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リモートワークはチームワークが苦手――「現実」と「イメージ」を区別できない脳をうまく使いこなす

リモートワークが定着して、最近ではその弊害が指摘されるようになりました。みなさんの職場はいかがでしょうか。

「社長100人アンケート」でテレワークで自社の労働生産性がどうなるか聞いたところ、「上がる」は2割にとどまった。約5割の経営者がコミュニケーション不足や従業員の管理のやりにくさを感じており、運用の最適解を模索している。
――――日本経済新聞 2020年9月28日号より

個人的には、リモートワークとオフィスワーク半々ぐらいが、ちょうどいい生産性を上げてくれる気がします。結果、弊社でもそういう働き方が普通になりました。

書籍編集の仕事の場合、原稿整理や企画立案といった個人プレーの部分はリモートが適しています。単なる報告や連絡もリモートでぜんぜん問題なし。一方、アイデアを出し合うような打ち合わせ、企画会議、タイトル会議などはオフィスに集まってやったほうが生産性が格段に上がることがやってみてわかりました。

つまり、これって、リモートワークは「チームワーク」が苦手ってことなんじゃないでしょうか?

そんな問題意識を持っていたところ、「なるほど、やっぱりそうか!」と唸る記事を見つけました。

このインタビュー記事は、昨今のような状況になるずっと以前の2017年に語られているんですが、いま「まさに!」と思うことが指摘されています。

インタビューの後編「人間の五感は『オンライン』だけで相手を信頼しないようにできている」は必読です。

椋田:
チームワークを強めるには、「共有できないはずの感覚」を一緒に経験することが大切なのでしょうか。

山極先生:
そのとおり。チームワークを強める、つまり共感を向ける相手をつくるには、視覚や聴覚ではなく、嗅覚や味覚、触覚をつかって信頼をかたちづくる必要があります。

合宿をして一緒に食事をして、一緒にお風呂に入って、身体感覚を共有することはチームワークを非常に高めてくれますよね? つまり我々は、いまだに身体でつながることが一番だと思っているわけです。

椋田:
人間にしかないチームワークを支えているのは、類人猿の時代からの身体感覚なんですね。

山極先生:
はい。人間は言葉や文字をつくり、現代ではインターネットやスマートフォンなど、身体は離れていても脳でつながる装置をたくさんつくってしまった。

だから、安易に「つながった」と錯覚するけれど、実際には信頼関係は担保できているわけではないという状況が生まれています。

人間は脳が発達した生き物なので、実際に遠く離れた相手でも「つながった」という感覚を持つことができるけど、それは「錯覚」でしかないというのです。

「共感力をつかって信頼関係をつくるには、時間をかけないといけないんです。共感と信頼は時間との係数だから、いくらお金を使っても1分で友だちになるのは無理です」

逆に、この「錯覚」を能力開発の文脈で活用しているのが、潜在意識を活用した心理メソッドといえるかもしれません。

そこで、「脳」を「道具」として使いこなして、潜在意識を書きかえてしまう方法を解説した今月の新刊『全脳活性で潜在意識を書きかえる』(山岡尚樹・著)から一部をご紹介します。

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脳は「ポジティブ」より「ネガティブ」に反応する

本書『全脳活性で潜在意識を書きかえる』は20年以上にわたり10万人以上を指導してきた全脳活性プロデューサー・山岡尚樹氏の実践的なエクササイズ・ワークの集大成的作品です。

 脳が変われば、潜在意識が書きかえられ、人生が変わる。
 脳は道具。主人公はあなたの意識。
 だから、あなたという意識が、脳という道具をうまく使いこなせば、あなたの人生は面白いように変化していく。

