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【詩】煩悩まみれの10分間

毎朝10分間、瞑想をする。
何が正しいかは分からない。
「呼吸に集中するべし」というにわか知識だけを携えてこの瞑想はスタートした。
今ではそれだけでなく、日々、独自のテーマが加わる。
それは最近何を学んで、どんなにわか知識を携えたかによって変わる。
今日のテーマは、
「座る、それ以上でも、それ以下でもなく」
10分間が始まる。
無意識に何かを考えてしまう。
これは、それ以上。
どうも座っていられない。
これは、それ以下。
座る、それ以上でも、それ以下でもなく。
じっと座りながら、それ以上を消していく。
座る、座る、ただそれだけ。
そうすると気づく。
一つだけどうしても消せないそれ以上がある。
それは呼吸。
息はし続けないと座ることもできない。
生きることからは逃れられない。
決して消せないそれ以上。
このそれ以上を消そうと果敢に挑戦する。
いっそ止めてしまおうか。
それは、むしろそれ以上か。
止めずに消す。
呼吸に集中してみる。
呼吸に没頭すると、思考が消える。
一歩前進か。いや、まだ呼吸がある。
呼吸を消したい。
思考に没頭すると、呼吸は消える。
でもやはり、思考は残る。
呼吸と思考を一緒に消したい。
はっとひらめく。
呼吸と思考を一つにすれば、、、
息を吸った。息をはいた。
思考にも呼吸させようと試みた。
頭を開いて風を入れる。
気持ちがいい。最近、頭を使ってばかりだった。
吸ってはいて。
ん、まてよ。
頭の換気はできているけど、思考に呼吸はさせてない。
思考に呼吸させたいんだよな。
脳に呼吸させなければ。
脳を開けようとした。
ロックがかかっていた。
電源を切らないと扉は開かないらしい。
電源スイッチを探した。
ひたすら探したけど見つからなかった。
脳の電源は操作できないらしい。
どうやって脳に呼吸をさせようか。
タイマーが鳴った。
今日も煩悩まみれの10分間が幕を閉じた。

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