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1個3000円のモンブランが爆売れする理由

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
ケーキ1個の価格といえば、400円から高くても1000円ぐらいが一般的なイメージでしょう。そんななか、1個3000円という高価格をつけても爆売れしているモンブランがあるのをご存じでしょうか? ホールではなく、1ピースの価格です。
 
唯一無二のプレミアムリッチ商品・サービスを、全身全霊をかけて1点開発し、それを「ヒット商品」にし、収益を上げる――。
 
いわゆる「一点突破戦略」で成功しているビジネス事例です。
 
超話題の人気商品本格ボロネーゼ専門メーカー「ビゴリ」のオーナーにして、事業創出・業務改革コンサルタントの石川潤治さんは、新刊『たった1つの商品で利益を上げる』の中で、すでに世の中で一定の支持を得て成功している一点突破戦略商品をいくつか紹介しています。その中の1つの事例として、この1個3000円の「プレミアムモンブラン」を取り上げて、売れている理由を独自の視点から分析しています。
 
今回は、その該当箇所を一部編集して公開します。

 インターネットサイト「みんなのランキング」によると、日本人が好きなケーキの種類ランキングの第1位はショートケーキ、そして、チョコレートケーキやチーズケーキやシフォンケーキを押しのけて、第2位がモンブランだそうです。
 一般的なケーキ屋さんでモンブランを買うと、だいたい300〜400円の価格帯でしょう。ですが、世の中には1個2000〜4000円近くもするモンブランがあるのをご存じでしょうか? しかもホールサイズではなく、1ピースでの値段です。
 それが、パティスリーSATSUKIの「スーパーモンブラン」(3780円)と、モンブラン専門店「栗歩」の「熟成無糖モンブラン」(2420円)です。
 他にも高級なモンブランはたくさんありますが、私がこの2つをあえて挙げたのは、消費者の健康志向のニーズや〝プチ贅沢〞ニーズを見事に捉え、プレミアム商品として展開しているところです。
 まず「スーパーモンブラン」には、1805年創業の老舗和菓子店「船橋屋」のくず餅由来の乳酸菌「くず餅乳酸菌」が入っています。
 これはグルテンを取り除いた小麦でんぷんを450日間も熟成発酵させたもので、体に良いという特徴があります。食べた人から「くず餅を食べると、なぜか調子が良い」という声が上がるほど、健康に寄与する食材を使用しているのです。
 次に「熟成無糖モンブラン」は、文字どおり砂糖不使用です。無糖にもかかわらず、糖度30度以上を引き出した能登栗のペーストを使用し、さらに45日間熟成させることで、砂糖がなくても自然な甘みや香りを楽しめるように作られています。
 小麦のグルテンや砂糖は、人間の体にはあまり良くないものとして知られています。また、腸内環境を整える「腸活」が話題になっている時代に発酵食品を使用することで、どちらのモンブランも健康に配慮しながらも、人の満足を叶えるおいしさを両立させています。
 これらのモンブランを私が「うまいことやってるな〜」と思うのは、健康志向や腸活もさることながら、消費者のかゆいところのニーズをとらえている点です。
 誰しも、肥満が体に良くないことは知っています。「メタボ」や「自粛太り」という言葉が流行っているように、男女ともに常に肥満に気をつけ、健康に気を使う時代です。
 そんな中、筋トレマシンが売れたり、プロテインが過去最高の売上を叩き出したり、ジム通いをする人があとを絶ちませんが、それでも私たちには「甘いものを食べたい」という抗えない欲求が存在します。
「甘いもの=ケーキを食べたら太る。でも食べたい」
 ダイエットを心がけている健康志向の人たちは、普段は食生活に気を使いながらも、たまにご褒美や解禁日やチートデイという言葉を使って、甘いものを食べようとします。そして、そんなときだからこそ中途半端ではない、究極においしいものを食べたいと考えます。
 そこに選択肢として登場するのが、これらのモンブランです。
 2000〜4000円近い価格も絶妙で、ご褒美やプチ贅沢にバッチリとハマる価格帯。しかも、甘いものなのに健康志向なので「これなら食べても構わない」という心理が消費者には働くのです。
 実は、これは心理学上での「認知的不協和」という概念を使っています。人間は矛盾した感情に不快感があるとき、つじつまを合わせようとします。「食べたいけれど、太る」という欲求に対して、「健康にいいなら食べても良い」という理由や言い訳を差し伸べることによって、罪悪感を消す効果があるわけです。
 BIGOLI でも、この手のことはよくあります。
 先述のとおり、BIGOLI のボロネーゼは男性向けなので、一人前のボリュームが世の一般的なパスタの2倍あります。ですから、女性だと食べ切れないことが懸念されます。
 ですが、私はそういう女性のお客様がいたら、このように言うことにしています。
 実はこの量は、海外では一般的な量です。実際問題として、女性のお客様でもペロリと平らげています。さらに「これを食べたら、夜ご飯いりませんよ」を付け加えると、一気に「食べてもいいもの」に変わります。つまり、昼のカロリー過剰は気になるものの、昼・夜セットで考えれば帳消しになるのでは⁉ という言い訳を用意してあげるのです。
 基本的に「おいしいものはあまり体に良くない」と言われています。
 牛ロース、牛フィレ、白子、ラーメン、エビ料理、蟹みそ、ビール、日本酒……ほんの一部を挙げただけでもどれもおいしそうですが、すべて痛風の原因であるプリン体を多く含みます。
 それでも、人はおいしいものを食べたい生き物です。
 ですから、そこに「ちょうどいい言い訳」を用意するだけで、驚くほどその商品は売れてくれます。

