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岡山遊会500回記念で出会う「くらしのアナキズム」と「まなざしの革命」

岡山の伝説のライブハウス「ペパーランド」の夜。能勢聖紅さんによって綺麗に飾られた花を前に、オーナーの能勢伊勢雄さん、岡山大学の文化人類学者で「くらしのアナキズム」を書かれた松村圭一郎さん、そしてハナムラをモデレーターとする岡山遊会500回記念パーティーは満員御礼で大いに盛り上がった。

立見の方々がたくさんおられて、中に入れずに外で随分と待ってもらった方々も居られたようで、すごい熱気の会だった。20:30からのスタートで22:30に終了予定が、結局休憩を挟みながら僕がペパーランドを後にしたのは4:30を回っていた。

「学びのアナキズム」と題した茶話会から始まったが、第一部では能勢伊勢雄さんが遊会の経緯をご説明されるところからスタート。元々は工作舎を立ち上げた松岡正剛さんが始められた「遊会」を岡山でも展開すべく、2年の準備期間を経て満を辞して岡山遊会は始められた。

それから41年間、毎月開催された岡山遊会はあらゆる領域のテーマについてチューターを必ず一人立てて朝まで話し合われる。しかもチューターはその道の専門家ではない"素人"の方が努められることも多く、誰でも参加できる参加無料の学びの会だ。それがこの度500回を迎えたというものすごいことが起こっている。

その能勢伊勢雄さんの話を受けて、松村圭一郎さんとハナムラとでそれぞれ応答しながら、今の時代に必要なメッセージを紡いでいく。話は学びというテーマから、大学、アカデミズム、コミュニケーションなどへと拡がりながら、人類学、アート、音楽、オルタナティブスペース、果ては国家や社会、人間の意識や実存にまで展開していく。

途中で参加者の皆さんも交えながら、それぞれの思いの丈やこの場との関わり、話を聞いて感じたこと、自分のリアリティや能勢さん、松村さん、ハナムラへの質問なども踏まえながら、夜半を過ぎるころには皆が会話に参加しているようだった。随分とたくさんの人が残っていた。

僕は今夜は話しすぎないようにとずっと皆さんの言葉に耳を傾けながら、メモを取っていたが、気がつくとメモが18ページに渡っていた。学びがテーマだったこともあるが、多分僕が一番学ばせてもらったのではないだろうかと思う。一応、自分が大阪で取り組んできた学びの場として運営してきたアトリエでの「3850日の演劇」についても紹介した。

こうしたライブの熱気は参加した人にしか分からない部分がある。その時に何が話されたのかも大事なのだが、それよりも一緒にその時間を過ごしたことに意味があるように思える。それぞれのリアリティをぶつけ合い、我々が生きていることを確かめ合い、ここに居てもいいことを認め合うこと。それが大事なのではないか。

僕も何を話したのかはほとんど覚えていないし、皆さんが何を話していたのかの内容はなんでも良いように思う。でもそこに出来るだけ嘘や虚飾がなく、互いのリアリティの中で自分の言葉が紡がれる時間を共有することこそ学びのアナキズムなのではないか。

能勢伊勢雄さんのお陰で、僕は随分と岡山で顔馴染みが増えて、すっかりと自分の街になったかのようだ。今回も松村圭一郎さんはじめ、また多くの方々とも知り合うことができた。また岡山に訪れた時には、その間にお互いにしてきた旅について話し合う。普段は離れていてもそうして互いの旅を語り合える仲間があちこちにいることは、まさにインターローカリズムそのもののように思える。

この500回という記念すべき夜。モデレーターという光栄な立場でお招き頂いた能勢伊勢雄さんに心より感謝するとともに、ペパーランドの皆様、来場者の皆様、松村圭一郎さんにも、心より感謝したい。また岡山でいつか皆さんとお話出来ることを楽しみに関西へ引き返す。

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