内から湧き出るものは書けるが、外から求められると書けない
あやぽんさんの水彩画素敵ですね。見た瞬間に選んでしまいました。
ネット上には『小説のお題』を出して募集しているサイトがたくさんあります。
そういう所で『入賞しました!』という人を見かけるたびに、うらやましいなと思います。
でも私、実は、
『お題』があると書けなくなるのです。
頭の中に勝手に湧いてきたキャラとか、
何か自分で体験して印象に残ったもの。
つまり『内から何か湧いてきた』時は、
いくらでも書けるんです。
(だから私の小説はどれも長ったらしい)。
でも、
「◯◯について書いてね!」
とお題を決められた瞬間に、
「え……無理……」
ってなってしまうのです。
なぜなら、
自分の内側にそれがないから。
ないものは、書けないから。
好きなこと、例えば、
「アクセサリーについて書いてください!」
だったらまだマシかもしれない。
でも、小説のお題ものは、
本当に、思いつかないんです。
普通逆ですよね?
「何でもいいから書いてくれ」
って言われたほうが困りますよね、普通。
でも私は逆なんです。
『お題』があると、それが邪魔になって、
何も発想できなくなるんです。
自由が奪われるっていうのかな。
学生時代の読書感想文はなぜか得意でした。
たぶん、
『好きな本についてしか書かなくて済んだ』
から、内からいくらでも文章が湧いてきたんだと思います。
プロの物書きになるのは難しいなと思うのも、
『書くことを先に決められると書けなくなる』
ことが原因です。
プロは、人に求められて書きますよね?
『◯◯を書いてください!』
という編集のリクエストに答えられるのが、
プロの作家やライターという人なんでしょう。
でも私それ、できないんですよ。
だから、せっかくネットとかで小説を応募してても、『そのお題に合わせて書く』ってことができないんです。文字数とかも制限されると厳しい。
だから私は、
プロになるのは難しいだろうなと。
本当はなりたいんですけどね。
若い頃は作家になりたいと思っていました。
でも、だんだん難しいなと思うようになりました。
『ぼくらは死んだ』だけ、賞に応募したことがあって、ある出版社から書籍化の話をいただいたんですが、
「出版に300万円必要です」
と言われて断念しました。
今思うと、小説を書く人を狙った詐欺だったのかもしれません。けっこう聞いたことがある出版社だったんですけど、そんな案内を、応募した人みんなにしてるのか……と思ったらすごく嫌な気分になりました。
そんなこともあって、
賞や出版社というものに、
若干の不信感もあります。
これは良くないですよね。
たまたま一度悪い所に当たっただけ。
実際に問題なのは、私が書いたものに、
「無料で出版しよう!」
と思わせるクオリティがなかったこと。
つまり実力の問題ですから。
なので、
今みたいに、別な仕事をして世の中を知りながら、内から湧いた小説を少しずつ書いていく……というのが、自分には一番合っていると思います。
デビューできたら、
賞を取れたら、
出版できたら。
嬉しかったんですけど。
もっと世の中に適応できる能力があれば、
人生が楽だったのになとも思います。
今まで、
『賞に合わせて書けない自分はダメだ』
みたいな感じで、自分を責めたりして落ち込んでいた時期もあったんですが、
そういうの、もうやめました。
人に合わせて書くことはできないけど、
本当に自分の心から出たものは、
書く力がある。
これだけでも恵まれている。
そう思うことにしました。
賞や出版だけが人生じゃないし、
他のやり方もいくらでもあります。
マイペースで生きていこう、
書いていこうと思います。
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