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結婚相手にビビッとこない

ね、やっぱりビビッときたの?プロポーズ受けるとき。

婚約してから、何度かそんな質問を受けた。答えはNOだ。特に決定的な決め手があったわけでもなく、それでも他の人とこうなる選択肢が過ったわけでもなく、私はそれを承諾した。

異性との付き合いにおいて、「知人・友人のフェーズ」「恋人のフェーズ」「結婚相手のフェーズ」があるとしたら、このうち2つめと3つめの間の壁が厚いのだろうと思う。結婚相手に「ビビッと」を求める友人は。

それは当然のことだ。結婚すれば多くの女性は姓が変わり相手の家庭に入ることになるし、ありとあらゆるものを相手と共有することになる。恋人ほど別れることも容易くない。だから慎重にならざるを得ない。

その気持ちは、よくわかる。転職サイトを見ている自分もこんな感じだ。

ただ、私の場合はその手前、「知人・友人のフェーズ」と「恋人のフェーズ」の間の壁が人より厚かったように思う。いくつかの恋を経験してきたが、その数は決して多くはなく、ひとつひとつの期間が数年単位ととても長かった。それはおそらく自分への自信のなさや、他者と付き合うことへの警戒心の強さが原因で、特にいっとき異性が恐怖の対象だった私にとって「恋人のフェーズ」に進むこと、そしてプラトニックではない関係になることは、途方もなくおそろしいことに思えた。

だからこそ、そのフェーズに達してしまえばそこから「結婚相手のフェーズ」に進むことはそれほどハードルが高いことではなかった。それは高校1年生が2年後に3年生になり、卒業後は大学に進学することを想像するくらい容易く、そして自然なことだった。他の選択肢があることを知った上でなお、私はそれを疑うことをしなかった。

そう告げるとある友人には「俺だって元カノと付き合ってた時は真剣に結婚考えてたよ、終わったけど」と言われたが、おそらく違うのだ。かつて元カノが「友人」から「彼女」になったまでの壁の厚さが。

だからきっと、相手にもよるし、自分の性格にもよるのだと思う。結婚相手に「ビビッと」くるかどうかは。友人が今の彼氏にビビッとこないのであれば、結論を急いで結婚を決める必要はないと思っている。快活な彼女のことだ、仮に今の彼氏と別れたとしてもすぐにまた新しい人との出会いがあるだろう。そして私と違い、そこから恋人のフェーズに進むことも難しくないはずだ。

彼女が納得できるかたちで結婚を、あるいは結婚しないことを決めたその時に、「ビビッときた!」あるいは「ビビッとはこなかったけど、後悔してないよ」と教えてくれたら、私は心から彼女を祝福したいと、そう思っている。

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