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『傲慢と善良』結婚について(本のこと)

辻村深月の『傲慢と善良』を読んだ。
しばらく新しい本を読んでいなかった私だが、
薦められた複数の本の中からこの本を選び、
その日のうちに読み終えてしまった。

「面白かった」とはまた違う。
帯にも書いてあったが「ささった」と言う
表現が合っている気がする。
読んでいて辛かった。

あらすじ

第一部は
突如姿を消した婚約者を探し
彼女の過去を探る主人公が、
知らなかった彼女の姿に触れ、
自分自身を振り返っていくという話。

第二部は
姿を消した彼女の視点で
この出来事が書かれている。

何から書こう

この本を読んでnoteを書くにあたり、
いったい何を書けばいいのかわからなかった。
ささるところが多くて
何を取り上げていいかわからなかった。
自分で振り返るためにも
思いつくままに書いてみたいと思う。

1番刺さったの結婚相談所での
小野里さんの話。

共感できるところが多くて、
自分のことを言われているような気がして
痛くてたまらない。

数行読んでは本を閉じ天を仰ぎながら読んだ。

傷つかない理由

自分を傷つけない理由を用意しておくのは、
大事なことなんですよ。

辻村深月著『傲慢と善良』p111

ドキッとする。
私は傷つかないための理由を
たくさん用意している。

最初に思いつくのは私自身が
『選ばれないのが怖いから、認めたくないから
結婚しなくてもいい』と言っているのではないかということだ。

周りから見れば強がって
『結婚できないのではない、しないのだ』
とアピールしているように見えている
のではないか。

実際はどうなのだろう。
やっぱり結婚したいのだろうか。
自分でもわからない。
結婚には向いてないと思う。
でもそれも傷つかないための
理由なのかも知れない。

婚活あるある

二十代で紹介してもらえる数と、三十代になってから紹介してもらえる数には違いも出るから、本気で結婚したいと思っているなら、すぐに動くことを記事の中で勧めていたんです。私はもその記事とまったく同感です。

辻村深月著『傲慢と善良』p126

しばらく休みたい、結婚について考えるのをやめたい。そして、実際、婚活は仕事ではないし、休むことができる。
 しかし、この「休むことができる」、と言うのが婚活を緩やかに苦しくしていたと。今になれば思う。「やめる」ではなくて、「休む」。休めるからこそ、やめられない。そして休んでいても状況が変わらない以上、その苦しさはずっと続くのだ。

辻村深月著『傲慢と善良』p128

本当にそうなのだ。
本気なら早く始めるほうがいい。
休めるからこそ、自分を苦しめる。
中途半端な気持ちでは終わりは見えない。
早く終わりにしたいし、諦めることで
終わりしたと思ってる。
でも今の私には覚悟が足りない。

婚活が上手くいく人

うまくいくのは、自分の欲しいものがちゃんとわかっている人です。自分の生活を今後どうしていきたいかが見えている人。ビジョンのある人。

辻村深月著『傲慢と善良』p129

ビジョンなんてないのだ。将来どうなりたいとかそんなことわからない。結婚したいのか、したくないのかさえもわからないのだから。

それは、恐怖や不安に突き動かされた社会的な、
要請によってであって、そこに本人の意思はありません。そして、そんな理由でもうまくいって結婚できるなら。私はそれでいいと思います。そうしなければ。その人たちは結婚しないでしょうから。

辻村深月著『傲慢と善良』p130

親に言われてでもなんでも強引に、選択しないまま、新しいステージからに飛び込む方がいいんです。何も考えないまま結婚して、出産して、それでいいのではないか、と私は思います。

辻村深月著『傲慢と善良』p131

社会や親に流されるまま結婚しても、
それが幸せならいいと思う。
でも私には流されるまま結婚できるほどの
素直さが無いことに加えて、自己愛が強く、他人値踏みする傲慢さがある。
相手を選んでしまうのだ。

