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わたしの本棚

 書くかあ。

 本はあんまり読むほうじゃないです。小学生のころは好きだったけれど中学に入ったあたりから目が滑るようになって、うつ状態になってからは本を読むのが苦痛になりました。

 必然人に見せられるような立派な本棚でもなく。あと片付けが致命的に苦手なのでリビングや机や床やいろんなところに本が散乱しており、どこを本棚と定義すればいいのか迷ってしまいます。

 とはいえnoteの投稿にたえうるような本棚が皆無というわけでもなく、こちらがその本棚検閲を生き残った精鋭です。

 ほぼ全部ブックカバーつけてたので外しました。なんだこの愚かな作業は……と思いながらチマチマやった。これを書き終わったらまた愚かな作業に戻らねばなりません。しかし人間とは生まれながらにして愚かなものなので些事ですね。


 軽く紹介でもしようかな。

 『自殺うさぎの本』。かわいいうさぎたちがあの手この手で自殺するブラックユーモア系絵本です。命を粗末にすることを許せず、ちゅ!可愛くてごめん♡生まれてきちゃってごめん♡の歌詞だけで「そんなことを言うんじゃない!!!」と叫びながらスマホを投げる私ですが、なぜかこの自殺うさぎだけは受け入れることができ、よくわからないパッションで全冊揃えました。

 聖書。なぜか2冊(3冊)ありますね。まあ聖書は本の角で敵を殴るための鈍器としても使えるので何冊あってもよいものです。

 ワイルド。『サロメ』を読みたくて買ったのですが『ウィンダミア卿夫人の扇』がおもろしろすぎてワイルドのことを世紀末の奈須きのこと呼ぶようになりました(嘘です)。

 シェイクスピア。一番尊敬していて好きでたくさん作品を読んだ作家なんですが、全集を持っているので文庫本はこうして見ると少ないですね。いや少なすぎるな……オセローとかロミジュリとか……紛失しとるな……まあよい。ちなみに私が一番好きなシェイクスピアは『から騒ぎ』。

 マリヴォー。中学一年生の春に出会った作家です。宝塚の原作になっていたから買ったんですが、面白いんだなこれが……! 日本語ではおそらくこの魅力を十全には味わえていないと思うのですが、それでも「仮面を被った人間たち」を滑稽に描くマリヴォー独自の視点はとても面白いのでぜひ。私は『贋の侍女』が好き。2回目読むとぜんぜん見方が違ってすごいんだ〜。これが面白すぎて私は高校の卒業論文でマリヴォーについて書きました。

 ベケット。『ゴドーを待ちながら』。わけもわからないのに読み返したくなる作品です。私も明日は首を吊ろうかな、と思う日もありますがなんとか生きています。

 サン=テグジュペリ。私が一番大切にしている作品たちです。『夜間飛行』にも言えますがサンテックスの「責任」に対する考え方がとても好きです。『星の王子さま』は何回も読み直してカバーがぼろぼろです。そして『人間の土地』の「きみらは正しい、きみらはいずれも正しいのだ」という言葉は私にとって戒めでもありお守りでもあり、いつも抱きしめています。

 トルストイ。『復活』。中学のときに初めて読んだんですが、1回目まったくわかんなかったのが2回目ちょっとわかるようになったので、今読み返したらもっとわかるかも。最後ネフリュードフが聖書を読むシーンが好きです。トルストイの「神」というものの捉えかたに結構共感を覚えます。

 チェーホフ。『かもめ』は高校のときミュージカルの演出家になりたいという夢を抱いていた私をどん底まで突き落とした作品です。でも大好き。トレープレフにもトリゴーリンにもチェーホフの自己が投影されていると思っているので、トリゴーリンの「トルストイにもツルゲーネフにもかなわんわ〜」みたいな台詞を聞くたびにチェーホフの墓の前で「そんなことないよ〜!」てキンブレ振りたくなります。ロシアまで行けないので自宅でキンブレ振ります。

 ヘッセ。『車輪の下』。思えば車輪の下のような人生を歩んでいるわ。

 夏目漱石。『こころ』。高校のとき授業中に電子辞書で全部読んだんですけどドストライクだったので文庫買いました。私は師弟のオタクなので「私」と「先生」の関係性が好きです。ところで良い子は授業中に電子辞書で本を読むのはやめような!! 私は一回教師に見つかったけど漢文の授業中に魯迅の『阿Q正伝』読んでたので見逃されました。

 マキアヴェッリ。『君主論』。「イタリアは傭兵制度だからへタレなだけでちゃんと軍隊組織したら強いんだかんな!」みたいなことをずっと言ってて面白かったです。最後にこのおじさんは「俺こんなに政治に詳しいんだぜ? 雇ってくれよ」て言い出します。なかなか雇ってもらえなかったそうです。おもしろいおじさんですね。

 杉本淑彦『ナポレオン』。大学のときナポレオンアンチの教授が講義中にお薦めしていた本です。期末試験で「回答用紙の余白に講義の感想書いてくださーい」て言われて慌てて「先生が紹介してくださったナポレオンの本読みます」と書いてしまったので生協で買いました。ちなみに書いたあとで「これ感想じゃねえな……」と気づいたので「感想(?)」と書くことで罪悪感を紛らわせようとしました。試験の評価はDでした。

 薩摩秀登『物語チェコの歴史』。何年か前に東京でミュシャの《スラブ叙事詩》の展覧会があったのですが、その予習のために買った本です。その後実際にチェコに行き、学科の演習でチェコ史について研究し、挙句は卒業論文もチェコ史について書きました。私のチェコ熱の始まりの本です。まあ本当の始まりはヘタリアにチェコちゃんが登場したことなんだけどね。

 スピヴァク『デリダ論』。もうなんもわからんかった。

 ギリシア神話。学科の演習の講義で使った歴戦のテキストを定年の教授から形見分けでもらったのでボロボロです。もともとギリシア神話オタクなのでうれしかった。

 グレイソン・ペリー『みんなの現代アート』。2022年のミニマル/コンセプチュアル展で現代アート熱が高まったときに買った本です。現代アートって……結局なんなの〜!?という問いに答えてくれるかと言えばぜんぜんそんなことはなく、現代アートって……結局なんなんだ……と宇宙猫になって終わりました。作者がポップアートを憎んでいるということはわかった。

 筧菜奈子『めくるめく現代アート』。↑と同時に買った本。わかりやすいです。現代アートの勉強をしたいならまずはこれでいいと思います。最近ジュンク堂に行ったら私が2年前に買ったこの2冊がピンポイントに話題の本で並べられててちょっとウケました。

 マレイ・スタイン『ユング 心の地図』。ユングの入門書ですが難しいです。電子書籍のほうで『BTS、ユング、心の地図』を先に読んでいたのでまだわかったかな。BTSに興味がない人でも上掲書はすごくわかりやすいのでおすすめ。


 というわけでわたしの本棚紹介でした。noteの投稿に耐えうる部分だけの紹介なのでさすがにもうちょっと本は持ってるのですが、まあこんなもんでしょう。あと意外とお気に入りの本が電子書籍だったりしました。

 それではこれから本にブックカバーをかけ直す作業に入りたいと思います。なぜこんな愚かなことを……。

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