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一瞬で心奪われたフィンランドプチ移住体験記 ~その6~

日本に持って返りたいもの

ここまでフィンランド現地で見たこと、好きなところなどを書いてきました。でもやっぱり日本に戻ってきて生活すると、日本の環境とか、いろんな人に流されてしまうだろうな……とも感じます。

長らく憧れを持っていた北欧のライフスタイル。その真髄を持って帰りたいという自戒も込めて記載します。

3ヶ月の家族でのフィンランド生活は、のびのびと生活を楽しんでいる雰囲気が印象的でした。せかせかしている人は少なく、ゆったりと生活する豊かさ。そんな土地で住まうように旅をしてもっとも学びが深く、忘れたくないと思っているのは「自分が大切なことを日々の暮らしで大事にする」こと。

数字や人との比較で自分や子供を評価するのではなくて、もっと別の価値観でも良いのではいかと。その方が幸せで満ち足りた人生に近づけると感じたのです。

現地の人に聞いた典型的なフィンランド人はシャイで思慮深いイメージだそう。自分が中心といっても、決して自己中心的なわがままではなく、大切なものを周りに集めて、自分を取り囲む半径1mのスペースを大事に扱う生活が良い雰囲気を発していました。

3ヶ月滞在が終わり帰国時の荷物。上着が数枚増え、スーツケースに入らず。

森と近い生活、そして「エンタメが少ない」

フィンランド人の友人に週末の過ごし方や国内旅行について尋ねると、自然の中でハイキングとか自然をゆっくり楽しむことが人気だそう。森に行くとリラックスできるし、森に行くのが生活の一部という人もいました。

逆に言えば都心のキラキラしたものが少ない場所でもあります。若いときはフィンランドはつまらないと思いロンドンなどの大都市に行って、金融街で活躍、30代後半になってフィンランドに戻ってきた人にも数人会いました。

実際、ラッペンランタから2時間かけてヘルシンキにも遊びに行った際には(東京に比べると)街が小さく、観光はすぐ終わるし、買い物もそんなに楽しくない。消費するところは少なく、エンタメも限定的。食べ物や洋服は高いのに日本の方が美味しく種類が多いので、食べ歩きやショッピングの楽しみはあまりないという風に感じました。

東京に住まい、東京の消費型生活に慣れてしまうと物足りないとも言えるかもしれません。21歳の時に旅した時には、首都ヘルシンキのコンパクトさに驚き、観光を半日して交換留学で来日していた知人とサウナに行って、翌日はエストニアに船旅した記憶があります。

一方で結婚して子供とフィンランドを訪れると、一瞬で魅了されました。人生の優先順位に変化があり、味わい深い日常の素晴らしさを見つけたとも言えます。

フィンエア機内食。チキンとブロッコリー、ポテトサラダ、パン、チョコレート。

森では、一緒に過ごす時間を大事にしている

夏はブルーベリーを摘んで、秋はマッシュルームをとりに行く。そんなアクティビティを通して家族や友人と過ごす過程で、自分や家族、友人に向き合っているように感じました。

日本では、あれしなさい、これしなさいは「良い」大人に教育するために必要な子育てのように感じることがあります。実際に私も母に子供をピアノ、習字、プールなどのお稽古に連れて行きなさいなど言われるのですが、果たして、お稽古が役に立ったかは疑問だなと。

反面教師的に、自分の子供に対しては、彼女の興味関心に向き合いたいとぼんやり考えていました。そしてフィンランドでは子供は子供らしく、子供のペースで遊び、楽しい日を過ごすことで成長していくという考え方に出会って少し肩の荷がおりた気がしました。

無理しないで、自分や子どもの気持ちを大切に。自分の人生に余白があるから、人にも優しい。

ふと気づけば、非認知能力を高めることが推奨されるフィンランド式の子供への接し方をローカルの家庭や保育園で見ることができたのがいちばんの財産かもしれません。


では今後どうやって子供に接したいか、親として忘れたくないこと

今後はフィンランドの良いところを日々の生活に取り入れ、自分や子供にとって大切な本質に、向き合っていきたいと思っています。不確定な将来の幸せより、今の幸せを大切にすることから。これまで忙しさに流されたり、自分の子供を他の子と比べていたところがあったのですが、比べることで自分を苦しめていたかもしれません。

機内食はマリメッコのナプキンとともに。

例えばフィンランドのお母さんたちは、知的で思慮深く「幸せ」な素敵な女性。いつも同じ服を着て、ノーメイクでも輝いている母親像を見て、見た目を取り繕うよりも自分自身の気持ちや家族を大切に時間を使いたいと思うようにもなりました。

1日は24時間と決まっているのだから、その時間を楽しく過ごすことが最も大切なことだと保育園の先生に教えてもらったのも新鮮な学びでした。

これまでは無意識に急いでやらなきゃとか、効率良くしなきゃと効率を求めて、疲れることがありました。

でも、もっとゆっくりでもいいし、そんなに焦らなくてもいいよなっていうのは、日本では気づくことができない価値観でした。効率よく働くと長時間労働の違い、自分の仕事の責任を果たすけど余計な気遣いはしないだとか。現地ルールが心地良くも感じました。

子供ができると働き方が変わるのはもう仕方がないことだと腹落ちしたし、日々の生活や家族を大切にするのは魅力的な価値観だと深く理解しました。ライフワークバランスとか、仕事と育児の両立は、子供がいない前提とは大きく変わるのは当然なわけです。

フィンランドのマインドセットを知って、うちの子供は平仮名は書けず読めないのですが他の子ができてうちの子供ができなくても、保育園に通ううちは気にしなくていいかも、と考えるようになりました。数ヶ月後、子供がひらがなを教えてほしいと言い出し、その時に応援する方が自然だし、親は疲れないと気づきました。

あと、食事準備は頑張らない。火を使う料理は1日に1回、栄養は1週間単位で取れるようにして、忙しい日は無理しないようにしています。


朝食はシンプルにオムレツとハッシュブラウン


滞在後の感想

タイトル通り、一瞬で魅了され大好きになったフィンランド。人が温かくて、子育てしやすく、素敵な国です。子供が現地での楽しいことを見つけて、日々楽しんで生活していたのも嬉しい発見でした。

我が家の子供は4歳。この先の教育について明確に決めていないのですが、日本の常識とか世間体を気にして子育てに悩み多くの支出を払うくらいなら、一層フィンランドに教育移住したいなと感じました。

仕事面では、日本のお客さんの仕事をしながらフィンランドに滞在したので、6-7時間時差は大変でした。オンラインの打ち合わせは時間が合わせづらいのが正直な感想です。

フィンランドは起業したい人のビザや収入サポートがあるので、各種移住制度についても検討できたらいいなとは思いました。

ヘルシンキ空港出発時搭乗後、は除雪車で雪を払ってから滑走路に向かいました

3ヶ月滞在後、フィンランド知人のようにDIYでスタンディングデスクを作り、生ごみをゴミ箱に捨てずに肥料に変えるコンポストを始めました。フィンランドで学んだエッセンスを思い出す行動を普段の生活に取り入れて、大事にしていきたいと考えています。

プチ移住にもっとご興味がある方は、移住に際して必要だった準備詳細を記した「フィンランドプチ移住の準備(一部有料)」の記事もご覧ください。