見出し画像

さくらさくら。

買い物からの帰り道、少し強い風が吹いて桜の花びらが螺旋を描きながら空から舞い降りてきた。

くるくると小さなピンクがあちこちに降りてくる。ときどき光を浴びてキラキラと輝く。踊ってるみたい。

私はそのピンクのキラキラを捕まえたくて、そっと手をだした。

小さなピンクが一枚、うまく手のひらに降りてきて、ほんのわずかに揺れたあとに静かに止まった。

かわいいなぁ。桜のピンクは淡くてかわいい。

ねぇ、このかわいい花びらをあなたに届けたら喜んでくれる? 「かわいいのを拾ったね」って微笑んでくれる?

そんなあなたの笑顔がほしくて、ピンクのキラキラを包み込むようにまあるく握りしめた。

早く行こう。

あなたのところに。

あなたの目の前で手のひらをゆっくり開く瞬間を想像して、うれしくなった。だってとっても幸せそうだよ。大好きなあなたに、かわいいピンクのキラキラを見せたくて心が弾んでる自分はすごく幸せそう。そんな私を見つめてくれるあなたに早く会いたい。

坂の上に私たちの家が見えた。

もう少しであなたに会えるね。

少しだけドキドキしてきた。


#短編小説 #掌編小説 #桜 #花びら #あなた



お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