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「プロダクトデザイナーが学ぶ、UX/デザイン思考の基礎」  第1/10回 「ブートキャンプ」

企業内で、家電製品などのデザインをしている「フォーカル」です。
これから10回に渡り、Xデザイン学校( https://www.xdesign-lab.com )で学んでいる「UX/デザイン思考」での「気付き」を月一で投稿していきます。
講義の中で薦められてこのnoteを作成していますが、私以外のインハウスデザイナーや、これからインハウスデザイナーになりたい方々のお役に立てれば幸いです。
しかし、私も学び始めたところなので、ここでの内容は鵜呑みにしないでください。今回は、1、【UX/デザイン思考を学ぼうと思ったきっかけ】 2、【初回講義での気付き 】です。

1、 【講座受講のきっかけ】 10年やっても「デザイン」について知らないことだらけ 



私は大学でプロダクトデザインの勉強をした後、約10年間、企業のデザイン部門でデザインの仕事に携わってきました。
そんな私がUXデザイン、デザイン思考を学ぼうと思ったきっかけとそれに繋がるデザイン業務の現状を紹介します。

デザイナーがデザインを学び直す意義


まず「プロダクトデザイナー」の主な仕事について簡単に説明すると、商品の形、色、その他お客さまの目に触れる部分全体を決めていく仕事だと私は捉えています。その商品がどうあるべきかを考え、それを企画、設計、営業、会社幹部の方々に説明し、できるだけ理想に近い形で世に送り出すことが使命だと思っています。
乱暴に言ってしまうと、製品の種類によっては、開発してそれらしい体裁にして売るまでを全て一人でできてしまうようなスキルがあります。
実はここが落とし穴で、「大体のことをそこそこのレベルでできてしまう」が故に、日常業務で使う以上の知識を得ようとするきっかけが得にくい職業でもあると考えています。
恥ずかしながら私自身も大学の頃から入社して何年か経つまで、「わざわざUXデザインなんて学ばなくていいでしょ」と思っていました。
ところが、そんなことを思っているうちに世の中はどんどん変化していました。

*念の為補足しておくと、私が多摩美にいた10年以上前でも、UXデザイン、GUI(画面の中のデザイン)の重要性、デザイン領域の拡大のお話は授業の中にきちんと含まれていました。ただし、そこに重要性を見出して、学ぶかどうかは個々の判断でした。

ものづくりの現場では、商品をデザインする機会が減っている


プロダクトデザイナーになって、人を感動させるようなデザインをたくさん生み出すぞと!と思って仕事をしている内にどんどん商品の形をデザインできる仕事が減ってきました。

なぜか?色々な要因がありますが、分かりやすい例を出すならば、スマートフォンの登場です。
固定電話はもちろん、カメラ、テレビ、ゲーム機、ポータブル音楽プレーヤーなど、従来はそれぞれ別々のハードが受け持っていた機能がスマートフォンに綺麗に収まってしまいました。
こんな状況下では従来のようには商品が売れなくなってしまいます。売れない商品を作っても意味がないので、事業撤退や開発機種数の削減が進むわけです。
そんなスマートフォンでさえ、どんどん淘汰が進み、国内企業のスマホは消えていきました。商品が同質化し、価格が下がっていくと競争はよりハードになり、生き残れないメーカーが増えていきます。

10年デザインの仕事をして、できることよりできないことが増えている


そんな中で、今私は何をしているのか?細々とプロダクトデザインをしながら、他の仕事をしています。
その内容を簡単に言うと、商品を開発する以外のところで、お客さまとの接点はどうあればいいのか?
どうすれば、より多くの方に使っていただけるか、どうすればより満足いただけるか?ということを考え、必要によって何かを作るという仕事が増えています。先述の通り、それらしく体裁をまとめることはできます。

しかし、全てが手探り状態で、スピードも質もなかなか上がりません。試しにいくつかのセミナーを受けてみると、そもそも自身の取り組みが合っているのかどうかを判断するモノサシでさえあるのかないのか怪しい状況だと気付きました。
デザイン関連の求人情報を見ると、自分がやったことのないような経歴を求めるものばかりです。
これから先の時代、自分はデザイナーと名乗っていていいのか?そもそもデザイナーって何だ?そんな思いが湧き上がっていました。

10年もデザイナーをやってきたのに、時代が変わっていく中で、できるようになったことより、できないことの方が増えていました。

2、【初回講座での気付き】UXデザインは万能薬ではない


UXデザインは自分が新しい仕事をするための万能薬だと思っていましたが、違いました。
当たり前のことですが、商品を一つ開発するだけで、莫大なお金と人の時間が必要になります。
コストをかけずに価値を生み出せるのなら、そっちの方がいいです。
UXデザインもまた、使わずして価値が出せるのならその方がいいということが今回一番の気付きです。
UXデザインありきで物事を考えない、UXデザインを目的にしないということが、UXデザインをうまく活用する鍵だと気付きました。

今の時代、UXデザインを使うこと以上に大事なのは、企業、企業と関わる人々、さらには地球と良好な関係性を作ることです。
こう言ってしまうと環境活動家みたいですが、企業価値の判断基準は商品や業績だけでなく、社会や環境に対する企業姿勢も重視されつつあるからです。
ただ闇雲に環境に配慮するのではなく、企業、人、社会、地球の良好な関係性が成り立つような仕組み(ビジネスモデル)を作ることが第一です。このための手段として、広い意味でのデザイン、専門的なデザイン、あるいは全く別のアプローチがあります。
「自分が知らなくとも、無数のアプローチが存在する、そもそも知らないことだらけである」、それを認識した上でデザインに取り組むことがUXデザイナーとしての第一歩だと今回の講義で学びました。

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