賢治・鏡花・太宰が綴る、秘めた想いを閉じこめた封蝋風ブローチ
一度開封したらひび割れ砕ける、そんな封蝋の特性に心惹かれて。「秘めた想いが綴られた作品」に着想した、封蝋みたいなデザインのブローチ 。
みなさま、こんにちは!
歴史と読書が好きなミュージアム部プランナー・ささのはです。
自己紹介からお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は基本的に古いものが好き&どちらかというとアナログツールを好む傾向がありまして……紙モノや小さな雑貨などを集めたり、愛でたりすることが大好きなタイプの人間です。
そんな私が癒やしを求めてSNSを眺めていると、特にここ数年で現代風にアレンジされて、一気に市民権を得たアイテムがあることに気がつきました。
「封蝋(シーリングワックス)」「封蝋印(シーリングスタンプ)」と呼ばれる、手紙を閉じるためにふたつセットで使う文房具なのですが、みなさまご存じでしょうか?
仕組みとしては、溶かして固まる途中の蝋に書き手を示すデザインが刻印されたスタンプを押すことで、誰が差出人かの証明に。蝋には乾燥後に衝撃を与えるとひび割れたり砕けてしまう特性があるため、封蝋が無事な状態で届くことで、受取人は手紙が未開封であることを確認できたのだとか。
誰かに伝えたい大切な思いを守り、そして読まれるために必ずいつかは砕ける封蝋……まさに諸行無常……! ロマンチックでいいな~~~~^^とひとりニコニコしていた私でしたが、ふとピンとひらめきました。
封蝋独自の特性と、ページをめくる度にドキドキ胸が高鳴る「誰かが秘めた想い&秘密が書かれた文学作品」を組み合わせたら、何か超最強なものが生まれるのでは?
という訳で、「秘めた想いが綴られた作品」をイメージしたデザインが浮かぶ封蝋風ブローチを作ってみました。
ブローチは全3種! インスピレーションもととなった作品ラインナップの紹介をします。
〈太宰治著『駆け込み訴え』〉
ブローチには「私が受け取った銀三十」と、「私があの人から与えられた一つまみのパン」をイメージした小麦をデザインしました。封蝋のシルエットは太宰の激しい感情がこめられた文体をイメージし、ランダムに蝋が広がった形状に。
一度でも開封されると砕けてしまう、封蝋独特の特性。秘密の終焉を表現したくて、秘めていた想いを洗いざらい告白する作品である『駆け込み訴え』ブローチには、デザインとしてひび風デザインを二本入れています。
〈泉鏡花著『外科室』〉
ブローチには、九年前に小石川の植物園に咲いていた「藤」と「つつじ」、「外科科長・高峰が手にせるメス」をデザインしました。封蝋のシルエットは鏡花の几帳面な性格がうかがえる文体をイメージし、きっちりとした形状に。
作中でひとりの人間に想いを気づかれた描写がある『外科室』ブローチには、デザインとしてひびを一本入れています。
〈宮沢賢治著『眼にて云ふ』〉
ブローチには、初夏の始まりのころの「きれいな青空」と「すきとおった風」、「わたくしが見つめるもみぢの嫩芽と毛のやうな花」をデザインしました。封蝋のシルエットは賢治の静かで穏やかな文体をイメージし、ゆるやかに蝋が広がった形状に。
作家が亡くなってから十年以上経って見つからなかった作品『眼にて云ふ』のブローチは、ひびなどが一切入っていないデザインに仕上げました。
直径約35mmの、絶妙なサイズ感。衿もとやスカーフに留めるだけで、お顔まわりがパッと華やぎます。
お手持ちのブローチを、別のアイテムとして楽しめる道具・コンバーター。お手持ちのブローチコンバーターを使ったら、コーデのアクセントにぴったりな帯留めやネックレスにも早変わりします♪
パッケージは、そのまま飾っても素敵な封筒風デザインに。まるで本当に手紙を封じ留めているように、台紙にブローチをセットしてお届けします。
文豪たちが綴った、誰にも知られないよう秘められていた人の想い。それらを大切に封筒に入れ、蝋でそっと留めるような気持ちで、お洋服に封蝋ブローチのピンを留めてみてくださいね。
~もっと作家・作品に触れたい方へおすすめ~
実際にプランナーが訪れた
作家ゆかりのミュージアム・その他の紹介コーナー
・泉鏡花記念館(石川・金沢)
泉鏡花の生家跡に建つ美しい建物には、「鏡花本」とも呼ばれる美しい装丁が特徴の著作や、作家が集めていたうさぎモチーフの遺愛品など貴重な展示物がたっぷり。映像展示やジオラマ+音声の展示もあり、しっかり時間をかけて楽しく観覧しました。
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