梵鐘春助

農夫と本屋。 晴耕雨読がモットーです。

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蜂が入った

蜂がうちの中に入った。 窓のところで出たがっていた。 窓を開けた。 しかし、窓の動きにつられて、 開いていることに気づいていない。 タオルや箒でもって、 おそるおそる蜂のうしろから 追い立てた。 やっとこさ、 蜂がそとに出た。 蜂と話ができれば、 おそるおそる追い立てることも ないんだがな。

    • ししおどし?

      雨垂れの 排水パイプを 鳴らす音 なんか似ている ししおどしにも

      • 大嘘つきのクソカキベラ

        なんのために 生きてるんだろうね? これ以上いいことがないなら 永らえる理由なんて なんにもないんだけど。 「こいつ何言ってんだろ?」 白い目ばかり。 どこへ行こうと 大していいことがない。 人生が上向く、 兆しがない。 早々に見切りたい。 自分の人生を。 働けど働けど 大したことない。 書物など 燃してしまえ。 何が論文か! 何が回顧録か! MもSもクソカキベラ 聖地など争いばかり 「このクソカキベラが!」 なじる相手に不足なし 救いと言えば救いかも 鞭か棒か選ぶま

        • 磯の一悶着

          ウミウシが 「宗教みたいなことを言うな!」 と言った。 そんならイソギンチャクが 「おまえこそ政治を語るな!」 と言った。 するとフジツボが 「どちらも大差ない!」 と言った。 そのとなりのカキが 「話し合いで解決を!」 と言った。 ナマコはおだやかならず。 「てぇへんだてぇへんだ!」 「みんな戦支度だ!」 と方々にふれて回った。 磯の岩場は たちまち波に洗われ 泡が立ってはじけた。 カニがにやけて 「猥談でも語れ」 と言った。

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        蜂が入った

          詩を書く

          詩を書く 誰かの詩に似ている おのれの才能のなさ だからなんだ! とまた 詩を書き始める 美しい言葉を 連ねる詩人 少ない言葉を 置く詩人 詩人の歩みが そのまま詩になる 晴れといい 雨といい 暑いといい 寒いといい 語る言葉など 本当はないのだ! 詩を書く 何のために? 誰かの詩に似ている 何のために? おのれの才能のなさ 何のために? わからないまま 書くがまま 詩を書く 詩を書く

          あってないようなもの

          役に立たないものを 役に立たないといって捨てる すると 人生すべて 役に立たないものばかり ああでしたね、 こうでしたね、と 昔の風景を語るあなたを見て そうだったかな、 どうだったかな、と すっかり忘れてしまっている わたしを知る 自分のことだけを考える 人ばかりの世の中を見て 自分のことだけを 考えるようにしていた わたしの愚かさを それがあなたですか? そうすることが? そうふるまうことが、 あなただと思うのですか? 夜が明けるさまを 見つめながら 内側から静かに問

          あってないようなもの

          口数

          友人は静かな人がいい 口数の多い人は敬遠しがち 弾丸トークなど無粋 ある客は早口で まるでスペイン語でも 喋っているように喋る 悪態をつく無作法な客だが さいわい何を言っているのか わからないありがたさ この客は足を引きずっていて 悪態しか言わぬこの歪んだ口も 自身に向けられた偏見と侮蔑に 負けた証 「かわいそうに」と思う スペイン語のような 早口を目にしながら 友人は静かな人がいい 連れ合いも静かな方がいい ただ口数が少な過ぎると 私は不安になるだろう さ

          禅病

          冷えた本堂に坐り 朝の到来を見る 体の冷えは消えぬまま ネガティヴ因子が発動 落ち着かせるはずの 坐禅がために 地にめり込むほどの気分 不安時服用で持ち直し

          トマトをぶつけろ!

          運転中、人が変わったかのように 「死ね、死ね」「殺せ、殺せ」 言ってしまう私の闇の深さ 暴走族に出くわしたとき アレに手榴弾やらマシンガンやら ロケットランチャーやらを ぶちかませたらさぞかし 痛快だろうとたまに想像する 梶井基次郎的には 檸檬を投げまくったらいいが 些か硬くグチャっとならぬ するとどこぞのトマト祭か 奴等は連休や盆正月 行楽シーズンに 徒党を組んで暴走している そろそろ来そうだと思ったら 市民を、町内会を動員して めったやたらにトマトを 投げつけてやれ

          トマトをぶつけろ!

          コップの虚空

          詩を書くことを始めて もう20年以上になる 詩人たちのやりとりを眺めて 虚空に長く息を吐く まるで冬の長門峡にでも 訪れたかのような心持ち 取り戻せないものがあるとしたら それは覚悟だったのかもしれない 彷徨えども部外者 淡水に流されど泳げぬ 瀬戸の赤鯛 深傷を負って 浜辺に打ち上げられて 息苦しくも生き長らえて 虚空に弧を書くカモメも この赤鯛だけは喰わぬ 何が気に喰わぬのか はた目を上げて風を聞く 詩人たちのやりとりは続く 過ぎ去った日々は帰らず 淡水のよ

          コップの虚空

          言葉が迷わせる

          言葉が見つからない。 言葉がいらない。 言葉が迷わせる。 言葉で語られないことの方が 本当の本当に 大切だったりする 現代社会の なんと言葉の多いことか その言葉に誠はありやなしや

          言葉が迷わせる

          荒御魂

          やりきれなさに 神の社へ 怒鳴り込み 殺せ殺せ祖師を殺せ 殺せ殺せ弥陀を殺せ 殺せ滅ぼせ右左 端から端まで 燃やし尽くせ この腐り切った現世を 端から端まで燃やし尽くせ この腐った俗世を 塵芥へ帰せ かみほとけ あらゆる教えのかみほとけ みな殺せ この世が救えぬというのなら そんな神も仏も 現世俗世ももういらぬ 老いも若きも我儘だ 亡者どもの頭に火をつけろ 腐ったその気を払え払え 我こそが荒御魂 現世利益の有象無象を 端から端まで焚べてやれ 我こそが荒御魂 神の社へ 怒鳴り込

          芻狗〜一切皆苦〜

          休みなく働き 人から罵られ 傷つけられて なお生き続ける その意味を 問うことにも 疲れた 飲み続ける薬の なんと多いこと なんと無駄なこと 生き続けることの なんと苦しいこと まさに私は芻狗 救いなきこの世から 早く解き放ちたまえ

          芻狗〜一切皆苦〜

          年末の人々

          駐車場で 車に乗ったまま 年の瀬の人々を 眺めている 走る人 大荷物を抱える人 カップルのような 親子連れ 昔は 年の瀬の人々が 別世界の住人のようで 無縁だと思っていたが 忙しなくも 無事に今年を終える その幸せなことときたら 思いもよらぬことである そのままでありがたい 年末もまた ありがたい

          年末の人々

          年の瀬

          年の瀬に 無〜と言いて 仕事する 心の中の 穏やかなこと

          獅子吼の物真似

          無門禅門 坊主の物真似をして かあああつ! とひとり言う かあああつ! かあああつ! かああかつ! げほっげほっ! 獅子吼してみる あこがれて 獅子吼しながら むせにむせ 無相の相を 相として がほっげほっ! ごほっがほっ!

          獅子吼の物真似