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you don't need a hat to be a cowboy.

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Rebel Heartを追いかけて #1

2017年春 東京 終電までにその日の業務を終えられなかった私は職場近くで買ったコンビニ弁当をぶら下げ自室に戻った。 『まだ晩飯食べてないから買ってくるわー』 20分前にそう声をかけた時にはパソコンにかじりついていた後輩が、今は電池が切れた様に机に突っ伏してる。 『自分も食べてないやろ。メシでも買ってこいよ』 いかにも先輩らしい声色で放ったセリフは誰の脳みそにも届かぬままオフィスの壁にぶつかり、居心地の悪い振動を増幅させて全身に跳ね返ってきた。後輩はピクリとも動かな

    • イチカバチカのその先で

      三年間積み上げて来たものを一瞬で破壊された気がする。そんなはずはないのに。 ******************** 君の目玉をくり抜きたい。そしてオレの目にする。その若さに戻って通りを眺めてみたい。 とある映画でエドワード・ノートンが演じるキャラクターが憂い気にこぼした言葉。私は物語に触れる時、誰かを愛する時、この言葉を強く意識する。 元来、物語の登場人物に同化、同一視したくなる性分だ。オアシスを聞けばカラオケで右肩を下げるし、ジェフ・ハーディにハマった時には制服の

      • おめでとう、お前は立派な蛇となった

        私は怒っていた。 5年ほど前アメリカにいた頃、私は家の近くや隣州で開催されるWWEの大会をよく観戦していた。そのどの会場でも共通してほとんど必ず聴こえてくるチャントがある。 "CM Punk!! CM Punk!! CM Punk!! CM Punk!!........." 失いかけた私のプロレスへの情熱を諦めさせなかった男の名前。 それは数年前にプロレス界から去った男の名前。 私のヒーローだった男の名前。 会場でこの名前を耳にするたびに私は苛立っていた。眉をひそめて

        • AEW Full Gear レビュー(Kenny Omega vs Adam Page)

          かつて、とあるプロレスラーに人生を破壊された。 かつて、とあるプロレスラーに人生を再生してもらった。 そして今、とあるプロレスラーと歩んでいくことを決めた。 この記事では、アメリカ時間2021年11月13日、日本時間同14日にミネアポリスにて行われたAEW秋のビッグマッチ(PPV)『Full Gear 2021』のメインイベント、AEW世界王座戦に関するレビューを行いたい。 とまあマッチレビューといっても、書き終えた今振り返ると私自身をレビューする極めて私的な文章になって

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        • BE BETTER
          6本

        記事

          Hangman's Tale 〜アダム・ペイジの物語〜

          "ハングマン" アダム・ペイジ 日本のプロレスを中心に見ている方にとっては、ケニー・オメガ時代のBullet Clubの一員、そしてその内部ユニットにしてAEW旗揚げ中心メンバーであるThe Eliteとして馴染みがあると思う。 AEWを追っていない方にとってその印象は『才能あるいち若手レスラー』といったところではないだろうか。ずっと私もそうだった。 来たる11月13日(日本時間14日AM10:00)、彼はAEW秋のPPV『Full Gear』においてAEW世界王座に挑

          Hangman's Tale 〜アダム・ペイジの物語〜

          Cowboy Sh%t ってなんだ

          Chant = チャント選手の名前やニックネーム、キャッチフレーズ、試合内容やストーリーへの賞賛、驚嘆、あるいは拒絶反応を込めて。時に団体側の想像を遥かに超えるうねりを生み出し、会場に響き渡る。 名前も知らない隣席の誰かと心を通わせるツールであり、プロレスという非日常空間を堪能できるエンタメを構成する重要なファクターの一つであろう。 ご時世により制限を受けた今、会場に行くにはあまりに遠くに来てしまった今、改めてその尊さを画面を眺めながら感じている。 "ハングマン" アダ

          Cowboy Sh%t ってなんだ

          CMパンクのプロレス復帰に寄せて

          2021年8月20日という日を生涯忘れないために7年前彼がプロレスの舞台から突如姿を消してから、ずっとこの瞬間を待っていた。 ―――――――――――――――――――――――――――― 2006年夏、スーパーアスリートやフィジカルモンスターがひしめき合うWWEにおいて、お世辞にも体は大きくない、別に運動神経が良さそうでもない、そのくせ「ストレート・エッジ(※)だけど戦い中毒だ」なんて大口を叩きながら、上半身に刻み込まれた主張が強そうなタトゥーの数々を携えて、そんな彼は画面に

          CMパンクのプロレス復帰に寄せて