どの面さげてみんなの前に立てばいいか分からなかった。でも、セトから連絡をもらって、3年1組の演劇も終盤は間に合って、体育館の裏の楽屋口からこそっと見ていたんだ。その後の出来事も全部見ていてね。で、セトたちがあんなに必死に動いているのを見て、私もこんなところで怖気づいて隠れている場合じゃないって思ったんだ。元々は私が言いだした革命だけど、もう私だけのことじゃないって思ったの。全校生徒を巻き込んだ責任はしっかりと取らないと。それは中途半端に終わらせることじゃない。みんなが一度でも「学校を変えられる」と思った期待に応えることだよ。だから、ここで粘るだけ粘って、全国にこの騒ぎを知ってもらう。それこそ、革命の始まりで、今私たちがやるべきことだと思う。だから、頑張ろう」

 坂本は加賀の手をとって、力強くそう話した。その表情は今まで見たことのないほど、真剣で切羽詰まったものだった。

 「……う、うん、わかったよ。で、でも、一度白の会のメンバーを集めて今のことを話したい。さすがにこのことは俺だけじゃ決められないから。それでもいい?」

 「うん、もちろん。なら、ステージ袖にみんなを集めましょう」

 そうして坂本と加賀は、白の会のメンバーを体育館ステージの袖に集めた。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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