強さとは悲しさだと思った。

その人が生きてきた人生の中で、そうでなければ生きられなかったんだということを強烈に叩きつけてくるような、慟哭の裏返しが「強さ」なのだと僕は感じた。

特に「無条件の優しさ」を持つ人はその最たる例であり、微笑みの奥底から半透明の姿で涙ながらに悲痛の訴えを叫んでくる。

心と心の対話を重ねるうちに、やがて半透明の姿はくっきりと濃い現実の色を纏うようになり、自らの抑圧からこころを解放させ、固まっていた悲しみは涙となり融雪していく。

人は誰しも「こうでなければならない」という自己に対してのビリーフを持っている。

無条件の優しさは、悲しい優しさだ。

あなたは優しくなくても愛される。

僕は、あなたの優しさにより悲しくなる。

こんなにも傷つき果てるまで強くならなければいけなかった世界が、人間がとても憎くなる。

それでもあなたは無条件の優しさに自分の存在価値を見出すとして、僕もまた無条件にあなたのこころを抱きしめ続ける。

どんなあなたであっても、抱きしめ続ける。