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秩序を乱す"被害者"への敵意

Twitterで「辞めジュ」を検索すると、元ジャニーズジュニアだった男性へのセカンドレイプ的発言がたくさん出てくる。

ファン文化の中に住まうひとりとして本当に不思議でならないが、同時に見慣れた景色でもある。
最近見かけたのは、とあるバンドマンの不誠実な行動を告発した交際相手の女性に対する、強烈な敵意。
曰く「売名」「示談金目的」「ハニトラ」「やべえ女に引っかかったバンドマンのほうが可哀想」など。
現実ではここまで口汚くないものの、同じような言い分を聞くことは多い。
そういった言葉を聞く時わたしが感じるのは、情念や嫉妬ではなく、秩序を守らない者への強烈な敵意と懲罰感情だ。
「ファンとしての秩序を守らなかったのだからヤリ捨てされても仕方ない」
「暴力被害なんて、ファンとしての秩序を守らなかった者には当然の報い」
人権も倫理も蹴散らして、懲罰を与えることを是としてしまう“秩序”への妄信が、そこにはあるような気がする。

それは、元ジャニーズジュニアだった男性にも同じように向けられている。
被害者がすでに辞めてしまった外部の(あるいは過去の)人間だから、平然と彼をバッシングするのだろうか?
少なくとも彼は元ジャニーズジュニアとして活動しており、応援される対象だったはずなのに。
今活動している子に迷惑がかかるという言い分があることから、やはり告発という行為で秩序を乱していることで敵意を向けられているように感じる。
でも本当に不思議だ。
岡本カウアン氏をバッシングするジャニオタの多くは、性的虐待者のジャニー喜多川に対しては特に反応を示さない。
もっとも秩序を乱していたはずの、誰よりも秩序とジャニーズタレント達を踏みつけにしていたはずの男には、なにも思うところはないのだろうか。
告発者にではなく、虐待者に怒るべきなのではないのか。
そう思わないではいられない。

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