蜂がうちの中に入った。 窓のところで出たがっていた。 窓を開けた。 しかし、窓の動きにつられて、 開いていることに気づいていない。 タオルや箒でもって、 おそるお…
私の詩はただの愚痴だ 愚痴など誰が読むものか 心に鬱屈した やむにやまれぬ情念を 下手に言葉にしたがため 詩とは名ばかりな 落書きだ 落書きを音にのせ 書き進めるう…
待ち時間を 見続けている 「これが待ち時間か」 待ってみてわかることがある
雨垂れの 排水パイプを 鳴らす音 なんか似ている ししおどしにも
なんのために 生きてるんだろうね? これ以上いいことがないなら 永らえる理由なんて なんにもないんだけど。 「こいつ何言ってんだろ?」 白い目ばかり。 どこへ行こうと…
ウミウシが 「宗教みたいなことを言うな!」 と言った。 そんならイソギンチャクが 「おまえこそ政治を語るな!」 と言った。 するとフジツボが 「どちらも大差ない!」 …
詩を書く 誰かの詩に似ている おのれの才能のなさ だからなんだ! とまた 詩を書き始める 美しい言葉を 連ねる詩人 少ない言葉を 置く詩人 詩人の歩みが そのまま詩に…
役に立たないものを 役に立たないといって捨てる すると 人生すべて 役に立たないものばかり ああでしたね、 こうでしたね、と 昔の風景を語るあなたを見て そうだったか…
友人は静かな人がいい 口数の多い人は敬遠しがち 弾丸トークなど無粋 ある客は早口で まるでスペイン語でも 喋っているように喋る 悪態をつく無作法な客だが さいわい何…
冷えた本堂に坐り 朝の到来を見る 体の冷えは消えぬまま ネガティヴ因子が発動 落ち着かせるはずの 坐禅がために 地にめり込むほどの気分 不安時服用で持ち直し
運転中、人が変わったかのように 「死ね、死ね」「殺せ、殺せ」 言ってしまう私の闇の深さ 暴走族に出くわしたとき アレに手榴弾やらマシンガンやら ロケットランチャーや…
詩を書くことを始めて もう20年以上になる 詩人たちのやりとりを眺めて 虚空に長く息を吐く まるで冬の長門峡にでも 訪れたかのような心持ち 取り戻せないものがあると…
言葉が見つからない。 言葉がいらない。 言葉が迷わせる。 言葉で語られないことの方が 本当の本当に 大切だったりする 現代社会の なんと言葉の多いことか その言葉に誠…
やりきれなさに 神の社へ 怒鳴り込み 殺せ殺せ祖師を殺せ 殺せ殺せ弥陀を殺せ 殺せ滅ぼせ右左 端から端まで 燃やし尽くせ この腐り切った現世を 端から端まで燃やし尽くせ …
休みなく働き 人から罵られ 傷つけられて なお生き続ける その意味を 問うことにも 疲れた 飲み続ける薬の なんと多いこと なんと無駄なこと 生き続けることの なんと苦…
駐車場で 車に乗ったまま 年の瀬の人々を 眺めている 走る人 大荷物を抱える人 カップルのような 親子連れ 昔は 年の瀬の人々が 別世界の住人のようで 無縁だと思ってい…
梵鐘春助
2023年6月5日 16:44
蜂がうちの中に入った。窓のところで出たがっていた。窓を開けた。しかし、窓の動きにつられて、開いていることに気づいていない。タオルや箒でもって、おそるおそる蜂のうしろから追い立てた。やっとこさ、蜂がそとに出た。蜂と話ができれば、おそるおそる追い立てることもないんだがな。
2024年4月30日 20:14
私の詩はただの愚痴だ愚痴など誰が読むものか心に鬱屈したやむにやまれぬ情念を下手に言葉にしたがため詩とは名ばかりな落書きだ落書きを音にのせ書き進めるうちに澄み渡れ澄み渡れ澄み渡れと清めのためにうたをよむ清めのための詩作りや私の清めに詩を作る
2024年4月30日 15:24
待ち時間を見続けている「これが待ち時間か」待ってみてわかることがある
2024年4月22日 15:45
雨垂れの排水パイプを鳴らす音なんか似ているししおどしにも
2024年4月14日 23:16
なんのために生きてるんだろうね?これ以上いいことがないなら永らえる理由なんてなんにもないんだけど。「こいつ何言ってんだろ?」白い目ばかり。どこへ行こうと大していいことがない。人生が上向く、兆しがない。早々に見切りたい。自分の人生を。働けど働けど大したことない。書物など燃してしまえ。何が論文か!何が回顧録か!MもSもクソカキベラ聖地など争いばかり「こ
