見出し画像

「19歳の少女たちが毎月5000円を積み立てて1年後、 銀座ロオジエで食事した話」

「19歳の少女たちが1年間毎月5000円を積み立てて
  銀座ロオジエに行った話」
東京・銀座にある「ロオジエ」は、
1973年に誕生したフランス料理店です。
2021年で48周年を迎えた老舗で、
ラジュアリーな空間と常に最高のホスピタリティを届ける高級フレンチとして有名です。
ミシュランでも3つ星の常連です。
ミシュランが日本に上陸した2007年、
「3つ星がつくのはロオジエのほかにはどこのレストランだと思いますか?」
とよく聞かれました。
「日本で最初に3つ星がつくのはロオジエだ」
と考えられていたほど
圧倒的な名声を誇る日本最高のレストランです。
料理は、シェフのジャック・ボリー氏、
ブルーノ・メナール氏の頃より、
現在のオリヴィエ・シェニョン氏に至るまで、
繊細で美しく格調高く、芸術品の様な料理は至高の味わい。
まあ1人数万円するレストランですので
料理は美味しいのは当たり前として、
ロオジエの一番の特徴は日本最高のホスピタリティです。
以前のホームページには、
42席の席数に対して45名のスタッフがお迎えします、
と謳っていました。
調理スタッフも含めてですが、
お客さん1名に対して1名以上のスタッフがもてなす、
と公表しているレストランを、
私はロオジエしか知りません。
ロオジエもそうですが、
高級レストランでは
中学生未満の子供に関しては入場を禁止しています。
海外のレストランの多くもそうですね。
ロオジエの場合は、
個室であってもランチであっても小学生以下は入場できません。
理由は「高級レストランとしての場の雰囲気が壊れるから」。
超高級レストランにおいて「場の雰囲気」は
料理を味わう上で重要なファクターです。
子供が走り回ったり、
大きな音を出したり、
泣いたりする物音を、
微笑ましいと感じる余裕のあるお客さんばかりではありません。お客さんは「厳粛で凛とした雰囲気」
を味わいにロオジエに来ています。
ロオジエは頻繁に行くようなお店ではありません。
特別な日に予約して行く店です。
いわば「ハレのお店」です。
結婚のプロポーズの舞台として来店する若いカップル。
反対に離婚を切り出す夫婦もいます。
明日から思い病で入院する人、
南米から40年ぶりに帰って友人との束の間の再会を楽しむ人達。莫大な金額の商談。
喜怒哀楽の交錯する場所であり、
人生の縮図でもあります。
ピリピリとした緊張感の中で
食事をしているお客さんもいます。
そういったお客さんは、
子供たちが大きな声で騒ぐ、
赤ちゃんが泣く、幼児が食器を落とす、
という物音にも神経質になってしまう場合があります。
人生を賭けたイベント、
人生最大の食事会に水を差してしまう可能性があります。
ロオジエの源流である資生堂パーラーは
1902年(明治35年)が起源。
明治、大正、昭和と女性が社会で躍進する時代へ
移行するにあたり女性が健康で美しくあ事を応援し、
働く女性が思いっきり美しく着飾って来店できるステージを作るためにオープンしたお店がロオジエです。
ホスピタリティも日本最高水準です。
一度、北関東の美容部員さんの研修で
「最高のホスピタリティを学ぶには、
最高のホスピタリティのおもてなしを体験するために銀座ロオジエに一度行ってみてください。」
と講演しました。
するとそこにいた4名の10代の美容部員さんが、
毎月5000円ずつ積み立てて1年後、
6万円を握りしめて本当にロオジエに行ったそうです。
1万円札が汗で濡れているくらいの緊張感が伝わりますね。
その緊張感も含めて「ロオジエ」です。
20歳前後の少女が、
なけなしの6万円を握りしめて
わざわざ東京まで3時間各駅停車に乗り継いでやってきて
泣きそうなくらいの緊張感で行く憧れのフレンチレストラン。
 色んな意見はあるかと思いますが、
そういった思いを踏みにじらないためにも、
彼女たちの志を冒涜しないためにも、
やはり子供はロオジエで食事はしてはいけない、
と私は思います。
ちゃんと自分でお金を稼げるようになって、
礼儀をわきまえ、
そしてロオジエの価値が本当にわかるようになって、
初めて行くレストランもあっていい、と思います。


この記事が参加している募集

最近の学び

ご当地グルメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?