30日間の革命 #革命編 6日目

 加賀と仙波が一時期交際をしているのではないかと校内で噂になったことがあった。たまたま帰りが一緒になったときを目撃され、そこから噂が広まったのである。その際、加賀は仙波の元へ謝りにいった。

 「仙波さん、何か俺のせいで変な噂が立っちゃってごめん」

 すると仙波は少し驚いた表情を見せ、

 「そんな。加賀君が謝ることじゃないよ。こっちこそ加賀君に迷惑かけてごめんね。何かみんなに勘違いされちゃったみたいで……」

 と答えた。それから二人はしばらく話をした。

 「何かみんなも勝手だよなー。たまたま二人で歩いてただけなのに、あんな噂になっちゃうんだもんな」

 「……そうだね。本当にたまたま帰り道で一緒になったくらいなのにね。驚いちゃうよ」

 「そういえば、仙波さんは彼氏とかいるの? もしいたら本当に申し訳ないなって思って」

 加賀の質問に仙波は慌てた様子で答えた。

 「い、いないよ! か、彼氏なんて私に出来るわけないし、それに何て言うか私なんて本当にダメダメだから……」

 「そうなんだ。これも噂で申し訳ないけど、結構色んな男子から告白されるって聞くから、モテモテなんじゃないかと」

 「全然! 確かにそう言ってくれる人はたまにいるけど、私よりももっと可愛い良い人はたくさんいるから……」

 「そんなことないよ。仙波さんより可愛い人なんてあんまいないんじゃないかな」

 加賀は少し笑いながらそう答えた。それと同時に仙波の自信のなさにも少し驚いていた。学年のアイドル的存在でもある彼女が、自分のことをそう思っていたのは意外だったからである。

 すると仙波は少し下を向いて恥ずかしそうに

 「加賀君にそう言ってもらえて嬉しいよ」

 と少し小さな声で話した。

 「で、でも、加賀君も彼女とかいないの? 加賀君の方がモテてそうな気がして」

 「俺? 俺も彼女なんていないよ」

 すると、仙波は再び下を向いて、加賀に聞こえるか聞こえないかくらいの声で

 「……そっか。良かった」

 とつぶやいた。

 「なら、お互い彼氏か彼女が出来るように頑張ろっか。またあんまり一緒にいると変な噂が立っちゃうかもしれないから、俺はそろそろ行くね。今日はありがとね!」

 そう言い、加賀はその場を後にした。

 この一件で、加賀が仙波に抱いてた印象は、謙虚で自信のない女の子というものだった。しかし、馬場との交際が発覚以降から、徐々に彼女の印象は変わっていった。かつてより、自信を持ち堂々と振舞うようになっていた。それ自体は悪いことではなく、むしろ良いことだと加賀も思っていた。

 ただ、白の会を中断させるために坂本に近づいたり、馬場と別れても馬場の側近のような形で生徒会にいることに対する強烈な違和感。

 何が彼女をそうさせているのか。そして、彼女の本心は何なのか。

 加賀は坂本の話を聞いて、それを確かめるべく動くことにした。

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