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あたしは、本を飲み込む


いつものマルチェとの朝ごはん会を終えて、本屋さんを回りながら、少し自分の意識が遠いところにあるのを感じていた。頭の中に浮かんできた言葉があって、それが文章にならずふわふわ浮かんでいた。もしかしたら少し、マルチェの言葉に対して生返事をしていたかもしれない(ごめんね)。

マルチェとの朝ごはん会はお昼頃にいつも解散する。その後、お互いひとりの時間や予定を入れたりしている。マルチェと話した後に、次は自分や誰かとの対話が待っていることが、あたしにはすごく心地がいい。それくらい、マルチェとの時間は濃度が濃いとも言える。

その日も解散して、ぐるぐると散歩を続けた。そして、頭の中の言葉が文章になった。それが、「その本を好きって思うのって、読む前の自分より読んだ後の自分を好きになる感覚だよね」だった。ヨシタケシンスケさんの絵本を眺めながら、この本を読んだ後のあたしは、読む前よりも人と話しやすいし、福祉学にもすごく通じていていいよな、と何となく思ったからだ。それをメッセージで送ったところ、マルチェは「そんなこと考えたこと無かった!掘り下げたい!」と言って、またまたあたし達は語り出したのである。そして、マルチェの書いたnote「あなたにとって本とは何か」につながった。

マルチェにとって本は「友達」で、手を繋げる存在なのだと伝わった。あたしにとって本は、多分体を作る「成分」なんだと思う。あたしは本を飲み込む感覚。その本があたしの一部になっていくという感じだろうか。
 
そもそも、あたしは物語をあまり読まない(読みたいとは思っている)。学生の時にはよく読んでいたけれど、物語を取り入れるなら映画やドラマの方が好きだ。あたしは、福祉学の本や、好きな人のエッセイをよく読んでいる。福祉学とは幸福学であると知ってから、人の幸せを追求することを尊ぶこの学問にずっと救われている。何を自立と呼ぶのか、何を幸福とするのか、支援者とは何か、そんなことを考え学ぶことは、まさに「人間としてのあたし」と向き合う作業になる。だから、そんな本たちを飲み込んで、自分の体を作る栄養分に変えようとしているのだと思う。

映画やドラマにしても同じ。彼ら彼女らが、あの涙や背中があたしの中に生きている。そこから知ったもの、教わったものを、次は表出しようともがくのである。

あたしは人と話している時、とっても引用が多い。「例えばさ、あのドラマであの人がーーーーって言っていたように、やっぱりこうなんだよ」「ああ、それってもしかして、あの本であの人が書いていたーーーーーーっていう感情と近いのかな」といった具合に、こんなことばっかり出てくる。自分の言語化能力については、少し自負はしつつも、足りないことも強く自覚していて、だから飲み込んできた言葉たちを活用している。あふれる素晴らしき言葉たちに、救われ、憧れ、嫉妬しているとも言える。

最近、星野源さんのラジオを聞いていて、あたしの心の中かと思う瞬間があった。思っていたことが言葉になっていて、出てきた感情は「悔しい」だった。ふふ。こんな軽やかに言語化できるの!?もう!?あたしの出る幕ないよ!?(もともとない)という気分だった。でもそんな星野源さんって大人気なアーティストなんだからまた不思議だ。あたしの気持ちをわかってくれる地元の友達ではないのだ。あたしは世界に1人で、星野源さんを好きな人は世界中にたくさんいる。面白いな。それってきっと、とても明るくいい意味で、あたしは普遍的なのだろうと思う。普遍的で、平凡で、すごく今を生きる、生活しているただ1人の人間。これから誰かと一緒に住むことがあっても、ひとりで生きることに変わりは無いだろう。

あたしは最近、ひどく人を羨んでいる。嫉妬している。何もかも手に入れて幸せになりたいと思ってしまう。その妄想に輪郭は無いし、底なし沼の世界だから、逃げようとしても、潜り込んでいる。でも、「そんな時もあるか」とも思っている。いつかこういう時間が、いつかあたしや誰かのモヤモヤに光を指すことだってあることを、知っている。誰かの苦しみは誰かの幸せかもしれないけど、それは自分かもしれないし、誰かの幸せになるならそれはそれで悪くない。人間は後悔や不安からいつだって成長してきたはず。


無礼講しちゃうくらいがカワイイの逆に?
でもそんな勇気は無いし
「器用に不器用なふり」
なんてそんなうまくできない

愛されルートAorB?(アンジュルム)

最近、アンジュルムにハマりかけています。
もともと和田彩花さんは知っていたのだけど、こんなにそれぞれを認め合うかっこいいグループだとは知らなくて。
この曲はなりたい自分とそれをめんどくさいと思う自分とアグレッシブに戦っていて好きです。



忘れられない本を最後に紹介して終わりにします。茶色の朝を迎えないためにできること。自問自答したい。


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