 これが本書でお伝えしたいことの核心です。ここからは、そのためのノウハウを具体的に紹介していきます。
 その前に、脳が持っているふたつの特性について、少しだけ話をさせてください。これを知っていれば、各章でご紹介するワークがなぜ効果的なのかをご理解いただけると思います。
 ひとつ目の特性は、ほとんどの場面において、脳はポジティブなものよりネガティブなものに強く反応するということです。言い換えれば、嬉しい、楽しい、安心といった気持ちにさせるものより、恐怖や怒り、あるいは不安を引き起こすもののほうに強く反応するのです。
 こうした反応は、人間をはじめとする脊椎動物が厳しい環境の中で生き残り、子孫を残して種を存続させるために、あらかじめ織り込まれたものです。
 たとえば、ある動物が、自分の命をおびやかすような敵と出くわして「恐怖」を感じたとします。その情動は「逃げる」という行動を起こさせるので、動物は結果的に危険を回避することができます。
 また、「怒り」を感じた場合は「戦闘態勢」に入り、相手と戦い、打ち負かすことで危険を排除しようとします。そのほか、「不安」という情動は、周囲の気配に敏感になり、いち早く危険を察知することに役立つでしょう。
 つまり、ネガティブな情動が、自分の命を守ることに役立っているわけです。
 ちなみに、このとき動物の体の中では、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールといったホルモンが放出されます。すると、瞳孔が拡大し、心拍数が上がり、血圧が上昇し、筋肉に多くの血液が送り込まれ、危機に応じて瞬間的・爆発的な行動ができるような状態になります。
 俗にいう「火事場のバカ力」は、このようなときに発現します。
 ここで何を申しあげたいかというと、脳がネガティブなものに反応するのは自然なことなので、それをいちいち気にしなくてもよい、ということです。
「なぜ私はこんなに暗いのだろう」「なぜ前向きになれないのだろう」などと考え込む必要はないし、ましてや「前向きにならなくては!」と、がんばったりする必要もありません。
 ついでに申しあげますと、「暗くなってはいけない!」と、ネガティブな気持ちを抑圧したり、「(本当は暗い気持ちだけど)私は暗くない」と封印したりするのは、さらによくありません。
 いちばんよいのは、自分がネガティブになっていることにまず気づくこと、そして、ネガティブになった原因についてあれこれと考え、深掘りするより、「ちょっと落ち込んでいるな」くらいに認めて受け流すことです。そのうえで、これからお教えするワークを実践してください。そうすれば、脳は自然とポジティブになっていきます。
 ここでいうポジティブとは「快」、ネガティブとは「不快」と言い換えることができます。要するに、脳を喜ばせて、心地よく快適な状態にしてやれば、それに応じて心と体、さらには状況を認識する視点やその後の行動が変化して、これまでとは違う現実がどんどん生みだされていくのです。

脳は放っておくと、ついついネガティブになる。

これって、日常生活レベルで理解できる話ですが、もともと人間が持っている生存本能によるものだったのですね。

脳は「現実とイメージの区別」がつかない

「脳はついついネガティブになる」のほかに、脳にはもうひとつ重要な特徴があるそうです。

 ふたつ目の特性は、脳はあなたのまわりで実際に起きている出来事と、あなたが内面でイメージしている出来事との区別がつかない、ということです。いえ、むしろ、ふだんあなたがイメージしていることこそ自分にとっての現実だと認識し、それに合わせて脳内のシナプスを結合させていきます。
 ご存じのことと思いますが、アスリートたちは、このような脳の特性をいかしてイメージトレーニングを行います。
 たとえば、短距離走の選手が、100メートルを自己新記録で疾走する自分をリアルにイメージすると、どうなると思いますか? 血圧が高くなり、心拍数が上昇し、走るときに使う筋肉が実際に動くことが確認されています。
 もっと身近なところでいえば、レモンや梅干しを思い浮かべるだけで、酸っぱさを思いだして唾液が出てきますね。これも脳がイメージを現実だと理解し、それに見合った体の反応を引き起こした例です。
 また、ケガや術後の回復を促すためのリハビリテーションの現場でも、イメージトレーニングが用いられています。動きにくい手や足がスムーズに動くとイメージしてから訓練や手技を行うと、イメージトレーニングを行わなかったときと比べて、良好な結果が得られるそうです。
 このように、イメージが心や体を変化させ、現実をつくっていくことは、すでに事実として認められ、さまざまな分野で活用されているのです。

さきほどの「リモートワークはチームワークが苦手」であったように、脳は「チームメンバーとつながった」と錯覚する事例が思い出されます。

この場合、錯覚ではなく、脳は現実とイメージの区分けができない。だから、スポーツの世界におけるイメージトレーニングや、術後のリハビリテーションの現場で、脳のそうした特性が活かされています。

