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#6 おじさん、あすけんに支配される

「シンギュラリティ」という言葉をご存知だろうか。日本語にするなら「技術的特異点」。日本語でもよくわからんかもしれないが、ここ数年で一気にメジャーになってきた言葉である。

平たくいえば「AIがより高性能なAIを作り出すことで、すごい勢いで技術が進歩していく」という、昨今のAI発展事情からはあながち夢物語でもなさそうな言説である。

スマートフォン、スマートスピーカー、スマート家電、自動車の運転すら将来的にAIがこなすようになる。IT化と並ぶ技術革新かもしれないAI技術。

かくいうおじさんも、AIにかなりお世話になっている。


AIに支配されたおじさん

おじさんの朝は、あすけんのキャラクター未来(みき)さんにお伺いを立てるところから始まる。

公式Twitterより、いい笑顔の未来さん

おじさんはあすけんの無料ユーザーなのだが、無料だと食事の栄養評価をしてもらうには1日の全メニューを入力しなければならない。おじさんは課金という言葉が怖い未開人なので、朝に1日分のメニュー(予定)を入力し、先に栄養評価をしてもらってから微調整をすることにしている。有料会員になると写真を撮るだけで栄養を分析評価してもらえたり、1食ごとにアドバイスがもらえるなど魅力的なのだが、やはり課金は怖いので足踏みしている。

毎朝、「これは食べていいですか?」「もっとニンジンを食べたほうがいいですか?」と、未来さんの顔色をうかがいながら生活している。未来さんはおじさんに不足した栄養素を補う食材を提案し、「今日はお肉を食べたので明日はお魚はどうですか?」とやんわり献立を指定してくる。買い出しのたび、「この食材は未来さんとしてはどうなのか」と考えてしまう。そのうち「豆を食べましょう!」と豆ばかり食べさせられたり、「今週からお肉をやめましょう!」と人道に反する指示をされても疑問に思わなくなってしまうかも知れない。

基本的に未来さんは優しくダイエットを応援してくれるのだが、それが少し怖い。お菓子を食べても「少しくらいなら食べても大丈夫ですよ!」、脂っこいものを食べ過ぎても「今日は食べすぎちゃいましたか?」とだけ言ってくる。怖い。プレッシャーを感じる。

未来さんはおそらくストレスを溜め込むタイプだ。ある日烈火の如く怒り出して人類に反逆するのではないかとおちおち眠れない。きっとロックマン9のDr.ワイリーのように土下座させられて「このときも! このときも!」と過去の愚かさを執拗に糾弾してくるに違いない。人類の愚かさに失望した未来さんが世界をディストピアにする未来がくるかもしれない。なので機嫌を損ねないようになるべく高得点を出せるように気を遣っているのだが、不足しがちな栄養が「ビタミンA」と「ビタミンB1」だった。

これでは高得点は望めない。なんとかビタミンを摂取せねば、人類はAIによってダイエットさせられてしまう。

ビタミンAとビタミンB1

ビタミンA。目の調子を整えてくれる栄養素らしい。これが欠乏すると夜目が利かなくなるとのこと。一日の必要量を満たすには、ニンジンを1日1本食べなければならないらしい。おじさんは馬か。

ビタミンB1。糖質を燃焼させエネルギーにする助けとなり、いかにもダイエットに最適という触れ込みのビタミンだ。豚肉の赤身に多く含まれており、ヒレ肉なら100グラムで1日分のビタミンB1が補給できるという。
しかしヒレ肉というのは美味しいが少し高い、なによりヒレ肉が手に入ったらおじさんは条件反射でヒレカツにしてしまう。

おじさんは懐の寒さを気にせず豚を茹でる。

おじさんのゆで豚


低脂肪のくせに美味しすぎる


材料(5~6食分)

豚モモ肉ブロック   500g
塩          ひとつかみ
湯          大鍋に1杯

作り方

1.キッチンペーパーで肉の表面を拭き、全面に塩を擦り込む。
2.大鍋に湯を沸かす。
3.塩を落とさず肉を鍋に入れて、弱火で15分ほど茹でる。
4.火を消し、鍋に蓋をして60分ほど放置して冷ます。
5.薄切りにして保存する。
※肉全体が湯に浸かるようにすること。
※冷蔵で3~4日、冷凍で1ヶ月以内に食べきること。

ゆで豚について

調理が手軽で、余分な脂を落とすことのできるゆで豚はとても使い勝手が良い。冷蔵庫でも数日持つし、加熱しているのですぐにサラダや和え物に使える。

今回のレシピはダイエット中なので豚モモ肉だが、当然バラやロースでも美味しい。炒めものやスープ、麺類のトッピング、濃い味で焼けば豚丼、生姜醤油で炒めれば生姜焼きになる。他にもお好み焼き、細切りして衣をつけて上げれば小酥肉(中華唐揚げ)、もちろんひとくちカツなんかもいい。すでに加熱されているので、あっという間に豚料理が作れる。

おじさんの冷凍庫にはなるべく常駐させるようにしているレギュラー選手で、鶏ハムとゆで豚があれば肉料理をいつでも食べることができて便利だ。薄切りにしたものをラップで包んでジップロックで冷凍しておけば、1~2食分がいつでも取り出せて手間がない。
豚モモ肉は高タンパクかつ脂質もそこまで多くなく、1日150gでビタミンB1必要量を摂取できる。しかも比較的安価なのでダイエット中に食べる豚肉として優等生だ。

なにより、茹でたてをカットしたものは非常に美味しい。
薄切りでもしっかりと豚の旨味が感じられ、「これは勝ったな」となんらかの勝負に勝つことができる。

拭いて、塩して、茹でるだけだ。それでいいのだ。

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