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新CEOインタビュー CEOに聞くFiNCの未来

今回は、2023年6月21日付で代表取締役CEO兼CFOに就任した小泉にインタビューしました。

■小泉のこれまでの経歴
小泉:東京大学経済学部卒業後、株式会社日本興業銀行(現みずほ銀行)、ゴールドマン・サックス証券株式会社で投資銀行部門にて資本市場本部共同本部長、公共セクターインフラユーティリティーセクター本部長、汎アジアキャピタルコミッティー委員などを歴任した後、2014年7月に退職。 2015年7月にFiNC(現FiNC Technologies)へ入社し、代表取締役副社長CFO兼CSOに就任。2023年6月、代表取締役CEO兼CFOに就任。


── なぜFiNC TechnologiesにJoinしたのですか?
「興銀やゴールドマン・サックス証券(以下、GS)を通じて死ぬほど働いてきたので後はゆっくり余生を過ごしたい。」GSを辞めた当時、完全に第一線から退くつもりだったんです。自身の父が50代で発病し、残りの約30年を闘病に費やした末に他界したこともあって、「親父の分まで精一杯生きよう!」とGSの退職前から心に決めていました。退職後の約1年はまさしく無職。ヨットにサーフィン、ゴルフに冬はスキーと多趣味なゆえ、数カ月はあっという間に過ぎました。そんな時にFiNCの経営陣から連絡をもらったんです。
当時の経営陣の熱意あるプレゼンテーションに、興銀が標榜していた『産業を興す』ということを、この手でやってみたいという想いが自分の中にあったことを思い出しました。1950年代に“二流”とされたトヨタは、約40年で世界トップ級の企業になりました。この国は医療が充実し肥満も少ないということを考えると、日本のヘルスケア関連企業には、トヨタ以上に飛躍するチャンスがきっとあるはず。日本からGAFAのような企業が出てくるとしたら、たとえ当社でなくとも、このヘルスケア領域からだと思う。さらに、豊富な海外経験の中で、アジアや欧米など、海外のどこでも日本のヘルスケア技術がすごく期待されていることを知っていたこともあり、気がついたらFiNC Technologies(以下、FiNC)の入社に気持ちが傾き、急遽一転、参画させていただけることになりました。実を言うとFiNCから連絡をもらう前に、元GSの先輩から上場企業の社長ポジションでオファーをもらっていたにも関わらず、内定を断って1週間で決意した。それだけ私にはこのビジネスが魅力的に思えました。
入社してからは驚かされることも多くありました。最大の違いはバックグラウンドの多様さ。エンジニアや、さらに当社の場合は管理栄養士、トレーナーなど金融に全くいないタイプの専門家もいる。そういう多様な人たちに気軽に声を掛けて、よく話を聞き最大公約数を探るようなことは、GSや興銀では求められない。新たに一歩踏み込む感じでしたね。

■新しいFiNC


── 社長になって、あらためて抱負をお聞かせください。
FiNCを世界一のヘルスケアプラットフォームにしたいと考えています。
日本では社会保険が充実しており、病気になったら、通院すればよいという感覚で生活している人がほとんどです。未病領域に投資するという考え方があまり定着していません。だからこそ、当社のプロダクトを活用してまだ若いうちから生活習慣を改善し健康を維持していくことが、医療費削減にもつながると考えています。ですが予防ヘルスケアの分野は社会貢献性が高い半面、マネタイズが非常に難しい領域でもあります。
難易度の高い課題に挑戦している当社ですが、国が進めている健康情報のデジタル化やPHRサービス事業協会の発足もあり、様々な方面で協力しながら国民の健康寿命の延伸や豊かで幸福な生活(Well-being)に貢献していきたいと考えています。

── Visionも改定されたそうですが、どんな想いを込めたのでしょうか。
新Visionの中に、コアバリュー、パーパス、BHAGを定めています。
2021年からVisionとして、”Design your wellness”をVisionとして掲げてきましたが、私が代表に就任したタイミングで”Design your Well-being”に変更しました。WHOが発表した憲章において、ウェルビーイングは「健康」「幸福」「福祉」といった意味を含みます。心身が元気で生き生きと生活できる状態、すべてが満たされた状態を指します。ウェルネスを超えたウェルビーイングな状態を目指したいと考えています。
パーパスもWe help you enjoy your good life「楽しく健康的な生活を提供する」とシンプルにし、「楽しく」記録を続けることで、健康に関わる全てのライフログが自動的にFiNCアプリに集約され、健康時のデータを元にFiNC独自の「パーソナルコーチAI」がサポートする。アプリを活用いただき、Well-beingな未来をお客様と共に作っていきたいという想いを込めました。


── FiNCはどんな事業を行っていますか。
当社は、予防ヘルスケア× テクノロジー(人工知能)に特化したヘルステックベンチャーです。「カラダのすべてを、ひとつのアプリで。」というコンセプトで、累計1,200万DLを突破したFiNCアプリは、特許を取得したパーソナルトレーナーAI(人工知能)を内蔵したヘルスケアプラットフォームアプリ。他にもtoC向けFiNCアプリをベースに法人向けに3つの事業を展開しています。
ユーザー参加型の顧客接点を構築しマーケティング活動を行え、ユーザー参加型のインタラクティブなコミュニケーションを構築をご提案する、FiNC Marketing Solution。顧客の健康経営を進めるうえでの課題と改善にアプローチし、従業員の健康管理から健康増進までをトータルサポートする導入実績累計約320社以上の法人向け健康経営サービスFiNC for BUSINESS。FiNCアプリをベースに、ヘルスケアアプリ企画・運営で培ってきたノウハウや開発力を活用し顧客のオリジナルアプリを企画・開発できるOEMサービス、FiNC OEM KIT。
2020年以降に注力すべき事業を見直し業績を大幅改善してきました。従来の顧客層である20代女性から、健康を維持したい30~50代以上の男女にターゲットをシフトし、美容とダイエット向けアプリから、ヘルスケアアプリへ変革を遂げている最中です。toCに限らず、toB向けのサービスも拡大しています。

