モンジバカと鎌手詰

1 皆さんは、試合やスパーリングでリストロックを使われる事があるだろうか?

 私は、古流柔術に取り組んでいた期間中、ほぼ毎日のように手首極めの稽古をしていたが、今現在普段のスパーリングでこれを使う事は皆無である。

 それと言うのも、リストロックことにモンジバカは、相手の手首が柔らかければ、寸止めでは全く効かないのでタップしてくれない。
 だからと言って、相手の手首を折ってまでタップを取るのは、怪我に苦しんだ経験を持つ私の本意とするところではない。
 
 また、以前私が試合に出た時の話になるが、ハーフガード(ボトム)からリストロックを仕掛けて、完璧に極まったと思ったが、相手がタップしてくれない。
 不思議に思って彼の顔を見ると、ビックリして何が起こったのか理解出来ず、パニックになっているのが分かったので、極めを解いて、相手が固まっている隙にクローズドガードに入った事があった。

 彼の手首を折っていれば試合には勝てたのかもしれないが、試合中はアドレナリンが出て少々の痛みは気にならなくなるから、怪我をさせるのが怖くなって「リストロック」を止めてしまった。
 勝負論としては「甘い」と言われるだろうが、私はそれで良かったと今でも思っている。

 本稿では、古流合気道系の手首極めとブラジリアン柔術で共通するリストロックとしてモンジバカを取り上げる。
 まずは、モンジバカについてコンパクトにまとめた次の動画をご覧頂きたい。

 ほとんどの人は、モンジバカを解説したYOUTUBEの動画(日本語・英語を問わない)を見ただけでは、「どうすればモンジバカを相手に効かせる事が出来るのか?」=「モンジバカの理合」が分からないのではないかと思われる。

2 そこで、本稿では自分の古流柔術の経験を踏まえて、モンジバカの理合について、鎌手詰の説明を通して、解説してみたい。
 鎌手詰と言われて、ピンと来る人はまずいないと思われるので、次の動画を見て欲しい。

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