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パルプ小説:West Side Stream 4

頭が痛い。完全な二日酔いである。
タバコ屋の前で、タバコを咥える。
ポケットから、ライターを取り出す。昨日行ったキャバクラのライターだった。
火がつけば問題はない。
「hahahaha!」
コンビニの前で数人のクルド人がコンビニ酒をヤっている。声がでかい。

ライターを握り直して火をつける。
タバコの煙がうまく入らない。昨日、タバコを吸いすぎてしまった。しかし、癖のなのか何なのかわからないが火をつけてしまった。

「げっほごほ。」
咳き込む。アスファルトに張り付いた、車のゴムのカスを見る。
見上げると、スーパーマーケットがある。
主婦や部活帰りの学生が吸い込まれていく。
近くにあった、遠い日常がそこにはあった。

裏手の従業員入り口から、パートのおばちゃんたちが帰ってくる。
そこには見覚えのあるおばちゃんもいた。髪が白くツヤがない。服もヨレヨレになっている。
昨日のキャバクラおばちゃんだった。
何やら、クルド人のおじさんと話をしている。クルド人も従業員入り口から出てきた。どうやら、クルド人もパートタイムで働いているようだった。

ブブッ
スマートフォンの通知がきた。

moe「昨日はありがとうー🫶久しぶりに楽しく飲めたよ🍻また飲もうね💕」
昨日、飲んだキャバ嬢からのLINEだった。

ボーッとスマートフォンを眺めていた。ハッとして、スーパーの従業員入り口を再び見たが、おばちゃんの姿がなかった。
残っていたのはクルド人のおじさんだけだった。
自販機でコーヒーを買う。
「hahahaha!!」
クルド人の笑い声が聞こえる。
タバコを排水溝に捨てて、スーパーに向かって歩く。
【続く】

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