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Bounty Dog【14Days】

53
遠く、でもいずれ来るだろうこの世界の未来を先に走る、とある別の世界。人間達が覇権を握るその世界は、人間以外の全ての存在が滅びようとしていた。事態を重くみた人間は、『絶滅危惧種』達… もっと読む
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Bounty Dog 【And end run.】 13-15(了)

13

 立蜥蜴族の再捕獲任務は、余りにも呆気無く終わってしまった。ホウレンソウは全く不要のまま、またヒュウラが単独で片付けてしまった。
 デルタは、ルキスと現場にやって来た亜人課現場保護官の数名と共に、トカゲの亜人を連れて戻ってきた狼の亜人を広場で迎え入れた。外れている首輪型発信機を右手に掴んでいるヒュウラは、無表情でトカゲが保護官達に用意されている鉄の檻に入っていく様子を観察する。
 檻の出入

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Bounty Dog 【And end run.】 11-12

11

 トカゲと狼は丘に囲まれている某国の端まで移動した。隣の国との国境がある大きな谷に、人間が作って整備しているアスファルトの道路が伸びている。
 四つん這いになって蛇のように奇抜な動きで進んでいくトカゲの亜人の後を、狼の亜人は二足歩行で駆けながら付いて行く。2種の亜人は谷の頂上付近に辿り付くと、崖の上に並んで身を伏せて、道路の一角を見下ろした。
 デニムの作業服を着た50代と70代の人間の男

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Bounty Dog 【And end run.】 9-10

9

 デルタはヒュウラを連れて、支部と輸送場を繋ぐ道の中間にある広場に移動した。通信機を手に掴んでいるテセアラ・ルキス保護官が、緊迫した面持ちで班長と特別保護官兼超希少種の亜人を迎えた。
 ルキスは開口早々、上司に謝罪する。
「リーダー、申し訳ありません。非番なのに」
 デルタは『構わない』と、片手のジェスチャーで伝えた。ヒュウラは仏頂面で、初対面であるルキスの顔を眺める。ルキスはヒュウラが来る

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Bounty Dog 【And end run.】 6-8

6

 支部のデルタの自室に戻ってきたヒュウラは、元の格好に戻っていた。掴んだ林檎を齧り食べながら、無表情でデルタを見つめる。
 元の格好に戻っているデルタは、床に散らばっている林檎の芯と蜜柑の皮を掴んでゴミ箱に捨てた。銀縁眼鏡を指で調整しながら暫く物思いに耽ると、食べ終えた林檎の芯を己でゴミ箱に捨てたヒュウラに向かって話し掛けた。
「値段の計算に関する相談と報告は無かったものの……レベル1は特段

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Bounty Dog 【And end run.】 4-5

4

 デルタとヒュウラは、とある国の丘の上にある3班・亜人課の支部と、保護官達が保護任務の現場に向かう為に使う、あるいは保護した絶滅危惧種の亜人を護送する為に使う飛行機を置いている輸送場の、丁度中間地点に設けられている集会用の広場に移動した。
 支部を見下げられる場所にある広場の中央で、向かい合わせに立った人間と亜人は互いに顔を見合わせる。仏頂面で仁王立ちをしているヒュウラに、真顔で腕を組んで立

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Bounty Dog 【And end run.】 1-3

 絶滅危惧種の亜人、Sランク『超希少種』獣犬族(じゅうけんぞく)のヒュウラは、『世界生物保護連合』3班・亜人課の新人保護官ミト・ラグナルによって保護された。本来は人間が作った一生人間に保護される特別施設に送られる予定だったが、とある1人の人間が組織の最高幹部者達と行った交渉により、組織の亜人課現場担当部隊の手伝いで成果を出す事を条件に、期限付きだが亜人課現場部隊支部で自由に過ごせる特別猶予を貰って

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Bounty Dog 【14Days】 114-115(了)

114

 この世の物質には一定の条件を課すと必ずそうなる法則がある。人間はこの数多くの自然の法則を見出し、物質が起こす現象を研究し、応用し、人間の文明の新たな礎にする。人間はこれらを総じて『科学』と称している。
 水は水素と酸素の元素が結合した『密集』体である。金属は純物質では自然界に存在しないが、意図的に他物質を混ぜ込まない限りは、人間は同一元素の『密集』として精錬し、物として作り出す。
 火

