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『結婚10年と義父の涙』

まだ少し脚を引き摺りながら歩く長女。

昨年の11月の終わりに左足を骨折してから車椅子生活を経て、やっとここまで回復してきたが、その歩き方を見るとまだ痛々しく、親としては胸が痛くなります。

もちろん1番痛い思いをしたのは本人なのですが、親にとって子供の怪我がこんなにも心に苦痛をもたらすとは思ってもいませんでした。

僕の両親も、もしかしたらこんな気持ちになっていたかもしれません。

僕は2歳から小児喘息を患い、20歳を超えても完治せず、たまに発作のような症状もあるため薬が手放せませんでした。

特に酷かったのは、父の仕事の都合で住んでいた新潟県長岡市に住んでいた11歳の頃。

季節の変わり目、特に秋でしたが、毎晩のように強い発作で目が覚め、荒い呼吸で床を這うように父と母が眠る部屋まで行き、絞るように声を出して助けを求めておりました。

父の運転で救急外来へ向かい、10分ほどの吸入。嘘のようにその発作は収まるのですが、これが毎晩だったため、両親は体力面でも相当に苦労していたはずです。

あまりに酷い発作の後はそのまま一泊入院したこともありました。

あの頃、辛いのは自分だけだと思っていましたが、親の立場になって振り返ると、両親は気を揉んだと想像できます。

一夜明けた病室で、『子供の体力だから大丈夫ですけど、大人でこの発作が続いていたら命がなかったかもしれません』と先生に言われたと母親が言っていたのを覚えています。

今、我が子がそんなことを言われたと考えるだけでも胸に重いものがのしかかります。

だからここまで順調に回復してくれている娘の現状には感謝しなければならないのかもしれません。


先日、部屋のテレビをつけていると北九州市の成人式の様子が映し出されていました。

思い思いの派手な正装?に身を包んだ新成人たち。

最近ではこの独特のスタイルが文化として海外からも注目されているというニュース原稿を読み上げるアナウンサーの声。

ダイニングテーブルでお絵描きに没頭していた長女も手を止め、その容姿に目を奪われ食い入るようにテレビ画面を見ておりました。

『パパ、これなに?』

『これな、成人式や』

『せいじんしきってなに?』

『今日から大人になりましたっていう人の集まりやな』

『え、おとなになったら、みんなこんなかっこうするの?』

おそらく普通のスーツ、普通の着物で参加している新成人もたくさんいるのでしょうが、その方達は一切画面に映りません。だから【みんなこんな格好】という聞き方をしたんだと思います。
そのことを教えてあげればいいのですが、ちょっと僕の中のイタズラ心が刺激されてしまいました。

『そうやで。20歳になったら皆んなこういう格好せなアカンねん。髪の毛を金髪でリーゼントにしたり、女の子はピンクのでっかいフワフワ付いた龍の着物きてピカピカのフワフワ付いた扇子持たなアカンねん。大人になったらどんなんにする〜?』

『やだ!なんかへん!!おとなになりたくない!!』

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