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詩 つらいとき 

つらいとき
「つらいよう!」と叫べる時と叫べない時がある
「つらいよう!」と叫べる時は
誰かに辛さを投げつけられている
「つらいよう!」と叫べば、
どうしたどうした、と誰かがやってきて
傷をみてくれるだろう

「つらいよう!」と叫べない時は
そのへんから拾ってきた棘やらトンカチで割ってみた石の中のそれやら布と布が擦れて出てきた糸やらが
私の心にそっと積もって、留まって、こびりついたカビのような傷が疼いて仕方がない時だ。
またはわたしの心から出た鯖が震えたときだ。
もしくは胸の内側から芽が出ようとしたときの、土の殻をぐんっ、と突き破ろうとしたときのレジリエンスだ。

幾たびも思う
どうしてつらいのだろう、つらくなるのだろう、と
幾たびも気づく
つらくて落ちた穴が暗いこと
突き当たりを左に曲がったときの絶望
地面ばかり見ていたら自分が地面になっていたこと
幾たびも知る
つらいとき、信じるものがあってよかったと
つらいとき、あたたかいキャンドルのような友情がわたしという炎を支えていること
つらいとき、わたしはまだまだ弱くて、脆いこと
幾たびもよぎる
死にたいと
幾たびも願う
死にたくないと
幾たびも、
死にたいと叫んだ
あの日が蘇る
そしてあの日々から少しだけ生きている
時が進んでいる
死にたいと叫んでいたあの子が、もう少し生きてみたいと思った日を
生きていてよかったと思えたあの日の感動を、そのときと同じように燃える心を
幾たびも、
幾たびも。



今年ももうすぐ終わりです。死にたい日々も愛せるように来年も生きていこうと思います。今年もありがとうございました。

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