猫田雲丹

スキマの時間にサクッと読めるショートショートをどうぞ。変なお話ばかりです。

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名刺代わりの小説5選

こんにちは 猫田雲丹と申します。 noteにおかしな短編小説を投稿し始めて、 気付けば今年で丸3年。 ここで一度、 私らしいと思う5作品をまとめてみました。 蟻の味実際に筆者は幼い頃、蟻を食べていました。 本当に都こんぶみたいな味がします。 光を放つおじいちゃんガールズバーならまだ健全な気もしますね。 許してあげてほしい。心からそう思います。 せっかく帰って来たのに引用部分だけ切り取るとホラーに思えますが、 そんなことはありません。 とはいえ現実でこんなセリフを吐か

    • 英語を勉強しよう

      こんにちは。 もはや春というよりも夏っぽい陽気になってきました。年が明けたのがつい先日のことに思えますが、歳を食うごとに季節の移り変わりが速く感じられますね。つらい。 さて 猫田は最近noteそっちのけで英語の勉強にハマっています。 来月、旅行でアメリカに行く予定なのですが、それまでにペラペラとは言わないまでもビラビラぐらいにはなりたいなと、みっともなく悪あがきをしている最中。 といってもそこまで必死なわけではなく、ゆるゆるだらだらと楽しく勉強しております。 滞り

      • 短編小説|花粉症かもしれない

        「また寝込んでたのか。飯は?」  仕事から帰ってきた夫の声で目を覚ました。今日は1日、ずっとベッドから動けないでいたから、ご飯の準備なんかできていない。とにかく怠くて、頭がぼーっとしてしまう。 「いい加減にしてくれよ。こっちだって疲れてんだからさ」  取り敢えず鼻をかんで、ベッドから起き上がる。蛇口をひねったように鼻水が止まらないから、1日300回ぐらいは鼻をかんでいるんじゃないだろうか。ゴミ箱に入りきらなくなった丸められたティッシュが床のあちこちに転がっている。 「

        • 短編小説|呪ってやった

           卒業の日に呪ってやった。  式の前に、彼女の下駄箱に手紙を入れた。今日が終われば二度と会うことはないであろう、名前を知っていたかも怪しいクラスメイトからの恋文。返事なんて期待していない。この日、この俺から恋文を貰ったという記憶を、焼き印のように脳に押し付けてやりたいだけ。これはただの呪い。  式もHRも終わると、俺はさっさと教室を出る。別れを惜しむ友人はいない。階段を駆け下り、まだ誰もいない玄関で靴を履き替えようと下駄箱を開ける。すると手紙が入っていた。周囲を見渡してか

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        名刺代わりの小説5選

        マガジン

        • 夏ピリカグランプリ応募作品(全138作品)
          124本
        • 夏ピリカグランプリ
          110本
        • 春ピリカグランプリ
          135本
        • 春ピリカグランプリ応募作品
          107本
        • 春ピリカグランプリ入賞作品
          18本
        • 夏ピリカグランプリ入賞作品
          19本

        記事

          小説なんて書いても

            主人が急に小説を書き始めてから、もうすぐ二ヶ月が経とうとしている。勝手にパソコンの画面を横から覗き込むも、あまりに内容がつまらなくて思わず鼻で笑ってしまった。  新人賞に応募するのだと意気込み、こうやって仕事から帰ってきても、夜遅くまで熱心に取り組んでいた。怒ると思ったのに、特に反応は無い。パソコンの電源を落とし、いつものようにさっさと寝室に入ってしまった。やっぱり今晩も私は寝室に入れてもらえない。  最近、私の存在が蔑ろにされている気がする。特に小説を書き始めてから

          小説なんて書いても

          今年も私の拙い作品をお読みいただきありがとうございました。あっという間に年の瀬ですね。noteの皆様方との交流が深まり、貴重な経験をさせていただく中で学びの多い一年となりました。来年もマイペースに書いていこうと思いますので、もしよかったら読みにきてください。それではよいお年を!

          今年も私の拙い作品をお読みいただきありがとうございました。あっという間に年の瀬ですね。noteの皆様方との交流が深まり、貴重な経験をさせていただく中で学びの多い一年となりました。来年もマイペースに書いていこうと思いますので、もしよかったら読みにきてください。それではよいお年を!

          短編小説|初めてのサンタクロース

           サンタクロースが来た。どうせ今年もやって来やしないと思っていたのに、クリスマスの朝、目を覚ませば万年床の枕元に包装された大きな箱が置かれていた。40を過ぎた独り身の中年男性である俺の元に、ついにサンタがやって来たのだ。  この歳になるまでサンタが来なかったのはクリスマスのお祝い事とは無縁に育ったからだろうか。男手1つで育ててくれた父親は毎年この時期になると仕事が忙しく、俺は放って置かれていた。サンタからのプレゼントにはしゃぐ周囲を横目に、毎年願い続けてきた。この歳になって

