ゼノブレイドのバトルシステムと、その面白さについて分析してみた
こんにちは、ゲームプランナーのFujiと申します。
普段はスマホゲームの開発現場で仕様作成やスケジュール管理などをやっています。
noteではいろんなゲームについて、プランナー的視点でゲームのレビュー記事を書いています。
今回は昨年Switch版が発売された、『ゼノブレイド』についてレビューします。
僕はそのSwitch版で初めてプレイしました。
プレイ感想は一言で言うと、「バトルが面白く、全く飽きないゲーム」でした。
ゼノブレイドはそれくらい、毎回バトルをするたびに新鮮な気持ちでバトルをすることができ、敵を倒した時の達成感が異常に気持ちよく感じられました。
なぜそんなに飽きなくて、面白いバトルだったのだろう?
今回はその理由についてレビューしていきます。
まず、ゼノブレイドのバトルの面白さの理由は2つあると思っています。
1つ目は「アクション性とRPG性の噛み合わせが良い」、
2つ目は「仲間との一体感を感じる」
という2点です。
1つ目から詳しく説明していきます。
アクション性とRPG性の噛み合わせが良い
ゼノブレイドのバトルは、アクションRPGと呼べるものです。
RPGゲームによくあるような「属性の相性」「バフ・デバフ」「回復・状態異常」という要素がありながら、「敵に対する位置取り」や「技を出すタイミング」というアクション要素もある遊びとなっています。
なぜこのバトルシステムが採用されたかは、「社長が訊く」での開発スタッフへのインタビューで知ることができます。
ゼノブレイドでは、“巨神”と“機神”の世界への没入感がとても重視されていたことが分かります。
そのコンセプトをどのようにしてゲームに具現化されたかについて、自分なりにまとめてみました。
“巨神”と“機神”の世界への没入感を実現するためには、「巨神と機神がいるこの場所で戦っているんだ」という感覚を得られるようにする必要があります。
そのためにはバトルが始まるたびにシーンが切り替わる演出の方法では、「場所が切り替わっている」という感覚を持ってしまうため、没入感が減ってしまいます。
そのため、ゼノブレイドでは「シームレスなバトル」がバトルシステムに選ばれました。
さらに、「ターン制のバトルシステムにしてしまっては没入感が得られない」ということで、ターン制のバトルシステムも排除されました。
こうして、ゼノブレイドのバトルはRPG性とアクション性が組み合わさったシステムとなりました。
上記に挙げた特徴的なゲームシステムや、その他にもたくさんの要素が絡み合って「"巨神"と"機神"の世界への没入感」を実現しています。
ゼノブレイドのバトルの「RPG性」と「アクション性」について、さらに深堀っていこうと思います。
【RPGとしての面白さ】
まずは、ゼノブレイドがRPGゲームとしてどのような面白さを持っているかについて、特徴的なバトルシステムを見ていきます。
・「崩し・転倒・気絶」システム
「崩し・転倒・気絶」システムは、いわゆる一種の状態異常です。
敵を「崩し」、「転倒」、「気絶」の状態にすることで、バトルを有利にすすめることができます。
適切な順番で段階的に攻撃を与えることで、バトルを有利に展開させることができます。
このシステムはゼノブレイドでは重要度の高いシステムです。
どれだけ「崩し→転倒→気絶」コンボを成功させられるかで、バトルの展開が大きく変わります。
そのため、プレイヤーは「どうすれば崩し→転倒→気絶コンボを効率的に成功できるか」を考え、そのための編成、そのためのアーツ(スキル)セッティングを考えます。
このように、「崩し・転倒・気絶」システムは、バトルを有利にするために工夫のしがいがある面白いシステムです。
・編成
バトルに参加できるキャラクターは常に3人で、その3人をどのように編成するかで、バトルの有利不利に大きく関わってきます。
前述した「崩し・転倒・気絶」システムは、バトルを有利にするために大きな要素で、できればこのコンボを優先して発動していきたいところです。
その観点でキャラクター編成を見てみると、「単体で崩しと転倒ができるキャラ」もいれば、「崩しだけや転倒だけしかできないキャラ」など、キャラクターの組み合わせをよく考える必要があります。
また、それぞれのキャラクターにはHPの多いタンク、回復が得意なヒール、攻撃が強いアタッカーという感じでステータスに特徴があります。
そのため、「崩し・転倒・気絶」システムに限らず、「どのように敵を倒していくか」という役割分担を考えるのも重要です。
例えば、タンク、ヒール、アタッカーの組み合わせだと、ダメージ効率はそこまで良くはないけど、どっちかというと負けにくいバランスの良い編成です。
(余談ですがこの編成が1番バランスが良いため、ストーリー的にもシュルク、ライン、カルナの順番にプレイアブルキャラを登場させたのだと思います)
