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セブンス・コンチネント

 1989年に公開されたハネケ監督のデビュー作。

 104分に凝縮された「家族」。映画が時間芸術だ、というのはこのことなのかもしれない。と、映画の感想を書いていると考えてもみなかった文章を書いていることが多い。
 面白かったか、と尋ねられれば、面白くはない。衝撃的でもない。おうちデートにもおすすめしない。ただ、つまらないか、と聞かれればそれはまた違う。ずっとぞわぞわしながら見ていた。やたら窮屈な構成だからだ。見終わるとその窮屈さからどろりと解放される。
 これは深夜にマヨネーズ啜りながらひとりで呆然と見る映画だ。DVDを買おう。そう思った。
 世の中には「噛み砕けない事象」がたくさんある。順序だっていない、納得できない、理解できない、想像できない。噛み砕けない以上ただ事実としてそこにある”だけ”の出来事。できるのは認識のみ。この映画もまた、そういう類なのではないだろうか。
 しかし、一種、理想の家族像のようにも思われた。と、また考えてもみなかった単語が出てくる。人間なんて飛躍する生き物なのだ。思考は物語ではないし、行為は突発的に起こる。正しいと思った。意図がみえないとか理由がわからないだとか、言語の驕りだ。なんてすらすらと出てくる。おっかない、おっかない。
 しかし、私に足りないのは計画性だな。いつもそうだけれど。

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