          短編小説|初めてのサンタクロース

          短編小説|あなたは変わらない

          「ありがとうね」  おばあさんはそう言って、目の前でつり革につかまる私に何度も何度も頭を下げてくれる。電車で席を譲っただけなのに、あたり前のことをしただけなのに、大げさでちょっと恥ずかしい。 「あなたを見ていると娘を思い出すわ。よく似ているの」  こう言われた時って、なんて返すのが正解なのだろう。「ありがとうございます」は違う気がするし、「光栄です」は堅苦しいかな。言葉が出ないので、ここはそっと微笑んでおく。 「とてもかわいくて良い子だったのだけれど、あなたぐらいの年

          短編小説|あなたは変わらない

          短編小説|門左衛門が死んだ

           朝、目を覚ますとペットのカエルが死んでいた。「門左衛門」と名付けたガマガエルは水槽の中で仰向けになり、ピクリとも動かない。昨晩もいつも通りエサを食べていたのに、これまで散々世話を焼いてやったのに、俺を残して急に三途の川を渡るとは、身勝手にも程があるじゃないか。相棒を失った悲しみにじっとしていられず、とにかく部屋を出ることにした。  ちょうど台所で朝食の準備をしていた母に門左衛門の死を告げると、「あら、かわいそうに。いい機会だからあんたも早く就職しなさい。いつまでもそうして

          短編小説|門左衛門が死んだ

          20字小説|隣を見れば

          「死人に口なしですよ」と、死体が喋った。

          20字小説|隣を見れば

          20字小説|夜の海

          闇に漂う海月。よく見たらブラウスだった。 応募はしませんが、おもしろそうだったので書いてみました。もうすでに応募作品が250を超えてますね。ヤバすぎ。このままだと月末にはどうなってしまうのか。さすが巨匠。もはやその才能と人望は、「note」という枠組みに収まり切りませんね。出版社の方々、ここに才気煥発なシロクマがおりましてよ。 1人で何作品書いてもいいそうです。みんなでどしどし応募して、小牧先生の脳髄を20字小説ではち切れんばかりに埋め尽くしましょう。もしも彼の脳が爆散し

          20字小説|夜の海

          短編小説|遠くへ行きたい

           りんご箱が網棚に置かれているのが目に留まる。満員電車に揺られる私は右手にあった柔らかな感触のことを忘れ、箱に書かれた「青森県産」という文言に思いを馳せる。広大な土地に規則正しく植えられた木々と、たわわに実る真っ赤なりんご。その合間から覗く澄み切った青空と雄大な岩木山。そうだ、休みを取って青森に行こう。どうせ取れやしない休暇の予定を夢想していると、誰かが私の腕を力強く掴んだ。  電車が駅に着くと、車内から引き摺り出された私は成すすべもなく通勤途中のサラリーマンたちに取り押さ

          短編小説|遠くへ行きたい

          メキシコで見た深淵

          もう数年前になるのですが、 休暇にメキシコを旅行しました。 学生時代に一度訪れていたので、それが二回目です。 メキシコと言えば、 「カルテルが幅を利かせる危険な国」 なんて風に思う方も多いのではないでしょうか。 私も初めて訪れる以前に抱いていたのは、 そこら中でバラバラの遺体が転がっているイメージ。 しかし私が主に滞在していたのは リゾート地であるカンクン。 まったくそんなことはありませんでした。 残念ながら。 透き通った青いカリブ海 日本人にも合う、程よくスパイシーな

          メキシコで見た深淵

          短編小説|復讐の炎を吐く女

          「なあ、それってスティーグ・ラーソン? おっかないの読んでんなあ」  誰かが近づいてくる気配は感じていたけれど、読んでいる本に食いつかれるとは思わなかった。顔を上げると見覚えのある男子。名前は浮かんでこないけれど、たしか同じクラスだったはず。 「その小説おもしろいよな。一級品の推理小説であると同時に過激なミソジニー要素が多くて、クソみたいな男ばっかりでてくるんだけど、大体そいつら悲惨な目に合うからスッキリする。なんでこんな校舎の裏でそんな本読んでんだ?」  まだ読み始め

          短編小説|復讐の炎を吐く女

          短編小説|月の皮

           月めくりの夜がやって来た。壁掛け時計の短針と長針が12のところで重なり合うころ、窓から夜空に手を伸ばし、すっかり明かりの鈍くなった月に爪をかける。ぺりりぺりりと皮をめくれば、新しくなった月は輝きをまし、つるりつるりと夜を照らす。  つまんだ月の皮を蚊に刺されて赤くなっていた足首に貼り付ける。きっと今年最後だろう痒みは、かすかに残っていた明かりと共にすぐに消えた。特に寂しいとも思えないのは、ただただ蚊が嫌いだから。奴らを滅ぼしてはくれまいかと月に叫んでも、夜空に浮かぶばかり

          短編小説|月の皮

          シュワルツェネッガーによろしく

           どうして猫田はハーレーダビッドソンに乗るのか。クセの強いバイクですし、お世辞にも乗りやすいとは言えません。そもそもこのご時世、何故バイクなんぞに手を出そうと思ったのか。その理由を紐解けば、資本主義に踊らされる1人の男の姿が浮き彫りになります。  ここで突然ですが、皆様は映画「ターミネーター2」をご存じでしょうか。どうしようもなく端的に内容を言ってしまえば、ハーレーにまたがった筋肉モリモリマッチョマンことシュワルツェネッガーが美少年を守るためド派手に銃を撃ちまくるというお話

          シュワルツェネッガーによろしく