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5分だけ時間をください

はじめまして

この一文から始めさせていただきます。

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酸欠少女 さユりです!
今から5分だけ時間をください


そんな言葉から始まったさユりのTHE FIRST TAKEでのパフォーマンス。

彼女のデビュー曲である「ミカヅキ」のフラゲ日に行われた路上ライブでの言葉。「1曲だけ、1曲だけ歌っていきます。4分ぐらい、4分ぐらい、4分だけ時間をください」という言葉から始まったパフォーマンスはファンの間ではあまりにも有名だ。

路上ライブでは座布団を敷いて、その上に胡座をかいてギターをかき鳴らす。それを再現しつつの、セリフのセルフオマージュ。それらを知っている人が多いさユりファンにとっては、TFTの導入部分は感慨深いものだったのだ。

これから売れたいと思うアーティストにとって一番のハードルは聴いてもらうことにある。聴いてもらわないことには、良し悪しを判断してもらえないのだ。路上ライブや地下でのライブは大体が30分程度の尺だ。それをフルで聴いてもらうのが一番だろう。

しかし、30分相手の時間を拘束するというのはなかなか難しいことだ。1日24時間しかない。睡眠時間や働いている時間、移動時間や勉強時間などを考慮すると現代日本人が30分の自由時間を捻出するのは意外と難しい。そのなかで、せめて4,5分だけでも聴いてもらうことの難しさは本人たちが一番知っているのだろう。

地下で活動する、売れることを夢見る若者をたくさん見てきた。その人たちにとってライブに足を運び歌を聴いてもらえることはかけがえのないものなのだと最近理解し始めた。そんな人達の活動を知るようになってから、導入部分の言葉の聞こえ方が大きく変わった。

さユりの魅力は歌声と誠実さにある。デビュー前から路上ライブなどで研鑽を積んできた実力は本物といえる。そしてなにより声の不安定さが魅力だ。下手とかそういうことではない。ビブラートとも違う。安い言葉を使うと魂が震えている感じだ。その時の感情が乗っていて、その時のパフォーマンスは一度限りで再現不可能な、何かを削りながら歌っているのだ。

さユりは他の誰でもなく、自分を救うために歌を歌っている。歌も言葉も誰かに届けるためというより、自分を鼓舞するように、自分を慰めるように。その姿が結果として聴くものも救っている。弾き語りが多いからだろうか。どこまでも等身大な彼女に何度も救われてきた。

彼女にしかない何かに私はまた魅かれていく。

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手の届く範囲にいるあなたが

幸せでいることを願います

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