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ホフクゼンシンで進みながら -ホームスクーリングで幼児を育てながら、本を書いている母の記-

 十月、クリスチャンのホームスクーリング団体、ちあにっぽんのコンベンションに行ってきた。

 ちあにっぽんは、もう二十年ほどの歴史がある、日本にホームスクーリングを根付かせるために大きな働きをしてこられた団体である。わたしも、幼なじみである夫も、子どもの頃に、ちあにっぽんのキャンプで楽しく遊んでもらった。

 すばらしいコンベンションだった。子どもとしてではなく、親として行った初めての、ちあにっぽん。キリストのみこころに叶った子育てについての、学校みたいな二日間だった。親としてのリバイバル集会みたいだ、とも思った。

 (仕事を休んで、一緒に来てくれた夫に感謝です)

 そのなかで、いちばん心に残ったこと。それは「ホームスクーリングとはなんですか?」という問いへの、19年間ホームスクーリングで子どもを教えられているというかたの答え。

 「ホームスクーリングとは、神さまにそうしなさい、と言われて、ハイ、と答えることです」

 すぐにはよく分からなかった。けれど日が経つにつれ、その言葉が染み込んできた。わたしは神さまを愛している。だから神さまのおっしゃる通りに従って生きようとしている。ホームスクーリングも、召されているわたしには、そのひとつなんだ。どれだけ大変か、ではない。

 そう! ほんっとに大変! 四歳児と四六時中いっしょにいるのは。預けちゃえれば、学校にでも行ってくれれば、楽かもしれない。でも神さまは、わたしたちを、ホームスクーリングに召された。そしてそのための環境も与えてくださった。

 「山あり谷ありだけれど、長い目で見れば必ずその実が見えるから」

 そうも言われた。わたしも、ちょっぴりずつその実を見ている。足りないところもたくさんある。けれど、あなたの子を教えるのにあなた以上に最適なひとはいない、と言われたとおり、この子の聞いてくる、

 「ねえ、オダノブナガとたたかった、蹴鞠してるひとってだれだっけ?」

 という質問に答えられるのも、我が家ではわたししかいない。

 「えっと、朝倉義景?」
 「ちがう」
 「足利義昭?」
 「ちがう」
 「あ! 今川義元!」
 「せいかい!」

 (ねこねこ日本史を見せているせいで、彼は歴史に詳しい。まだ文字も書けないけど)

 だから、わたしはみこころを歩んでいると信じている。とにもかくにも、神さまに「ハイ」と答えた。

 日常は、むずかしい。ストレスのせいか、慢性扁桃炎になってしまって、ここ二ヶ月ほどずっと扁桃腺を腫らしている。そんななかで、わたしは二冊目の本を作っていた。

 日々の暮らしは、匍匐前進のようになった。教会も一ヶ月休んでしまった。無理せずにと思っても、四歳を家のなかに留めてはおけない。お義母さんに付き合ってもらって、子どもを遊ばせた日の終わりに、義実家で熱を出したのが、一ヶ月間に二回。それでもこの本を出すんだ、這ってでも、というような日々を過ごしていた。

 強い薬を出してもらって、ようやく治った数日後に、ふたたび扁桃腺が腫れた日。その日は子どもが泣き叫んだせいで、ストレス性の耳鳴りがして、夜中、母にいっしょに祈ってもらった。

 「イエスさま、弱った者、重荷を背負った者はわたしのもとに来なさい、とあなたはおっしゃいました。わたしは疲れて、ストレスで耳鳴りがするし、扁桃腺は腫れているし、どうしようもありません。だからあなたのもとに参ります。どうか助けてください」

 「でもいま作っているこの本を、感謝します。これはあなたの本です。あなたに捧げます。サタンがどれだけ妨害しようと、あなたがこの本を完成させてくださっていることを感謝します。匍匐前進で進まなくてはいけないとしても、わたしはこの本をあなたのために作ります。どうか、あなたがこの本をみこころのままに用いてくださいますように」

 ハレルヤ! わたしは癒されました! 症状は、まだ残っているかもしれない。けれどわたしのなかに、癒し主が住んでおられるから。

 ベッドに横たわりながら、Letting off the pressure というタイトルの説教を聴いていた。どうしたら、ストレスを解消出来るのか知りたくて。

 主がわたしに教えてくださったこと。それは心配をすべて主にゆだねること。主がすべてを計らってくださる、ということを、心底から信じること。明日この子の体力をどう発散させたらいいかしら、から、わたしの手に及ばない他人のことまで、すべての心配を。

 そうやって神さまは、わたしを0地点まで戻してくださった。いま、わたしの身体はやわらかく、心は主にゆだねきれている。喉も、昨日より良くなっている。わたしの神さまは、ほんとうに良いお方。

 そして今朝、原稿を印刷所に出稿することが出来ました。

 「子どもを育てながらよく執筆できるねえ……」

 と母になったばかりの友だちにこないだ感嘆されたけれど、ほんとうに、わたしの力で出来ることではありません。けれど神さまに出来ないことはないのです。

 でもこの本のあとは、二三年は小説なんて書かずに平穏に暮らそうと、湯治の夢を見つつ。天国には、温泉ってあるのかしら。

 以上が、現場からのレポートでした。

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