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漬物の話し

都会で生活していますと、自家で漬物を漬けるということは中々やりません。

普段の暮らしの中でそうした必要がないからですが、それでも漬物を漬ける人というのは、趣味の延長で漬ける場合がほとんどではないでしょうか。

これが田舎の農村部の場合だと、まさに必要に迫られて漬物を漬けるといった事が起こってきます。

大根も白菜も畑に植えた野菜は、出来るときには皆同じ様な時期に出来てしまいます。

ほんの一畝だけしか作らなかったとしても、数人程度の家族ではとても食べきれない量が一斉に出来てしまいますので、上手に漬物にしたり干物にしたりしないと、せっかく作った野菜が無駄になってしまいます。

青菜類などは一度下漬けして嵩を減らしてから本漬けにして長期保存し、食べるときには塩抜きして食べるといった伝統的な保存食としての漬物は今でも農村部に行けば残っていると思います。

その証拠に、田舎の道の駅などに行くと、地元の主婦の方が作った手作りの漬物が沢山売っていますし、地元の方にとって、ちょっとした小遣い稼ぎにもなりますから伝統的な保存食の技術を継承する事にも役立っているのだろうなと思っていました。

所がですね、先日ちょっと見過ごせないニュースを見てしまい残念で仕方ありません。

今まで漬物の製造は届け出制だったのがこの6月から許可制に変わるのだそうで、許可を得るためには色々と設備を整える必要があるので、それなりに大規模でやっている人や業者以外は撤退するしかないのだそうです。

要するに今までは自宅の空きスペースなどに漬物樽を置いて作っていた漬物を販売する事が出来たのに、今後はそうした事が出来なくなります。

漬物を作る場所は住居スペースと明確に分ける必要があるそうで、水道の水栓もレバー式でないと許可されないとの事で、今まで問題無く出来ていたことに対してこうした規制をする事に一体何の意味があるのかと思ってしまいます。

漬物に限らずですが、こうした郷土料理的な技術というものはそれを引き継いでくれる人が居ないことには途絶えてしまいます。

今の日本では人口の多くが都会に出てしまい、田舎には年寄りしか残っていないのが現状です。

そうした社会では親から子供に技術が伝わっていきませんので、地域で何か動機付けをして残していくしかありません。

地元の道の駅や観光協会などで漬物や名物料理を販売する事が、その動機付けに大きく役立っていただろう事はすぐに想像出来ます。

確かに住居と作業場を分ければ何か問題が起こった時に対処もしやすいでしょうし、管理する行政の方にはメリットがあるでしょう。

しかしその為に、貴重な文化や伝統が失われる事になるとしたら、何とも味気ない世の中だと思うのは私だけでしょうか。

※元記事は「食べごろclub

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