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お気持ち察してる?

皆さんはロードムービーがお好きでしょうか?映画を見始めた中学生の頃の私は、大迫力のアクションかSFばかり見ていました。そんなある日、映画好きの友達から勧められた「レインマン」を観てロードムービーにハマってしまいました。トム・クルーズ演じるチャーリーが、ダスティン・ホフマン演じるレイモンドと、ロサンゼルスに向かう中で、お互いを理解し合うストーリーは、とても心温まるものでした。現在、調査のためによく旅?をしていますが、一緒に行った人とは仲良くなっているので、旅は人間関係を深めるものなのかもしれません。ただ、ロードムービーでよくおこるようなトラブルはごめんです。

あらすじ

さて、今回紹介するのは「500ページの夢の束」です。『自閉症のウェンディは「スター・トレック」が大好きで、自分なりの「スター・トレック」の脚本を書くことが趣味だった。ある日、「スター・トレック」の脚本コンテストが開かれることを知った彼女は、渾身の一作を書き上げる。しかし、郵送では締め切りに間に合わないことに気づき、愛犬ビートとともにハリウッドを目指して旅に出る。』というあらすじです。
正直な私の感想を述べると、主人公が自閉症ということでレインマンと比較してしまったためかイマイチに感じました。かといって、面白くなかったわけではありません。スタートレックの基本的な知識が必要ですが、とても面白い視点で作られている作品です。というか、この映画はロードムービーではないです。同僚(先輩)と映画の話をしていた時に、いいロードムービーがあるということでDVDを貸してもらったのですが、メインは脚本を書くことで主人公が成長するドラマ映画でした。

必修科目:ミスター・スポック

専門家ではないので、誤ったことを言ってしまったら申し訳ないのですが、主人公のウエンディは自閉症ということで感情のコントロールや他人の気持ちの理解ができません。レインマンでは自閉症のレイモンドが旅の中でチャーリーを少しずつ理解するようになりますが、この映画ではウエンディが脚本を書きながら感情や他人の気持ちを理解していきます。ネタバレになってしまったら申し訳ないのですが、この時に重要になってくるのがスタートレックにでてくるミスター・スポックです。
彼はスタートレックに出てくる、地球人とヴァルカン人のハーフで、感情を抑制して表に出さず、まるでロボットのように論理的な言動が特徴のキャラクターです。これはまるでウエンディーそのものです。ウエンディーはスポックがメインの脚本を書きながら、自分の感情や他人の気持ちに気づいていったのではないでしょうか。ハリウッドへの旅はその集大成であり、最後のパラマウントの事務所でのウエンディーは、スポックを描くことで感情を”理解”した成果だと思います。

自分はどうでしょう?

近年は、いわゆる発達障害というものに対して理解が進んできたとはいうものの、受け入れられているかというとまだ疑問符が生じます。この作品を観て、発達障害のある方の受け入れ以前に、改めて自分は自分の感情や他人を理解できているか考えさせられました。そもそも、誰もが感情をコントロール出来ないし、他人を理解できていないのではないでしょうか?「空気を読む」とか「常識」とか「忖度」などの便利な言葉を用いて我慢したり、させているだけのような気がします。社会という集団の中ではそれが重要なこともわかりますが、そのままでは不満やストレスがたまるだけです。
映画やアニメや漫画の中には、ミスター・スポックのようなキャラクターがけっこうでてきます。彼(女)らの空気の読めない言動を笑うのもよいのですが、ウエンディーがスポックを通して感情を理解したように、彼らの立場に立ってみると自分に足りないものが分かるのではないでしょうか



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