詩〜Alice〜
何も考えない
何も考えられない
何も考えたくない
何も頭に浮かんでこない
目を瞑っても眠気がやって来ないのと同じで
目を瞑っても言葉の一つも浮かんでは来ない
頭の中に映し出される映像は
ただ白と薄紫の煙が渦巻いて漂っているだけ
銀色の鏡の世界に迷い込んで
鏡が映し出すのは自分の姿だけ
鏡に映った自分の瞳には何も映らない
硝子の瞳は何も映さない
手に握った花はほろほろと崩れ
崩れた花の欠片は蝶となり空へと舞う
私の体も砂の様にほろほろと崩れ
崩れた私の欠片は塵となり足元に降り積もる
誰かの吐息が風を起こし
足元の塵は舞い上り
白と薄紫の煙になって渦巻いて漂う
銀色の鏡の世界に迷い込んで
鏡が映し出すのは
空へと舞う色とりどりの蝶たちと
白と薄紫の漂う煙だけ
何も考えない
何も考えられない
何も考えたくない
何かを考える脳はもうない
Alice
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