「快脳回路」と「不安回路」

 さて、いよいよあなたの番です。あなたのイメージは、どのように人生をつくっていくのでしょうか。
 たとえば、あなたが「自分は豊かで幸せだ」「ウキウキ、ワクワクしている」とイメージすると、脳内では、豊かで幸せ、ウキウキ、ワクワクという脳内回路が構築されていきます。私はこれを「快脳回路」と呼んでいます。
 反対に、「自分は豊かでも幸せでもない、お金や地位がもっと必要だ!」「自分はダメな人間だ、どうしよう」などとイメージしていると、そういう脳内回路がつくられます。先ほどの「快脳回路」に対して、こちらを「不安回路」と呼んでいます。
 快脳回路や不安回路は、それぞれに見合った体の反応を引き起こし、現実を変えていきます。
 快脳回路が稼働しているときは、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンといった「幸せホルモン」が分泌され、満ち足りた明るい気分でいられます。世界中が自分を応援し、祝福してくれているように感じられ、いろいろな物事がスムーズに進んでいきます。
 不安回路が稼働しているときは、これと逆のことが起こります。アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどの「ストレスホルモン」が分泌され、緊張感がますます高まり、落ち着かなくなっていきます。
 このような状態で考えたり、行動したりしても、なかなかうまくいかないことが構築されていきます。私はこれを「快脳回路」と呼んでいます。
 反対に、「自分は豊かでも幸せでもない、お金や地位がもっと必要だ!」「自分はダメな人間だ、どうしよう」などとイメージしていると、そういう脳内回路がつくられます。先ほどの「快脳回路」に対して、こちらを「不安回路」と呼んでいます。
 快脳回路や不安回路は、それぞれに見合った体の反応を引き起こし、現実を変えていきます。
 快脳回路が稼働しているときは、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンといった「幸せホルモン」が分泌され、満ち足りた明るい気分でいられます。世界中が自分を応援し、祝福してくれているように感じられ、いろいろな物事がスムーズに進んでいきます。
 不安回路が稼働しているときは、これと逆のことが起こります。アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどの「ストレスホルモン」が分泌され、緊張感がますます高まり、落ち着かなくなっていきます。
 このような状態で考えたり、行動したりしても、なかなかうまくいかないことは、想像に難くありません。
 じつは、多くの人は、快脳回路や不安回路が自分を動かしていることに気づいていません。そのため、本来は人生の主人公であり、脳を使う立場にあるあなたの意識、つまり「私」が、知らず知らずのうちに脳に使われてしまう、ということが起こるのです。
 そして、あなたが脳に使われたとき、あなたの性格や能力、得られるチャンスや運気、健康状態、さらには、あらゆる願望実現のスピードが、あなたの知らないところで、脳によって決定されていきます。
 この関係をひっくり返し、あなた自身が人生の主人公になりましょう。性格や能力から願望実現のスピードまで、あなた自身が決めるのです。
 今、あなたを取り巻く「現実」というものがあります。その現実は、強固で、物理的で、客観的なもので、自分の外側に存在するものとして、あなたには感じられるかもしれません。
 しかし、実際は、そうではないのです。あなたが認識している現実は、強固でも客観的なものでもなく、あなたの内面、すなわち意識や脳内回路が投影されたものです。だから、あなたしだいで柔軟に変化していきます。もっといえば、脳内回路をつくり換え、潜在意識を書きかえることで、現実はみるみる変わっていくのです。

私たちは潜在意識に動かされている

 ここで少し、潜在意識について、改めて説明しておきましょう。
 私たちの意識は、しばしば氷山にたとえられます。
 氷山は、海上に頭を出していますが、それは全体の1割にすぎません。まさに氷山の一角ともいうべきこの1割が、私たちが自覚できる「意識」です。昨今では、顕在意識という表現も用いられています。
 一方、海面下には、残り9割の意識が存在します。これが潜在意識です。
 潜在意識とは、言い換えれば無意識の世界です。ふだんは意識にのぼってこないトラウマや、行動を阻害または制限する精神的なブロックやブレーキは、凍りついたまま、ここに埋もれています。
 じつは、私たちの行動を規定する力が大きいのは、意識ではなく無意識、顕在意識ではなく潜在意識です。
 たとえば、日常生活で私たちは、箸を使ったり、自転車に乗ったりします。このときあなたは、「親指・人差し指・中指でまず1本をはさんで……」「右足と左足で交互にペダルを踏んで……」などと、意識して体を動かしますか? 最初のうちは練習が必要でも、やがて自然と体が動くようになったはずです。
 顕在意識と潜在意識の関係は、このようなものです。つまり、最初は顕在意識が担当していても、何度かくり返され、習得されると潜在意識に担当が移り、自動運転がはじまるのです。
 心の癖も、このようにして生まれます。ざっくりといえば、Aという事柄と「辛い」という感情を何度か一緒に体験すると、「Aは辛い」という観念が潜在意識に定着します。そして、AもしくはAを想起させる物事に遭遇したとたん、辛いという感情に襲われ、行動が規定されていくわけです。
 その意味で潜在意識とは、「起きた出来事に与えた意味づけの蓄積」です。別の言葉にするなら、「過去の自分の意識」なのです。

