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【瓦解】

酒に深淵が暴かれる時

両目は奥行きを見つめ続けて、意識は天と融和する。

もう僕に泥酔の感覚はなく、ただ麻酔のようにタナトスを流し込みながら死神を肺に招待しているに過ぎない。

ガタガタと自分が崩れ落ちていく音を感じるが、不思議と不快感や不安はなかった。



土砂まみれの瓦礫の真ん中から光が溢れ

神々しい解放の兆しが魂を浄化させるのを感じる。

今わかった。

崩れ落ちてゆく自分は死体になっているんじゃない。

瓦解とは、新しい光の誕生なのだ。

僕が破滅に抱擁をする時、いつも僕の体は彼と溶け合い、ひび割れて、そこから新しい世界が生まれている。


崩壊していく世界こそ 陶酔境そのものだった。

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