【著者プロフィール】
石川潤治(いしかわ・じゅんじ)

株式会社ジェイ・イシカワ 代表取締役社長。事業創出・業務改革コンサルタント。
1970年大阪府大阪市生まれ。学生時代に30種のアルバイトを経験。当時より、起業の夢を抱く。大学時代から起業したり会社員になったりを繰り返し、1999年、PCCW JAPAN(香港・通信事業者)に入社。ブロードバンド事業の創出をする新規事業開発室長を務める。2001年、株式会社ジェイ・イシカワを創業。自身が持つ特許(2002-320045)リース・管理および、事業創出コンサルの道を歩み始める。2002年、ワーナー・ブラザース・ジャパン(米国・映画メジャー)入社。部門のDX化を軸に業務改革を推し進め、クリエイティブシニアマネージャーを務める。2011年、株式会社ワールド(国内・アパレル)入社。業務改革推進本部・物流統括部長を務める。2016年、長年に渡るコンサルティングで軸としてきた「一点突破による売れない時代の売れる戦略」を具現化すべく、ボロネーゼ専門店ブランド「ビゴリ」を立ち上げ。ボロネーゼという単一メニューだけのフランチャイズで30店舗もの加盟店を有し、各大手メディアでも取り上げられる。現在、「中途半端を捨て一点突破」「ファンダムに不況なし」などをモットーに、40社を超えるさまざまな業界のコンサルティングを行なう傍らで、個人の方々に独立や転職を有利に進める実践的手法の勉強会を定期的に開催。社業理念は「スピード、柔軟性、一点突破力を発揮し、小よく大を制す」。

いかがでしたか?
 
この「一点突破戦略」は、飲食店オーナーはもちろん、中小メーカーや個人事業主、各サービス提供者など、多くのビジネスに活かすことができます。大手には決してできない、中小零細だからこそ可能なビジネス戦略の重要エッセンスを徹底解説したのが、新刊『たった1つの商品で利益を上げる』です。全国書店の「ビジネス」「起業・副業」「店舗経営」などのコーナーで絶賛発売中です。興味のある方はチェックしてみてください。

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