また、ヒールを外してアタッカー2枚の編成ならダメージ効率が良くなりますが、回復しづらいため短期決着型の攻撃スタイルになります。
といった感じで、他のRPGタイトルにもあるように、キャラクターの特性を考えた上で効率的な編成を考えるという面白さのあるゲームとなっています。
【アクション性の面白さ】
次に、バトルのアクション性について見ていきます。
・敵に対する位置取り
ゼノブレイドのバトルは、敵に対する位置取りが重要です。
真正面から敵に突っ込んでいけば良い話ではなく、敵がどう動くかを見極めて、どこに位置取れば効率的に倒せるかを考える必要があります。
特に、シュルクのアーツの「バックスラッシュ」は、敵の背面からダメージを与えると大ダメージになったり、「スリットエッジ」は敵の側面からダメージを与えるとデバフを与えることができます。
・「ヘイト」の管理
ゼノブレイドのバトルで考えるべきことは、自分がプレイしているキャラクターと敵キャラクターの位置関係だけではありません。
味方キャラクターの位置取りも必要です。
なぜなら、敵は「ヘイト」が高まっているキャラクターを攻撃対象に選ぶからです。(たくさん攻撃をするほどヘイトが高まる)
例えばシュルクの「バックスラッシュ」を敵の背面に当てたい場合、自分にヘイトがたまらないように(攻撃対象とならないように)する必要があります。
そのためにはラインのようなHPが高くてヘイトを溜めるアーツを持っているキャラクターを味方に起き、攻撃対象をラインに集中させます。
敵がラインに対して攻撃している間に、自分は背後に回って「バックスラッシュ」を当てる、といった戦い方をすることになります。
しかし、「バックスラッシュ」は大ダメージなので、これを当てると今度は自分にヘイトがたまり攻撃対象となります。
「バックスラッシュ」を当てた直後は攻撃されやすいため、HPの少ない状況で「バックスラッシュ」を当てるとリスクが高まります。
このように「大ダメージを与えたいけど、ヘイトはためたくない」というジレンマが発生しており、味方キャラクターを通じた立ち回り方にバトルの奥深さが出ています。
仲間との一体感を感じられるバトルである
次は、ゼノブレイドのバトルのもう1つの面白さである「仲間との一体感や絆を感じられる」という点について触れていきます。
前述した「社長が訊く」では触れられていませんでしたが、ゼノブレイドのコンセプトには「仲間との一体感や絆を感じられる」があったと僕は考えています。
なぜなら、それらを感じられるゲーム仕様が随所に見られたからです。
図式化するとこのような感じです。
「仲間と一緒に力を合わせて強くなる仕組み」や「ピンチの時に助け合う仕組み」など、「仲間がいて良かった!」、「仲間がいたからバトルに勝てた!」と思わずにはいられない仕組みがあります。
詳しく見ていきます。
・パーティーゲージ
バトル中の画面左上に見えるゲージが「パーティーゲージ」です。
これは、上手く立ち回ったり、仲間を助けたりすることで、より有利になれる仕組みです。
「突発キズナ」を成功させて仲間を助けることでパーティーゲージが溜まり、パーティーゲージを消費することでさらにバトルを有利に展開できることが分かります。
・チェインアタック
パーティーゲージを3メモリ消費することで発動できるチェインアタックは、敵に対して最も大きなダメージを与えることができる攻撃方法です。
パーティーゲージ発動直後、時間が停止して仲間3人がそれぞれ任意のアーツを1回ずつ使うことができます。(チェインアタックではリキャスト中のアーツも使用可能になります)
仲間3人がそれぞれアーツを順番に使うことができるため、先述した「崩し→転倒→気絶」コンボの発動もやりやすくなります。
さらに、仲間との「キズナ」が高いと、このチェインアタックはさらに継続することができ、連続して10回アーツを使うこともできるため、かなりの大ダメージを与えることができます。
この、「突発キズナ」で仲間を助け、褒めることでパーティーゲージを溜めてチェインアタックで大ダメージを与えるという一連の攻撃は、「仲間との一体感」をとても感じることができます。
「仲間がいるからバトルに勝てた!」と思わずにはいられない仕組みになっています。
・キャラクターの特徴
また、先述しましたが、キャラクターごとにタンク役やアタック役など、パーティー内での役割が明確なステータスになっています。
そのため、どのキャラクターを操作しても他のキャラクターと役割が被らず、自分が操作しているキャラクターの存在意義を感じることができます。
これによって、「仲間のために俺がいなきゃ!」という感覚になり、仲間との一体感を感じることができます。
以上、ゼノブレイドのバトルシステムとその面白さについて分析してみました。
何度バトルをしても本当に飽きが来なくて、とても面白いので、未プレイの方はぜひ遊んでみてください。
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