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Bounty Dog 【14Days】 112-113

112

 空中に作られる爆弾は、空中に作られる電磁砲になった。小さな白い手が放つ指弾きが銃の引き金のように、電撃の球から矢を撃ち出して飛ばしてくる。その電磁砲も”魔法”だった。充電の必要は全く無く化学技術も設備も一切必要無く、指で宙を叩いて指で宙を弾けば、電撃の矢が宙に生まれて駆けていく。
 創作御伽話に登場する魔術者達も皆が消魂するだろう、魔力も詠唱も特別な道具も才能も修行も全部要らない”全て

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Bounty Dog 【14Days】 108-111

108

 ヒュウラは俊足で通路を駆けた。空気を爆発させる鼠の亜人の威嚇を手掛かりにして、鼠を探す。追われているが、追いもしていた。足の速さを含む運動神経は、己の方が遥かに優っている。
 右手で掴んだ瓶の中の酒が振られて揺れた。左手が腰に巻いた赤い布からずり落ちそうになっている、柄だけになった巨斧を掴んで支える。ライダースーツのような黒い服のズボンに柄の尻を押し込んで無理矢理支えを増やすと、ポケッ

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Bounty Dog 【14Days】 105-107

105

 支部から突然、狼の遠吠えのような声が響いた。
 支部の外に居るミト・ラグナルが通信機を耳から離した。驚愕しながら建物を見る。吠え声は何かに怒っているように聴こえた。ローグが出したものではないと直感で想った。
 支部の中に居るリングも、吠え声を聞いて驚いた。身を飛び上がらせると、直ぐに目をキラキラ輝かせて、鳴き声混じりに呟いた。
「ニャー。ヒュウラ、吠えた。ヒュウラ、吠えられるのニャね。

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Bounty Dog 【14Days】 101-104

101

 ローグの子供は超希少種亜人用の座布団に座っていた。お行儀良く正座をして、程良く柔らかい敷き物の心地良さに、黒い大きな獣耳を振りながら上機嫌になる。
 集会場は崩壊間際の状態だった。『原子』が作った爆弾で、壇も白幕もプロジェクターも、全てが砕けて焼け焦げて徹底的に破壊されていた。
 唯一無傷で残されている青いビニールシートに乗った座布団の上で寝転がると、ローグは着ている黒いダボダボの服の

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Bounty Dog 【14Days】 98-100

98

 十数分歩いただけで、ミト・ラグナルの自室に問題無く辿り着いた。ローグが先程まで滞在して内部を物色していたらしく、散乱しているスナック菓子のチーズ味だけが食い散らかされている。
 ローグの歯と味覚に合わずに放り捨てられていた海苔付きの醤油煎餅を、歯と舌に絶妙に合って好物となっているヒュウラは拾い集めて腰のポケットに3枚収めた。1枚を口に入れて齧り食うと、菓子袋の下敷きになっていたテレビのリ

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Bounty Dog 【14Days】 96-97

悪い事をしたら罰が下る。恐ろしいモノに、恨まれて。

96

 ローグの子供は前方を凝視した。夜闇のように暗い人間の建物の通路に充満する、煙の中に影を見つけた。
 小柄な大人の影が2つ、背の高い影が1つの合わせて3つ。横に繋がって、彼方へと動いていく。
 子供は歯を見せて笑った。大きな獣のような黒い耳を上下に振る。赤い目が深紅に、水色に、黄色に、黄緑に、灰色になって、深紅に光った。
 数字で1を示

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Bounty Dog 【14Days】 95

95

 ミト・ラグナルとリングは、支部から少し離れた丘の上まで避難していた。周囲に支部から逃げてきた他の保護官達が固まって立っている。
 皆が崖の下に見える支部を心配そうに眺めている。建物の一部が爆発した。窓が割れて炎と黒煙が噴き出る。
 ミトは目を見開きながら、たった1体の亜人に破壊されていく己の職場を凝視していた。隣で身を伏せて同じものを見ているリングは、一声鳴いてから呑気に呟く。
「ニャー

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