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読書感想【火山のふもとで】


久々にどえらい物語を読んでしまいました。
THE小説、物語、というような読み応えのある素晴らしい長編物語。

描写がとてつもなく綺麗で、作品を読んでいるうちに、鳥の鳴き声や青空遠くに映える浅間山の風景、カラッとした空気やじりじりと熱い中で緑をかき分けて落ちてくる太陽の光など、本当にその場にいるような感覚になることができる、圧倒的な描写力。

登場人物それぞれが、それぞれのリズムを持って進むため、一気に読み進めるというよりかは実家の祖父母の家に帰省するような気持ちで、ふっと本を広げるとすぐにあの頃のあの場所に戻っていけるような、そんな気持ちにさせてくれる物語でした。すごい。

本を読むとは何か?図書館とは何か?一人とは何か?のような個人的に好きなテーマについてさらっと語られている部分があってそこもとても好きでした!

多くを語ると陳腐な感想になりそうなのでこれだけにしておきますが、「小説読んだなぁ」としみじみ実感できる作品だと思いました。

2019年で現在間違いなくベストの一冊。

「デビュー作」として書かれてあったので、デビュー作でこんな作品を書く人なんてバケモノかよ、と正直に思ったのですが、よくよく調べていると学生の頃に物語自体は作品として発表されていた経歴のある作家さんで少し安心した気持ちになりました。笑




著者 松家仁之
発行 平成24年9月

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