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『ジェリーフィッシュは凍らない』

 さて、何から書こうか――
 十角館つながりでこの小説の存在を知って表紙を目にしてフト、「あ、前に買った。持ってる」と思い出しました。
 ときどき本屋さんへ行って、何冊かまとめ買いをします。たいていは表紙買いです。そしてタイトル買いです。

 すぐに読み始めなかったのは、理系の内容(化学や科学や理工学や)が含まれるのかなと思ったから。文系の自分には少しハードルが高めなので。
 読み始めると理系云々はあまり気になりませんでした。すごく分かりやすい先生の授業を聞いているような感じでした。

 この物語の中で一番心に残ったのは、事件を起こした犯人でした。ミステリーなのでトリックや犯行のアレソレは、もちろん気になります。謎を解いてゆく警部とその部下のバディっぷりが、とても雰囲気が良くて、ああ映像向きだなぁと思ったり。(実際にドラマ化されたらいいな)
 ただ読み終えてみると、やっぱり犯人が一人ぽっちで抱えていた喪失感が、謎解きそのものよりも心に残っています。

 犯罪なので「仕方がない」というのはいけないのだけれど、「もっと他に方法があったんじゃないの?」という問いかけは出てきづらい。ちょうど『容疑者Xの献身』の石神さんに対して感じたような……

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