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日和佐の山から~水源には



洗い越し

フォレストバンクの日和佐にある山林ではいくつかの小さな沢がありまして、その水と言うのは清流の日和佐川水系を構成するひとつになります。

その水源にも色々な生物が生息しているという事で、

前にナガレホトケドジョウについて書きましたが、今回はカゲロウについて書きたいと思います。


身近な水生生物観察ガイド

はじめに
10年以上前に発刊された刈田敏三先生著書の「身近な水生生物観察ガイド」についてオススメなのでご紹介します。
基本的なカゲロウ、カワゲラ、トビケラなどの水生昆虫について纏められたものであり、河川環境についても言及した内容です。

攻めた内容の水中コラムのコーナーなどすごく面白いです(笑)  


ガガンボカゲロウ幼虫 photo by shono

まず、カゲロウって何ぞや?という事で、実はかなり原始的な生物で3億6700万年前の古生代石炭紀に地球上で最初に翅を持った生物と言われてます。

一生のうちほとんどの期間を幼虫として水中で過ごし、亜成虫、成虫の段階では陸上に進出し短い期間で生殖活動を頑張っています。

 生活史においては「セミ」みないなイメージを持ってもらうと分かりやすいかも知れない。あくまでイメージ。

ガガンボカゲロウ幼虫 photo by shono

このガガンボカゲロウっていう種は河川の水源付近、源流部のみに生息しているみたいです。

おそらく水源に落下した落ち葉などの植物片(植物片に繁殖した菌糸)など食べてるでしょう。

世界では約3000種が記録され、日本では10科105種以上が確認されてますが幼虫と成虫の関係が判明してるのは約60種程度とまだまだ分からない事が多いのです。


ガガンボカゲロウ成虫 photo by shono

幼虫が成虫になるとこんな感じです。このカゲロウは比較的大型種のカゲロウで大きな翅を持ってます。ちなみにオス個体。

個人的な考察ですが、一生を水の中で過ごすというのはそれなりのリスクがある。生息環境である水が無いと生きれないと言う点。
でも表層に水が無いような沢でも案外土中は水が動いてて、絶滅の心配は無いように思われるが、それでもリスクはある。

陸上に進出する事で、より安定した水源に移動する事が可能になり今の種の繁栄に繋がってるのでしょう。

この種は源流部を好む種ですが、流速の速い所、遅い所を好む種など環境に合わせて色んな所に生息しています。

把持子(フォーセップ)

カゲロウのオスには把持子(はじし)と呼ばれる器官があって、これでメスを挟んで固定して交尾します。

ほんと、よく考えられて進化してるなと思います。

まあ、何が言いたいかまとめますとカゲロウは自然生態系の循環の中で重要ですよ。という事でした。

カゲロウが生息できる事で上位捕食者が循環でき、最終的には人間に繋がってるのですからね。

山づくりを行う中でカゲロウの生息というのも一つの指標になるかと思います。
人為的に山を触る上で仮に個体数が激減してしまった場合などはもう戻せないですからね。100年単位の長期的スパンで見れば自然回復はすると思いますが。

近年のコンクリートガチガチの護岸など、疑問を持つ人が増えればなーと思います。
山づくりも川づくりも、そこに興味を持つ人が増えれば今後の自然環境というのは変えられるんじゃないかなー。


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