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連句会の記録「第二次成長記」

 2021年10月23日、浜松にて、牟礼鯨・にゃんしー・泉由良の3人で連句会を催しました。折しも当日はにゃんしーの誕生日であり、鯨さんからのケーキの振る舞いなどが行われ、2年ぶりの連句会という緊張もありつつ、終始和やかな雰囲気でした。

歌仙 オンザロック
猫(捌き)・鯨・泉
2021年10月23日
第二次成長記

第1連
1 稲狩りや大阪五句より文訪ね(秋)
2 月の田へゆく人類の孫(秋・月)
3 ユートピアおしめを外しマスクして(雑)
4 何処へいっても筆記具は要る(雑)
5 冬服を新聞記者は脱ぎ捨てる(冬)
6 なまで世論をいまcalling(冬・氷)

第2連
7 大空へ未来投票雨のよう(雑)
8 ピルを飲んだら君に会えるね(恋)
9 元カレのケーキにのったオレンジの(恋)
10 チョコラBBおやつにしてる(雑)
11 後輩は夏の風邪から帰らない(夏)
12 待ち侘びて人は句を綴るのか(雑)

第3連(自由律)
13 高性能ファンキー単身赴任(ロック)
14 桃色ウォシュレット(恋)
15 洗っても洗ってもシリカゲル(恋)
16 濡らしちゃいけない白い粒々(雑)
17 誰が入れたか知らないが俺の胃に百グラム(雑)
18 さいごにさわやかのハンバーグ(雑)

19 親族で行く年くる年楽しい食事(新年)
20 我が子を埋めるサンタクロース(冬)
21 ふるえてる家族が増えた冬の日に(冬)
22 女の子という現象に恋(恋)
23 夕桜コブシを効かす初音ミク(春・花・恋)
24 入学式にスカートで来い(春)


▽ココカラ▽

第二次成長記


衆院選前、大阪五区より幼子を訪ねた客人の発句は「稲」を「狩る」という波乱の幕開けとなった。発句を受け「fxxk!」と漏らした主人の目線はすでに月へと飛んでいる。先走りぎみに未来を憂う連句は8句目でピルにより恋を含んだものへと位相を変える。定型が居心地わるそうに若々しく震える57の交錯は、13句目からの自由律の連で解放された。飛んだのである。あたかもさわやかのハンバーグがトランキライザのように着地した18句目以降、新年を契機にいまさらのように行儀をととのえた句がはじまる。22句目、あけすけに現われた「恋」という言葉により、これが幼子の成長期であったと知る。入学式にスカートで来る、それはすなわち「文」という両性具有の名前が与えられたthemにおける性自認の芽生えである。
△ココマデ△

 本連句会の詳細な様子は、今後発行する風翳vol.2に掲載される予定です。

 第一回連句会は下記冊子に収録。



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短詩会風翳の詩誌を発行する為に使わせていただきます。 ありがとうございます。