まずは脳を「ご機嫌さま」にする

 こうした心の癖、ひいてはトラウマやブロックといったものを気にする方は多いと思います。しかし、言わせていただけるなら、そういうものにこだわりすぎるのは無意味であるばかりか、有害な場合があります。
 というのも、トラウマやブロックのように形のないものは、確認すればするほど、その傾向が強固になるからです。たとえば、あることに何度か失敗した結果、「私は○○が苦手だ」という認識が生まれた場合、それを自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、いっそう「○○が苦手」になっていくようなものです。
 では、そのような「縛り」から解放されるには、どうしたらよいのでしょう。
 必要なのは、トラウマと向きあい、克服の努力をすることではないと、私は考えています。それより、まずは心地よい音を聞いたり、うっとりするような香りをかいだりして、脳を快適な状態にすることが大切です。私はこれを「脳をご機嫌さまにする」と表現しています。
 脳がご機嫌さまになったら、トラウマやブロックといった過去に意識を向けるのではなく、あなたが望む未来に意識を向けましょう。そして、望む未来をリアルに何度もイメージするのです。すると、脳は現実とイメージの区別がつきませんから、望む未来を現実だと認識し、そのような行動を促します。また、くり返しイメージしているうちに、それはいつしか潜在意識に刷り込まれ、箸を使うときのように、自動運転で現実化していきます。

考える脳・感じる脳・生きる脳

 ところで、あなたの道具である脳は、どのような構造になっていて、それぞれの部位がどのような機能を担っているのでしょうか。
 それを知ることもまた、脳を使いこなすには大事なポイントです。家電の取り扱い説明書にも「各部の名称と働き」という項目が必ずありますからね。それと同じだと思ってください。
 脳の中身は、次の3重構造になっています。それぞれの機能についても、簡単に説明していきます。

● 大脳新皮質(考える脳)
 いちばん外側にあり、「霊長類の脳」ともいわれます。左脳と右脳とに分かれていて、それぞれに異なる役割を担っています。
 左脳は「言語思考」が得意で、論理、計算、判断、分析などを担当します。
「あなた」と「私」、「あちら」と「こちら」など、さまざまな事柄を分け、比較して考えるという特徴があります。目に見える物理的な現実、すなわち顕在意識に対応する脳ともいえます。
 右脳は「イメージ思考」が得意で、直感、想像、創作などを担当します。物事を融合・調和という方向に動かしていくのが特徴です。目には見えない情報とも共鳴して、深く広い精神世界、すなわち潜在意識につながる脳ともいえます。

● 大脳辺縁系・間脳・松果体(感じる脳)
 大脳新皮質の内側には、「哺乳類の脳」ともいわれる大脳辺縁系と間脳があります。本能、好き嫌い、感情、意欲などをつかさどるとともに、さまざまなホルモン分泌を調整する部位です。幸福感をコントロールする脳でもあります。
 また、間脳の奥には松果体があります。この松果体は「額のチャクラ(第3の目)」と密接につながっているとされます。松果体が活性化すると超感覚が開き、サイキック的な能力が発現したり、3次元という制限を超えて、意識をいろいろな次元へ飛ばしたりできるともいわれています。未知の潜在能力を開花させる器官といってもよいでしょう。

● 脳幹(生きる脳)
 いちばん奥にあるのは脳幹です。「爬虫類の脳」ともいわれ、呼吸、体温、心拍、睡眠と覚醒、筋肉運動、消化・吸収など、その個体が生命を維持していくためのさまざまな調整をします。
 なお、脳幹が元気な人は、見た目がとても若々しいという特徴があります。いつも健康で、ケガや病気などをしてもすみやかに回復します。逆にいえば、この部位が活性化すると、自然治癒力の向上やアンチエイジングが実現します。
 このような3重構造を持つ脳全体を活性化することによって、さまざまな能力のスイッチがオンになり、短期間で、なりたい自分になることができます。そういう可能性が、私たちひとりひとりの脳に秘められているのです。

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本書『全脳活性で潜在意識を書きかえる』では、読者の全脳を活性化し、さまざまな可能性を開花させるための3つのワークを解説しています。

①快脳回路をつくる「ブレインワーク」
②本当の願望を明確にする「イメージワーク」
③願望実現を加速する「エネルギーワーク」

それぞれのワークには「周波数チューナー」といった音や誘導音源などへのリンクがQR付きで収録しており、これまでにない体験ができる書籍となっています。

2020年10月23日発売予定です。

(編集部・寺崎翼)

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