2024年4月14日 21:33
ウミウシが「宗教みたいなことを言うな!」と言った。そんならイソギンチャクが「おまえこそ政治を語るな!」と言った。するとフジツボが「どちらも大差ない!」と言った。そのとなりのカキが「話し合いで解決を!」と言った。ナマコはおだやかならず。「てぇへんだてぇへんだ!」「みんな戦支度だ!」と方々にふれて回った。磯の岩場はたちまち波に洗われ泡が立ってはじけた。
2024年4月12日 15:44
詩を書く誰かの詩に似ているおのれの才能のなさだからなんだ!とまた詩を書き始める美しい言葉を連ねる詩人少ない言葉を置く詩人詩人の歩みがそのまま詩になる晴れといい雨といい暑いといい寒いといい語る言葉など本当はないのだ!詩を書く何のために?誰かの詩に似ている何のために?おのれの才能のなさ何のために?わからないまま書くがまま
2024年3月20日 00:09
役に立たないものを役に立たないといって捨てるすると人生すべて役に立たないものばかりああでしたね、こうでしたね、と昔の風景を語るあなたを見てそうだったかな、どうだったかな、とすっかり忘れてしまっているわたしを知る自分のことだけを考える人ばかりの世の中を見て自分のことだけを考えるようにしていたわたしの愚かさをそれがあなたですか?そうすることが?そうふるまうこと
2024年3月15日 00:25
友人は静かな人がいい口数の多い人は敬遠しがち弾丸トークなど無粋ある客は早口でまるでスペイン語でも喋っているように喋る悪態をつく無作法な客だがさいわい何を言っているのかわからないありがたさこの客は足を引きずっていて悪態しか言わぬこの歪んだ口も自身に向けられた偏見と侮蔑に負けた証「かわいそうに」と思うスペイン語のような早口を目にしながら友人は静かな人がいい
2024年3月11日 00:07
冷えた本堂に坐り朝の到来を見る体の冷えは消えぬままネガティヴ因子が発動落ち着かせるはずの坐禅がために地にめり込むほどの気分不安時服用で持ち直し
2024年3月8日 22:26
運転中、人が変わったかのように「死ね、死ね」「殺せ、殺せ」言ってしまう私の闇の深さ暴走族に出くわしたときアレに手榴弾やらマシンガンやらロケットランチャーやらをぶちかませたらさぞかし痛快だろうとたまに想像する梶井基次郎的には檸檬を投げまくったらいいが些か硬くグチャっとならぬするとどこぞのトマト祭か奴等は連休や盆正月行楽シーズンに徒党を組んで暴走しているそろそろ来そ
2024年3月5日 11:18
詩を書くことを始めてもう20年以上になる詩人たちのやりとりを眺めて虚空に長く息を吐くまるで冬の長門峡にでも訪れたかのような心持ち取り戻せないものがあるとしたらそれは覚悟だったのかもしれない彷徨えども部外者淡水に流されど泳げぬ瀬戸の赤鯛深傷を負って浜辺に打ち上げられて息苦しくも生き長らえて虚空に弧を書くカモメもこの赤鯛だけは喰わぬ何が気に喰わぬのかはた
2024年3月3日 16:49
言葉が見つからない。言葉がいらない。言葉が迷わせる。言葉で語られないことの方が本当の本当に大切だったりする現代社会のなんと言葉の多いことかその言葉に誠はありやなしや
2024年1月2日 21:31
やりきれなさに神の社へ怒鳴り込み殺せ殺せ祖師を殺せ殺せ殺せ弥陀を殺せ殺せ滅ぼせ右左端から端まで燃やし尽くせこの腐り切った現世を端から端まで燃やし尽くせこの腐った俗世を塵芥へ帰せかみほとけあらゆる教えのかみほとけみな殺せこの世が救えぬというのならそんな神も仏も現世俗世ももういらぬ老いも若きも我儘だ亡者どもの頭に火をつけろ腐ったその気を払え払え我こそが荒御魂
2024年1月2日 15:36
休みなく働き人から罵られ傷つけられてなお生き続けるその意味を問うことにも疲れた飲み続ける薬のなんと多いことなんと無駄なこと生き続けることのなんと苦しいことまさに私は芻狗救いなきこの世から早く解き放ちたまえ
2023年12月31日 08:14
駐車場で車に乗ったまま年の瀬の人々を眺めている走る人大荷物を抱える人カップルのような親子連れ昔は年の瀬の人々が別世界の住人のようで無縁だと思っていたが忙しなくも無事に今年を終えるその幸せなことときたら思いもよらぬことであるそのままでありがたい年末もまたありがたい