社会や親に結婚することを求められているような気がして、そうすることが正解のような気がして、結婚できない自分がダメ人間なような気して。それでも結婚できない自分がいて。
苦しい。

ピンとこない

ピンとこない。
その言葉を聞くと、胸の一部が懐かしい痛みを感じる。架自身、婚活では散々、その「ピントこない」という一点に苦しめられた。

辻村深月著『傲慢と善良』p121

ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です。

辻村深月著『傲慢と善良』p137

ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです。

辻村深月著『傲慢と善良』p137


私自身も何度も言ったし、何度も考えた
『なんかピンとこないんだよなー』と。

自分振り返ると思う。
なんて傲慢なんだろうと。
そんなことなかったと思いたい。
でもきっと自分を高く見積もって
相手を選ばないという事を
これまでもたくさん私は選択してきた。
なんて失礼な奴なんだろうな。

選ぶ意志さえない

親御さんに言われて婚活される方の大半は、結婚などせずに、このままずっと変わりたくない、と言うのが本音でしょう。三十にもなれば仕事も安定し、趣味や交友関係もそこそこ固まって、女性も男性も生活がそれなりに自分にとって居心地のいいものになりますから。けれど、そのまま、変わらないことを選択する勇気あるもない。婚活をしない、独身でいる、ということを選ぶ意志さえないんです。

辻村深月著『傲慢と善良』p131

私のことでは?と思う。
親に言われて婚活したわけではないけれど。
今の生活を変えたくない。
婚活するか、独身でいるか、
それすら私は決められない。

あぁ泣きたい。
私もこんなに考えないまま結婚したかった。
でもできなかった。

結婚する自由も、しない自由もある。
情報が多過ぎて、選択肢があり過ぎて、
その中にはっきりとした答えがないから
決められない、選択できないのだ。
ピンとこないと相手を値踏みしておいて、
自分自身の自己評価は低い。
一方で、自分の価値観に重き置きすぎて
自己愛が強い。
なんて傲慢なんだろう。

善良に生きる

善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り。誰かに決めてもらうことが多すぎて、自分がない、ということになってしまう。

辻村深月著『傲慢と善良』p135

私は自分が比較的善良な方だと思っていた。
もちろん期待に添えないこともあったが
いい子になろうとしてきた。

いい子になろうとして
直接言われたわけではなくても
誰かの望む選択肢を感じて
その無意識に選択肢を選ぶことが多かった。
まさにそれは「自分のがない」
という状態なのかも知れない。


いい子で何が悪いんじゃ。と思ってきた。
求められることをやってきたつもりなのに
自分がないとか、指示待ち人間とか
そういう言葉がささるのだ。

真面目ないい子が得するとは限らない。
私も生きていく力がなさすぎると思う。
要領が悪すぎると感じる。

でもそれすらも教えてもらえなかったと
嘆くのは本当に傲慢だ。

思うところはあるけれど

他にも思うところはたくさんある。
田舎と都会。親の干渉。
どうでもいいようなプライドとマウント。
どれもすごくわかる。

それに結局2人はなんで結婚したんだろう。
それで良かったのだろうか。

私は2人に対して
あんなやつとして大丈夫なのか?と、
思ってしまっている。
結局自分のことは棚に上げて
相手に点数つけている。

真実から見れば架は『ピンときた』自分と同等かそれ以上価値のある人だったのだろう。
そしてこの辛い婚活生活から抜け出すために
今回のことを起こした。

では架は?
答えはある気がするが
なんだか腑に落ちない。
今回の騒動通じて明確なビジョンを
持ったということなのだろうか?

おわりに

結婚について、婚活について
結局、私はどうしたらいいの??
と思ってしまう。

でもそう考えている時点で、やっぱり私は
『誰かに決めてもらいたい』『自分がない』
人間なのだ思う。

『傲慢と善良』少し時間をあけて
また読み返したいと思う。

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