一般入試の本格シーズン
さて、1月も後半。私立大学の一般入試の季節だ。
昨今では得意科目傾斜配点方式や3教科型、2教科型だの一般入試にバリエーションができて、受験生を困惑させる。門戸を広く開いているともいえるが、自分にはその入試型が適してるのか自分自身のことを把握している受験生は意外なほど少ない。
思い返せば定員が分かっていて受験会場に行くと、その受験人数の多さに気が滅入ったものである。
この教室の中から何人が合格するんだろう。
そんな漠然とした不安にペンを走らせ、それをかき消すように問題に没頭したものである。全国模試のそれとはまったく違う緊張感。
それは生まれて初めての体験。確かに気持ちの良いものではないが、それぞれの人生模様に触れることができて、自分は少し楽しかった思いがある。
お守りをじっと握り締めている者。
試験開始までノートを食い入るように読み返す者。
とりあえず問題用紙が配られるその時までリラックスしている者。
どれほどの受験生がこの日に思いを募らせ、臨んでいることだろう。自分もその中のひとりなのだ。選ばれるのはここから何人?
昨今の定員厳格化で私立大学も超過して合格させられなくなった。もちろんその制度自体の問題点はあるだろう。しかし、受験生が一つ一つの受験に臨む姿勢は今まで以上に重く真剣なものとなる。
その意味で言えば、緊張感を出すために昨今の定員厳格化もさほど悪い話ではない。
ルパン3世~ナポレオンの辞書を奪え~のワンシーンで次元がルパンに対して
「年に5分ぐらいはまじめになれ!」
と言い放ったことがある。
これだ!
受験生も18年生きてきて1日くらいは人生をかけた勝負をしてみてもいい。それは彼ら自身を成長させる。結果がどうあってもね。
物事に真剣に取り組むのではなく、真正面からぶつかる体験もあっていいのではないだろうか。
なにはともあれ、受験に向かう君たちに最高の瞬間が訪れることを。
福島県のどこかに住んでいます。 震災後、幾多の出会いと別れを繰り返しながら何とか生きています。最近、震災直後のことを文字として残しておこうと考えました。あのとき決して報道されることのなかった真実の出来事を。 愛読書《about a boy》