見出し画像

マニュアルを作りたい_その2(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ライフハック)

はじめに(チームより)

フローレンスは、親子を取り巻く社会課題の解決を目指しているNPOで、現在、約700名が所属しています。多様なメンバーの「働く」を支えているのがバックオフィス業務を主に担っている働き方革命事業部、通称「ハタカク」です。
ハタカクは人事、経理、法務、総務、といった業務で構成されていて、障害者雇用チームも含まれています。フローレンスの事業を裏で支えるハタカクメンバーの業務や仕事への思いをnoteに投稿しています。


認定NPO法人フローレンスの総務関連チームで障害者雇用のスタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介はこちら>>

知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「ちょっとした、お仕事ライフハック」をご紹介しています。記事執筆の背景>>


▼本日のお悩み
「簡単な作業でもやり方を忘れてしまいます。わかりやすいマニュアルの作り方を教えてください_その2」

その1もご覧ください>>

ライフハック①4コママニュアルを作成する

「マニュアルを作るほどじゃないよね」問題を解決する

複合機、ラミネート機、三つ折り機など、総務チームは多くの機械を使う事が多いです。家でも会社でも、新しく導入した電化製品等に対して、取扱説明書やマニュアルは見ていますか?今は直感的に操作出来る機械も多いため、マニュアルや手順書は見ない人が多いのではないでしょうか。でも、知っておいてほしい機能や注意点がある場合は「4コママニュアル」を作成することをおすすめします。

下記の写真は、大量に裁断できるシュレッダーを購入したのですが、それまで使っていたシュレッダーよりも、使える機能が増えたり、逆に守ってもらいたい注意点があり、それを写真や画像入りで4コママニュアル化してシュレッダーに貼ったものです。

障害者雇用の社員に限らず、1度使い方を教えても時々しか使わない場合、使い方を忘れてまうこともありますので、記憶に頼らず、目に見えるところに使い方や注意点を書いておくと、「誰かに聞いたり調べたりするストレス」が減ります。

ライフハック②よく発生するトラブルだけを記載する

「テキストだらけのマニュアルは誰も読まない」問題を解決する

マニュアル作成で陥りがちなのは、全ての注意事項を書いてしまい、テキストだらけのマニュアルにしてしまうことです。テキストだらけのマニュアルは見たくないですよね。

更に、障害者雇用の社員は、社員により出来ることと出来ないことの差が激しく、複数の人が作業するマニュアルの場合は「Aさんに対しての補足、Bさんに対しての補足…」など、複雑なマニュアルになってしまうこともあります。
そこで、マニュアルは「よく発生するトラブルだけを記載してシンプルにしておく」ことが大切です。社員個人が忘れがちな注意事項や対応については、手書きで記載する(もしくは個人のノート等に記載しておく)と良いでしょう。

上記の写真は、おもちゃ拭きのマニュアルなのですが、「おもちゃが(カゴに)ない場合は、おもちゃ拭きはしない」というメインの事象だけを記載し、作業が遅くなりがちなスタッフへの個別注意事項として手書きで「15時までにトイレ掃除が終わらない場合は、おもちゃ拭きはせず、●●さんに「時間が無く、おもちゃ拭きはしていません」と報告する」と追記しました。そうすることで、シンプルなマニュアルを保つことが出来ます。

ライフハック③マニュアルツールを導入してみる

手書きメモやExcelやWord以外でマニュアルを作ってみよう!

マニュアルを何で作成していますか?手書きメモやExcelやWord等でもかまいませんが、可能であれば、マニュアル作成ツールを導入すると良いでしょう。

 スマホ・PCどちらからでも簡単に録画・撮影でき、編集もPowerPoint感覚で簡単に出来るVideoStepや、AIが基本のマニュアル作成を行なってくれて、編集だけを行うトースターチームなど様々なマニュアルツールがあります。
 フローレンスでは全社で「Teachme Biz(ティーチミービズ)*2」を導入しています。障害者雇用では多くのマニュアルが必要になりますが、Teachme Bizは、マニュアルの検索もしやすく、直感的に操作が出来てマニュアルが作りやすいツールです。

 下記の写真は、Teachme Bizで作成した障害者雇用スタッフが行なっている施設の清掃マニュアルのリンク集です。作業毎にマニュアルを作成し、マニュアルを一元化することで、誰もが業務の全体像を把握することが出来ます。

最後に

総務は「ちょっと、すみません…」と声をかけられる場面が非常に多いです。「すみません」と声をかける社員も、本当に申し訳なさそうで、こちらも申し訳ない気がしてきます。
普段コピー機を使っていない人にしてみれば、コピー機に紙が無いことで動かないことは非日常です。「4コママニュアル」などで「コピー出来ない時に確認する4点、①用紙があるか確認する。②…」等で示してあげると、「ちょっと、すみません…」が劇的に減るのではないかと思っているので、今度作ってみます。

*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。

*2 Teachme Bizの活用が認められ、フローレンスの障害者雇用チームでは、「Teachme Biz Award 2023」ダイバーシティ推進賞を受賞しました。

執筆の背景

障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。

そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました

▼過去記事一覧はこちら

フローレンスの障害者雇用についての視察や講演などの問い合わせは、 https://florence.or.jp/contact/ の取材・広報申込みフォームよりご連絡ください。


ここまでお読みくださりありがとうございます。一つだけお願いをさせてください。
認定NPO法人フローレンスは障害児の保育・支援問題、ひとり親の貧困問題、赤ちゃんの虐待死問題、などの子どもや子育てに関わる社会課題の解決に向けて多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでおります。何かの形で応援したい、と思ってくださった方は、フローレンスへの寄付をご検討ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?