■FiNCの強みと今後の課題


── FiNCの強みはどんなところですか。

「ヘルスケア×テクノロジー」を主軸とし、予防医療の部分に特化したプロダクトの開発をしています。私たちのアプリは管理栄養士やライフサイエンスなどの専門家に監修してもらっていることも独自の強みです。
また「記録を便利にする」ためにAIなどのテクノロジーを使っています。例えば、体組成計とFiNCアプリを連携させておくだけで、毎朝体組成計に乗れば様々なログを記録することができたり、睡眠時間は就寝中にアプリを起動しておかなくても入眠時間と起床時間を自動で推測し「昨⽇このくらいの時間寝ましたよね」と予測をするので、手間をかけずに記録することができます。また、⾷事のメニューを都度、検索して⼊⼒するのはちょっと⾯倒くさい…といったユーザーもいますので、⾷事の写真を撮るとAIが食事を解析し、メニューやカロリーを記録してくれる機能があります。利用者が⼊⼒の⾯倒くささをいかに楽に記録できるか、というところに食事や睡眠予測などにAIを⽤いています。もう1つは、先ほどの「褒める」や「アドバイス」などに使っています。ユーザーのモチベーションを向上し、「楽しく」継続して使っていただくためのコミュニケーションの設計をAIが⾏っています。
他のヘルスケアアプリは歩数・食事と特化したアプリが多いですが、食事、体重、歩数、運動、睡眠、生理とトータルでライフログを管理できるのも当社アプリの魅力です。
また、法人向けのビジネスについては「健康経営」が叫ばれる中で、最低限の法対応しか行っていない企業が多いのが現状です。健康診断結果が出て、健康課題が顕在化した後の支援まで行っている会社はまだまだ少ない。
弊社のサービスでは健康診断の結果に基づいて、メタボ対策としてBMI改善プログラムを提供し、実際にBMI数値が下がったなど実績も出てきています。最近ではトライアル導入を経て成果を実感いただいたHOYA株式会社様にて運動習慣改善のため、グループの国内全従業員対象にFiNC for BUSINESSを導入いただきました。
ご参考:HOYAグループの 国内全従業員対象にFiNC for BUSINESS本格導入
健康診断結果についてもいまだに紙ベースの管理が多くなっていたり、様々なサーベイを実施してはいるもののバラバラに情報が入っており人事スタッフの業務負担になっているというご相談もよくいただきます。
従業員の健康管理の可視化から改善に向けた従業員向けのアプローチまで一気通貫(トータルサポート)できるのがFiNC for BUSINESSの魅力です。


── 今後の課題についてはいかがでしょう。
生活導線に寄り添ったアプリ開発をしているので、いかに入力の手間を省いて継続してもらえるか、いかに楽しみながら記録をするかは、ユーザーの皆様にアプリを最大限活用していただくためにも大変重要です。毎日すべての項目を入力しているユーザーはまだまだ少なく、データ量や種類が多く、食事だけ・健康診断記録だけではなく総合的な身体に関する情報が多く入っていることが正しいソリューションの提供につながるため、以下に情報を蓄積していただけるかが今後の課題となっています。体組成計などのデバイス連携なども行い、エフォートレス なかたちでユーザーが楽に記録ができ継続できる施策を実施することが結果的にユーザーへの価値還元につながっていくのです。
弊社のPrinciples(行動指針)の中に「Customer Obsession」を定義していますが、お客様により良い体験をしていただくために何が必要となるのか、全社員が徹底的に考えお客様と向き合い、執着心をもって解決に向けてあらゆる可能性を検討し、実行していくことが今後のプロダクト改善に不可欠です。テクノロジーを活用し、入力負荷を減らすことはもちろんですが、お客様の声に耳を傾け、より「楽しみながら」アプリを活用していただくためのゲーミフィケーションのような仕掛けも考えているところです。

■組織の目指す姿

──目指す組織文化を教えてください
「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」これはスティーブジョブズの名言ですが、
会社のパーパスと個人のパーパスを重ねて一人ひとりが、日々FiNCで働く意味を意識しながら毎日「楽しく」業務に取り組んでほしいと思っています。個人のパーパスは自分自身はどのような人間なのか、自分にとっての幸せとは何か、自分自身が人生において成し遂げたいことは何か、といった「自分自身の人生の意義や目的」或いは「働く意義」を指します。これに向き合い、自律自走した働き方を推進することで社員のWell-beingにつながると考えているからです。

──どういう資質の人がFiNCに合うと感じていますか。
好奇心・知識欲の旺盛さは非常に大切だと考えています。
採用面接には自分自身も必ず参加していますが、「尊敬できる人物であったか」は必ず面談後に振り返るようにしています。尊敬できる社員たちとヘルスケア業界の未来をともに作っていきたい。それが私の今の目標です。


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