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となりのトトロ

最近、もののけ姫が凄く好きなんですけど、それまでずっと、ジブリで一番好きな作品は?と聞かれたらトトロと答えてました。

ちなみに変な都市伝説は否定派。(笑)
なので(?)特別な考察とかも無く、普通に私のただの感想です。

昭和初期?お母さんが病気を患って入院したため、お父さんと娘二人で、空気のキレイな場所に引っ越した草壁一家。お母さんが退院するまでは、しばらく3人暮らし。

でも、引越し当日には家の中で妖怪ススワタリを発見。数日後にはトトロを名乗る?不思議な二足歩行の獣?お化け?と出会う。

雨の日にお父さんの傘を持ってバス停に迎えに行けば、何十本も足の生えたネコのバスがやってきて、トトロからもらった木の実を庭に蒔けば、トトロが不思議な力で成長させてくれて、、、。

不思議な体験ばかりで、お母さんがいない寂しさを忘れていた二人ですが、、、、。

あらすじを書くと子供向けの絵本みたいなんですけどねぇ。何でこんなに大人が観ても面白いんでしょうか??



ここからネタバレ!



まず、あのお父さんは宮崎駿の理想の父親像なんですかね?子供の気持ちを尊重できる父親!
私も十数年父親やってますし、この作品を30年前から見て学んでいたんですが、、、
こうはなれなかったなぁ。(笑)

冷静に考えると、結局この話、何にも起こらないんですよね。お化けと出会っても何かをするわけでもないですし。強いていえばメイの迷子騒ぎが起こるくらいで。
それでも面白いんですよね。

子供の頃、夏休みに田舎のお爺ちゃんの家に滞在した経験ってありますか?
虫を捕まえたり、お寺の境内を探検したり、ゲームも漫画もないけど、全然退屈しなかった、あの感じ。
ワクワクやドキドキさせるモノがあるわけではなくて、自分の好奇心が全開MAXだったあの時の感覚。

意図的なのかわからないですけど、この作品の前半はそんな引き込まれ方をしている気がします。
「不思議との出会い」っていうのかな?

そして、ジワリジワリと、二人のお母さんへの想いの大きさがわかってきます。お母さんと離れ離れであることが、就学前のメイにどれだけの負担になっていたんでしょうか?

あのきゅうりに齧り付くシーン。憧れたなぁ。
あそこで「ばあちゃんのトウモロコシ食べたらお母さんもすぐに元気になるよ。」っていうお婆ちゃんの優しさから出た言葉が伏線になるなんて思わないですよねぇ〜。

二人が喧嘩した後、サツキがお婆ちゃんに弱音を吐くシーン。しっかり者のお姉ちゃんの涙!
小学五年生でしたっけ?しっかりし過ぎていて、お母さんも心配してましたよね。
子供の頃に観た時は、あ、泣くんだ。位しか感じませんでしたけど、大人になってみると、あそこで不安を吐き出せて良かったなぁ。なんて思っちゃう。
サツキも限界だったんですよね。

でも、それがきっかけになってメイが走り出しちゃう。

もしお母さんの仮退院が近くなかったら、もし喧嘩してなかったら、もしお婆ちゃんの言葉がなければ、もしサツキが泣いてなかったら、っていういくつもの原因が重なっているのも自然でイイですよね。

メイが無事でいるかどうかわからない間。
結果を知っていても、トトロに助けてもらうまで、ずっと身につまされっぱなしですよね。

トウモロコシを抱えて走り出したメイの決意。
打算のない純粋な気持ち。
そしてサツキのあの必死な姿に胸を打たれない人はいないでしょう。
最後の最後で思いついた神頼み。
トトロのことなんて完全に忘れてませんでした?

で、私が一番好きなシーン!
「馬鹿メイ!」
そこから エンディングまでずーっと最高なんですよねー。

「病院に行ってくれるの!?ありがと〜〜〜!」
そりゃあ化け猫でも連れて行ってあげたくなりますよ!良い子達過ぎて。

私、十数年前から所沢近くに住んでまして。
松郷とか牛沼はすぐ近くなんです。初めて交差点の標識を見たときは感慨深かったです。
ここがあの、「松郷〜〜!?」の松郷かと。(笑)
牛沼とか安松とか、猫バスの行き先のトコにチラッと出てきただけなのに妙に覚えてるんですよね。

七国山ならぬ八国山も、よく近くを通ります。当時は西武線はどこまで開通していたんですかね?
あの時、お父さんは仕事先からお母さんの様子を見に行ってる訳で、トウモロコシ一本届けるなんて、やろうと思えば簡単なことですし、お母さんの体調も、そんなに心配するほどではなかった。

でも、あの「元気になって欲しい」という想いが詰まったトウモロコシと、顔を見て安心できた二人の気持ちはプライスレスですよね。

「案外そうかもしれないよ。ほら。」
夫婦の会話から、ネコバスの後部座席で揺られる二人で始まるエンディング。何でしょうね?言葉にできない、この幸福感?安堵感?
唄も相まって。
もう最強です。

そしてそれに加えて、色んな意味で「美しい」昔の田舎暮らし。田園風景も。森も、流れている時間も。人の暖かさも。
作品全体に溢れる「思いやり」の心。
理想だけをひたすらに描いた作品ですが、現在の私達が失っているものを浮き彫りにしているのだと思います。

特に母を想う子の直球どストレートの愛情を、当たり前だと思えるのかどうか。
教育資金の不安や溢れる情報に踊らされて、見失っていたりしないでしょうか?

実写映画含めて、こんないい映画はそんなに無いと思います。


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